2020年03月25日(水)

北海道小樽原産のブドウ「旅路」で造られるワインってどんな味?

こんにちは!吉田すだちです。

先日のコラムで話題にした、“SAKURA”Japan Women’s Wine Awards(通称「サクラアワード」)。この時は、Jリーグで活躍中のイニエスタ選手が手がけるスペインワインを取りあげました。

これとは別に、実は今年(2020年)の受賞ワインの中に、とっても気になる存在があるのです。それは、みごと「ダブルゴールド」、「特別賞グランプリ(ベスト国産ワイン賞)」を受賞した、北海道ワイン株式会社の「北海道限定 旅路 2018」。なんだか渋い名前のワインです。

わたしがこのワインに興味をそそられた一番のポイントは、つかわれているブドウの品種。その名も「旅路」…!初めてきく品種で、しかもサクラアワード上位6%にランクインした謎のワイン。いったいどんなブドウで、ワインはどんな味わいなのか。気になって、調べてみました。

生まれは北海道小樽市

「旅路」は、もともと北海道小樽市の塩谷(しおや)というエリアに自生していた、生食用のブドウでした。むかしは地名をとって「紅塩谷」と呼ばれていたそうです。

なぜ「旅路」と呼ばれるようになったのかというと、1967年〜68年に放送されたNHK朝の連続テレビ小説「旅路」に由来します。最高視聴率は57%にもおよび、一世を風靡したのだとか。物語の舞台は「紅塩谷」の原産地、小樽。ドラマの人気にあやかって、「紅塩谷」は「旅路」と呼ばれるようになったのだそうです。

少し脱線しますが、ドラマ「旅路」はテレビ放送と同時期に、東映によって映画化もされました。映画版のサブキャストとして悠木千帆さんという女優さんが出演されています。この方、後の大女優、樹木希林さんです。映画「旅路」はデビュー当時の樹木希林さんを拝見できる、貴重な映像作品なんですって!しかしかなり昔の作品なので、もう観る術があるのかないのか…くぅ〜ますます観たくなる。

「旅路」をめぐる一大プロジェクト

そんな「旅路」ですが、今では北海道余市(よいち)市と仁木(にき)町で栽培されているのみになってしまいました。いろいろな事情が重なって、原産地である小樽市では栽培されなくなってしまったのだそうです。

しかしいま、小樽産の「旅路」を復活させ、地元オリジナルのワインをつくろう!というプロジェクトが進んでいます。2017年にはじまったプロジェクトの名は「北照ワインプロジェクト」。なんと甲子園出場で有名な北照高校の生徒たちによる、「旅路」の栽培&ワイン醸造プロジェクトなのです。

実は、サクラアワード2020受賞ワイン「北海道限定 旅路 2018」の製造元である北海道ワイン株式会社は、プロジェクト発足後まもなく、プロジェクト支援に名乗りをあげました。生徒たちは北海道ワイン株式会社のワイナリーへ足を運んで、ブドウ栽培やワインの醸造について学んでいるのだとか。

さらにその後、有名な滝沢ワイナリーや、ゴム長靴メーカー・ミツウマなど、北海道の地元企業が次々と支援にのりだします(ミツウマは、農作業用の長靴をおくるなどの支援をしているのだそうです)。地元が一丸となって育てようとしている元祖「旅路」をめぐる物語…調べているうちに、つい目頭が熱くなります。これこそ、映画化できそうですよね。

2019年10月8日付の朝日新聞デジタルの記事によると、現在「旅路」は140本植樹され、順調に育っているようです。2020年9月に初の収穫をむかえる予定で、うまくいけば2021年に小樽市生まれの「旅路」によるワインのファーストヴィンテージがリリースされる…かも!?

いまからとっても楽しみです。プロジェクトの様子が気になる方は、Facebookページ「北照ワインプロジェクト」をチェックしてみてください。

北海道限定 旅路 2018

さて、ブドウ品種「旅路」の出自や復活プロジェクトについてふれたところで、サクラアワード2020のダブルゴールド・ベスト国産ワイン賞受賞ワインを味わってみましょう。お値段は1,500円程度、お財布にもやさしいリーズナブルなワインです。

写真では少しわかりにくいのですが、とても綺麗な、淡いピンクオレンジをしています。ピンクグレープフルーツ・ジュースのような印象です。「旅路」の果皮は赤紫色をしているので、その色素が少しかもしだされているのだと思います。

香り

冷えた状態だと、フレッシュなマスカットの香りが豊かにただよいます。フルーティの極み…!少し温度があがると、ほんのり吟醸香が加わって、食事にあわせやすい状態に。ぜひ、温度による変化を楽しんでいただきたい!まずは冷やして食前酒として、温度が上がってきたらお料理のおともとして。

味わい

口当たりは非常にまろやか。そして印象的なのはやさしい甘み!まるでグレープフルーツのカクテルよう。爽やかでとても飲みやすいです。ワインが苦手な方でも美味しく味わえます。でも甘すぎるわけではなく、ちゃんと酸もきいていますから、お料理にもあわせやすいです。フルーティな日本酒のような…。

ペアリング

マスカットや柑橘を連想させるフレッシュな香りと甘みが特徴的なワインなので、和食との相性がバッチリです。特に、甘みをたたえた煮物系とのペアリングがオススメ。わたしはブリ大根に合わせてみましたが、とても美味しかったです!あ、酢の物ともよくあいますよ。

最後に…

北海道ワイン株式会社に限らず、他のワイナリーも「旅路」のワインをリリースしているので、そちらもチェックしてみようと思っています。今まで知らなかったのがもったいないくらい、ハマってしまいました。ワインといえばシャルドネやピノ・ノワールといった国際品種に目がいきがちですが、実は「旅路」のような隠れた名品種があるのだなと勉強になりました。みなさんもぜひ、一度味わってみてください。

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi/

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