2021年06月29日

ビンテージの意味を徹底解説。ワインのことがもっとよくわかる!

ビンテージの本来の意味をご存じですか?「古くて価値のあるもの」といったイメージがありますが、実は別の意味があります。現在「ビンテージ」は幅広い分野で使われていますが、もともとはワインと深いかかわりがある言葉なんです。ビンテージの由来や意味、似たような言葉との違いについてもご説明します。ビンテージを理解すると、ワインがもっと楽しくなりますよ。

ビンテージの意味

ビンテージとは「ブドウの収穫年」という意味。また、特定の地域や年代物の上質なワインのこともビンテージといいます。ワインの世界以外でも、ビンテージという言葉はよく耳にしますよね。ビンテージバイオリン、ビンテージジーンズといったように、価値のある年代物や由緒ある名品などに対しても使われます。

ビンテージの由来・語源は

ビンテージの由来は、フランス語でブドウの収穫を意味するvendange(ヴァンダーンジュ)。やはり、ワイン大国であるフランスの言葉からきているんですね。ちなみにvendangeの語源は、ラテン語でワインを意味するvinum(ウィーヌム)と、収穫するという意味のdemere(デメレ)なんですよ。

ワインの「ビンテージ」とは

ワインのラベルに「2000」というビンテージが表示されていれば、2000年に収穫されたブドウを使ったワインということ。ブドウは農作物なので、その年の天候が作柄に大きな影響をおよぼします。同じワイナリーのワインでも、ビンテージによってブドウの出来は異なり、ワインの味わいにも違いが生まれます。そこがワインの奥深いところ!

ビンテージはブドウ品種や産地、造り手などと同様、ワインの個性を表すひとつの要素といえますね。

ビンテージと当たり年の関係

ビンテージを見れば、当たり年のワインかどうかがわかります。当たり年とは、天候に恵まれてブドウが健全に育った収穫年のこと。「グレートビンテージのワイン」「よいビンテージのワイン」といった表現を、見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。

ブトウの当たり年は、産地だけではなく、品種によっても異なります。産地ごとのビンテージチャートで当たり年の確認はできますが、その後の輸送や保管方法によって品質に差がでることも。あくまでも目安として考えてくださいね。

ビンテージワインの特徴

ビンテージからは、ワインの熟成度もわかります。ビンテージワインとは古いワインを指すわけではありません。昨年収穫されたブドウから造られたワインでも、ビンテージが記載されていれば、ビンテージワインといえるからです。一般的には、ビンテージが15年以上前のもので、長期熟成したワインを「オールドビンテージ」と呼びます。

ノンビンテージ

ビンテージ表示がない「ノンビンテージ」のワインも見かけますよね。産地によっても、ビンテージの表示基準はさまざま。理想の味のために複数年のワインをブレンドするケースは、その割合次第でビンテージが表示できない場合もあります。特にシャンパンはノンビンテージが大半。ビンテージの有無で、品質を判断することはできないのです。

古いビンテージのワインはおいしいの?

ビンテージは古ければ古いほどおいしいの?そんな疑問がわいてきますよね。ワインは熟成が進むにつれ、香りは複雑に、味わいは華やかに、タンニンはまろやかに、そして余韻はぐんと長くなります。

一般的なオールドビンテージの飲み頃は、赤ワインで15~30年、白ワインは15~25年程度です。熟成がピークになる時期が、まさに飲み頃!ピークを過ぎると、ワインの風味はゆるやかに落ちていきます。

オールドビンテージの楽しみ方

長期熟成したオールドビンテージは、とても繊細。輸送や移動により振動や刺激が伝わると、ボトルの底に沈殿した澱(おり)が浮遊してしまい、ワインの味わいの妨げになります。澱を底に落ち着かせるため、少なくとも1週間はボトルを立てておくのがポイント。

また、コルクが崩れやすいので、慎重に抜きましょう。グラスに注いだらしばらくそのまま放置して、じっくり味を開かせてくださいね。デキャンタを使うのもおすすめです。

自宅で保管しても熟成する?

ワインの保管で重要なのは温度、湿度、そして光。長期熟成向きのワインであれば、一定の温度・湿度管理のされた暗い場所に保管しましょう。やはり、ワインセラーで保管するのがベストです。

一般的に、長期熟成向きのワインは、熟成のための保管にコストがかかり、希少価値も加わるため高価です。逆に安価なワインは、熟成には適さない早飲みタイプがほとんど。早飲みタイプは、長期保管せずに飲んじゃいましょう。飲み頃を見極めるのも大事ですね。

ワイン以外のビンテージについて

ビンテージという言葉は、ワイン以外でもよく使われます。代表的なふたつのビンテージをご紹介。

バイオリン

ビンテージ楽器として有名なのが、世界最高峰のバイオリン「ストラディバリウス」。イタリアの天才職人、アントニオ・ストラディバリが17~18世紀に作り出したバイオリンで、世界に600挺しかありません。奏でる音の素晴らしさと希少性から、オークションでの落札価格は十億を超えることもあるというから驚きです。

ジーンズ

リーバイスのビンテージジーンズにも、マニアが多数います。特に1950年前後に製造された「501XX(ダブルエックス)革パッチ」は、数十万円の値が付くことも。色落ちはもちろん、タフな作り込みや特徴的なステッチ、重厚な生地など、この時代ならではのディテールが多くの人々を虜にしています。

ほかにも、世代を超えて愛される名品や年代物は数知れず。所有や収集する楽しみに加え、製品に込められた時代背景や希少価値も、ビンテージのもつ魅力です。

ビンテージの類語

ビンテージと似たような意味の言葉もいくつかあります。どんな違いがあるのでしょう?

アンティーク

英語の「antique(アンティーク)」は骨董品という意味。年代物の、骨董品の、という形容詞の意味もあります。家具やテーブルウエア、アクセサリーなどによく使われますよね。WTO(世界貿易機関)の関税法では、製造されてから100年以上経過したものが「アンティーク」、30~99年経過したものが「ビンテージ」と区別されています。

古着

古着とは、過去に着用されたことのある衣服全般のことをいいます。古着の魅力といえば、安さ、一点もの、そしてこなれ感。「ユーズド」と呼ばれるのは着込まれている古着、「インポート」は海外の古着、「ビンテージ」は希少価値が高い古着に対して使われます。

骨董

美術的な価値や希少性の高い古美術品や古道具類のこと。骨董品、アンティークともいいます。

レトロ

年代に関わらず、古くて懐かしさを感じさせるものに対して使われます。たとえば、レトロな店構え、レトロなファッションなどのように。もとは、追想にふける、回顧的な、を意味する英語の「retrospective(レトロスペクティブ)」からきています。レトロという言葉はあくまでも印象なので、明確な基準はないのです。

ビンテージを知るとワインがもっと楽しい

ビンテージという言葉を知ると、ワインの奥深さが垣間見えてきます。当たり年のビンテージや思い入れのあるビンテージのワインを探してみるのも楽しいもの。値の張るオールドビンテージなら、信頼できる専門店で購入するのがおすすめです。ビンテージはワインの個性のひとつ。その年の背景に思いを馳せながら味わうのも、オツなものですよ♪

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