2020年04月08日(水)

ワイン界の宝石「シャンパン」の魅力【前編】〜シャンパーニュってどんなワイン?〜

かの有名なフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトはこう言いました。
“シャンパーニュは、勝利のときには飲む価値があり、敗北のときには飲む必要がある”

また、有名ブランドの創始者、ココ・シャネルもこんなセリフを残しています。
“わたしがシャンパーニュを飲むのは、恋をしているときと、していないとき”

歴史に名をきざむ偉人たちがこぞって愛したワイン、シャンパーニュ(英語だとシャンパン、発音はシャンペンが近い)。日本人にとっては、“お祝いの席の特別なお酒”というイメージが強いのではないでしょうか。結婚式の乾杯酒、誕生祝いのプレゼント、特別なディナーの食前酒。グラスからシュワシュワと細かい泡がたちのぼる様子はまるで宝石のようで、ハレの日を彩るのにぴったり。そのため、シャンパーニュは、特別感をまといながらサーブされることが多いお酒です。

しかし、シャンパーニュの美味しさを知り、ひとたびその魅力にとりつかれると、「特別なときにだけ飲む」のが難しくなります。何かと理由をつけて、栓を抜きたくなってしまうのです。ナポレオンやココ・シャネルがそうであったように…。

今回は2週にわたって、多くの人の心をとらえて離さないワイン界の宝石、シャンパーニュについてまとめていきます。まず前編は、シャンパーニュとはどんなワインなのかについて。

シャンパーニュとスパークリングワインの違い

よく、スパークリングワインとシャンパーニュを同じものだと思っている人がいます。でも、それは間違い。シャンパーニュとはフランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインのこと。厳密には醸造方法や使えるブドウ品種などの細かい規程をクリアしたものだけが、シャンパーニュを名乗ることができます。

生産者たちはブランドを守るために、昔から力を注いできました。そのため、ワインはもちろんのこと、ワイン以外の商品であっても、容易にシャンパーニュを名乗ることはできません。

例えば、ドイツのミネラルウォーター「ペリエ」。「ミネラルウォーターのシャンパーニュ」というキャッチコピーで売り出したところ訴訟問題に発展、コピーの変更を余儀なくされました。最近では、日本のメーカーがカラーコンタクトの商品名に「シャンパン」をいれて商標登録しましたが、裁判の結果、登録が無効となりました。

なぜここまで気をつかっているのか。そこには、シャンパーニュのブランドと品質を守りぬくという強い意思があります。彼らは外部に目を光らせる一方、自分たちにも厳しい条件を課し、高いクオリティを保ち続けています。

技術がひかるシャンパーニュ造りの特徴

シャンパーニュの醸造はとても特徴的です。おさえておきたいキーワードは4つ。

1. アッサンブラージュ
2. 瓶内二次発酵
3. デゴルジュマン
4. ドザージュ

1. アッサンブラージュ

シャンパーニュ地方はとても寒い!“ブドウ栽培の北限”とも言われます。そのため、年によってブドウの出来にバラツキが出てしまう。そのままでは、ワインの品質も安定しません。そこで編みだされたのがアッサンブラージュ(ブレンド)という技術です。

生産者たちは、異なるヴィンテージ、異なる畑、異なる品種から造られる原料ワインをブレンドし、伝統の味を造りあげます。これにより、品質が安定するわけです。一番のミソは異なるヴィンテージ。ブドウの出来がよく高クオリティの原料ワインができた年には、それをリザーヴ・ワインとしてとっておきます。そのストックを毎年少しずつ使って、ブレンドする。シャンパーニュボトルによく見られるNVという表示は「ノンヴィンテージ」、つまり複数ヴィンテージのワインをブレンドしているという意味です。

ブレンド比率は長年の経験で培われたもので、まさに職人技。シャンパーニュの醍醐味はアッサンブラージュにあり!とも言われるくらい、重要な工程です。
※ちなみに、特定ヴィンテージのシャンパーニュもあります。ただし希少価値が高いので、価格も高くなります。

「ドン ペリニヨン」は特定ヴィンテージ(ミレジム)をリリースしている

2. 瓶内二次発酵

アッサンブラージュされたワインはボトルに詰められます。そこに酵母と糖分を添加し、瓶内で2回目の発酵が行われます。このとき、酵母のはたらきで発生する二酸化炭素が瓶内に閉じこめられて行き場がなくなり、ワインに溶けこみます。シャンパーニュのシュワシュワとした泡は、こうして生まれるんですね。

瓶内二次発酵が終わっても、そのまま15ヶ月じっくり寝かせます(ヴィンテージ・シャンパーニュは30ヶ月)。そうすることで役割を終えた酵母(=オリ)からアミノ酸などの旨味成分が溶け出し、味わいがまろやかになるのです。こだわりの強い生産者だと、この熟成期間を長めにとるそう。「瓶熟X年」とうたっているシャンパーニュは、それだけまろやかで味わい豊かである可能性が高いといえます。

3. デゴルジュマン=澱(オリ)抜き

熟成が終わったら、オリ抜きです。そのまま出荷するとオリが浮き、濁った状態になってしまうので、清澄度を高めるためにオリ抜きをします。

シャンパーニュのオリ抜き方法はデゴルジュマンと呼ばれ、独特です。熟成後のボトルを逆さまに立ててオリを瓶口に集め、瓶口だけを-25度に冷やしてオリを凍結。栓を抜くと内圧で凍ったオリがポーンと外に飛び出すという仕組み。実はこれ、有名なヴーヴ・クリコの生みの親であるマダム・クリコさんが思いついたやり方なんだそう。テーブルトークで使えそうな小ネタです。

4. ドザージュ=糖分添加

デゴルジュマンをすると少し量が減るので、ドザージュという工程で補います。ここで添加するのは門出のリキュール。簡単にいうと、リザーヴ・ワインに糖分をあわせたもの。「門出のリキュール」という愛称には、大切に造りあげたシャンパーニュがいよいよ世界に旅立つ、その門出を祝す気持ちが込められているのだそうです。グッときますね。

ドザージュには目減り分の補填以外に、甘みの追加という大事な役目があります。ここで追加される糖分はワインに含まれるアミノ酸とあわさり、メイラード反応という化学反応を起こします。これにより、焼いたトーストのような香ばしさが出て、より複雑な味わいになるそうです。ただし、原料ワインのクオリティに自信のある生産者は、あえてドザージュを行わないこともある。ボトルに「Brut Nature(ブリュット・ナチュール)」と書いてあったら、そういうシャンパーニュです。

ノン・ドザージュのシャンパーニュには、ラベルに Brut Nature の文字が

ここまで終わったら、いよいよ出荷となります。

テタンジェ「ノクターン・スリーヴァー・ロゼ」があたるキャンペーン実施中
◎4月30日(木)まで
■<後編>思う存分楽しむためのシャンパン・ハック

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi/

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