皆様、こんにちは、インポーターの大野みさきです。もうすぐ春ですね。暖かくなると無性に口当たりがライトで飾り気のないワインが飲みたくなる!柔らかい酸とぶどうの素肌が感じられるようなワインです。心弾む季節、今から桜もワインもどちらも楽しみです。
今日はランチタイムに、中華料理でBYOに挑みました。阪急うめだ本店のレストラン「銀座アスター」で妹と待ち合わせです。お昼から持ち込みワインだなんて・・・と尻込みしないで下さい。イタリアのことわざでは、「ワインのない食卓は、花の咲かない畑である」と言われるぐらいです。酔っ払ってOKな休日の特権ですよ。ただし、お昼だと就寝までに活動時間があるので、なるべくアルコール度数が抑えられた、フレンドリーなワインを選ぶよう心がけています。
中華料理にオレンジワインを合わせてみよう

カザ・レウヴァス / アート・テッラ・クルティメンタ 2018
今回は、ポルトガルの「CASA RELVAS アートテッラ
クルティメンタ2018」をBYOしました。聞き慣れない土着品種(アンタオン・ヴァス50%、アリント40%、ヴィオニエ10%)と天然酵母を用い、ステンレスタンクで3週間ほど醸した「オレンジワイン」です。「えっ、オレンジワイン?!」「オレンジからできているの?」と思われた方もおられるかもしれません。職業柄、この質問は本当に多頻度でされるので、述べ1万回は答えたと思います。(えっへん!)今日はじめて耳にされた方のために、先ずはオレンジワインについてご説明しましょう。
オレンジワインと言っても、果実のオレンジは関係ありません。そもそも全てのワインは、ぶどうが原料です。巷には、桃ワイン、洋梨ワインとネーミングされたものがありますが、ぶどうが原料でないお酒は、ワインと名乗れません。酒税法ではワイン同様、それらは「果実酒」に該当します。オレンジワインの原料はもちろん「ぶどう」です。それも白ぶどうから造られたものを指します。黒ぶどうだと赤ワインやロゼワインに当てはまります。
通常、赤ワインは果皮や種を、果汁と長く接触させて造ります。その工程を醸し“スキンコンタクト(※)”と言います。赤ワインと同じように、醸して造られた白ワインのことをオレンジワイン、あるいはアンバーワインと呼びます。
オレンジワインは、果皮と種から抽出されるタンニンが豊富なので、通常の白ワインよりも色が濃くなります。黄色~黄金色~オレンジ~茶褐色とカラーバリエーションは豊かです。また、醸しを長くして樽を使いふくよかに仕上げた重タイプや、逆に醸しを短くしてステンレスタンクを使いシンプルに仕上げた軽タイプと様々なボディやスタイルが楽しめます。
※スキンコンタクト=醸し…白ワインの醸造方法。果皮を果汁に数時間~数日間、浸漬させて果皮の成分を果汁に移行させる方法。赤ワインの工程では必ず醸しが行われる。
マリアージュのポイントは「お酢」
では、早速メニューを選びましょう。銀座アスターはアラカルトメニューが充実しているので、ワインと相性を考えて、あーでもない、こーでもないと選ぶ楽しみがあります。ランチということで軽めのワインをBYOしているので、迷いに迷って今回は辛くない中華をチョイスしました。軽いワインにスパイシーで重い中華は負けてしまいます。ワインのボリュームとお料理のボリュームを合わせるマリアージュです。

前菜盛り合わせ
先ずは前菜の盛り合わせから頂きましょう。蒸し鶏のネギソース、焼豚、くらげです。濃いめの味付けなので、ワインのあてにも最高です。

黒豚餃子

黒豚小籠包
お次の黒豚餃子と小籠包には、黒酢ベースの甘酢ダレをこれでもかと、たっぷりかけて頂きました。
中華料理は比較的、油を多く使うので、その後、お口の中をさっぱりした状態に導いてくれる黒酢(老陳酢)が良い仕事をします。ワインも然りです。ワインとお酢は、どちらの酸も酢酸やクエン酸などの有機酸です。酸という共通項が手と手を結んで、中華料理とワインの出会いを円滑にしてくれます。油ものもワインとお酢の効果でさらりと頂けます。その上、体内でも黒酢に豊富に含まれるアミノ酸が、コレステロールや中性脂肪が血管内に溜まるのを防いでくれます。
黒酢と中華は、単に美味しいだけでなく、理にかなった組み合わせだったのですね。また、お酢もワインのように発酵と熟成を施したものです。ワインは酢酸菌が増えれば、いずれはワインビネガーとなるので、お酢とワインは言わば兄弟のようなものですね!

真鯛の黒酢ソース
お魚のメイン、真鯛の黒酢ソースは甘酸っぱさが絶妙で、お酢のまろやかな風味と香りが、初対面のワインとも直ぐに打ち解けました。

大山鶏とカシューナッツの炒め物
お肉のメイン、大山鶏とカシューナッツの炒め物は、四川味もあったのですが、ワインに合わせて塩味にしました。鉄板で運ばれてきました。こちらにも少々黒酢をかけて頂きます。時間が経過して開いてきたワインとも仲睦まじいようでした。
中華料理に合うワインの選び方
少しのワインの知識と、お料理の選び方や工夫次第で、軽めのオレンジワインと辛くない中華料理のマリアージュは大成功です。
「中華料理は辛くないと食べた気がしない~!」と言う方には、同じオレンジワイン括りでは、骨格のしっかりしたものがおすすめです。スパイシーさに負けない力強いもの、それから厚みのある樽使いもウェルカムです。次回は、汗が滴り落ちるスパイシーな中華料理とフルボディのオレンジワインで、辛味×ワインに挑戦してみたいです。題しまして、「真夏の麻婆豆腐とオレンジワインの誘惑」少し気が早いかもしれませんね。次のシーズンは春ですから。
それでは皆様、ごきげんよう!

抹茶アイス杏仁豆腐/ホワイトパール ジャスミンティー

365wine 大野みさき
スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。
【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/
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