2021年10月05日

ボジョレー・ヌーヴォーとは?ソムリエが徹底解説

秋になるとボジョレー・ヌーヴォーの話題が出てきます。毎年飲むけど、ボジョレー・ヌーヴォーとはどんなワインなの?と疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。この記事では、ボジョレー・ヌーヴォーの特徴、歴史、キャッチコピーなど、まるっとソムリエが解説します。

 ボジョレーヌーヴォーってなに?

白いバスケットカゴに入れたボジョレー・ヌーヴォーのワインとぶどう
iStock.com/ventdusud

まずは、ボジョレ・ヌーヴォー(Beaujolais nouveau)の意味を知ってみましょう。ボジョレー・ヌーヴォーを、日本語に訳すと、ボジョレーはフランスの「地区名」。ヌーボーは「新しい」「初物」「新着」などの意味がありますので、「新酒」と訳します。これを踏まえると、ボジョレー・ヌーヴォーとは「ボジョレー地区の新酒」ということになります。

またその他にもボジョレー・ヌーヴォーと呼ぶには、ガメイ種を使用することが法律で決まっています。

まとめるとボジョレー・ヌーヴォーは

・フランス・ブルゴーニュ地方ボジョレー地区で造られるワイン
・収穫した年に、販売される新酒
・ガメイ種を使用している

上記の、3つがポイントになります。

イタリア、スペイン、日本など他の国でも、新酒を販売していますがボジョレー地区で造られているものではないので「ボジョレー・ヌーヴォー」とはいえないわけです。

また表記は、フランス語を日本語しているので「ボジョレ・ヌーヴォー」「ボジョレー・ヌーヴォー」などとも表示されていますよ。

ボジョレー地区のワインの特徴

ボジョレー地区とは、フランス・ブルゴーニュ地方の最南端に位置します。土壌は、ボジョレー・ヌーヴォーで使用される、ガメイ種が適した丘陵地帯。

ボジョレー・ヌーヴォーは、一般的な赤ワインより果実味が強く飲みやすいと感じる方もいると思います。そのひとつの理由が、「マセラシオン・カルボニック」という醸造方法。

一般的な赤ワインは、黒ブドウを粉砕し果汁とともに漬け込む作業が入ります。しかし、マセラシオン・カルボニックでは、収穫したブドウを粉砕せずに密閉タンクに入れ、二酸化炭素を注入し、自然にアルコール発酵させていく方法なのです。この醸造方法を取ることで、果実味豊かで、タンニン(渋味)が少なくフルーティーなワインに仕上がりますよ。

ボジョレー・ヌーヴォーはいつ収穫される?

ボジョレー・ヌーヴォーは、11月の第3木曜日に解禁と法律で決まっています。では、いつ頃収穫して醸造するのでしょうか。ブドウのできによっても変わりますが、基本的には8月頃になります。生産者によっては、早く収穫したり遅く収穫したりさまざまですが、基本的には夏〜秋に変わる頃のイメージですね。

ガメイ種の味わい

ボジョレー・ヌーヴォーに使用されているブドウ品種は、「ガメイ」という黒ブドウです。ボジョレー地区で造られるA.O.C.(※)の赤ワインは、すべてガメイで生産されています。ガメイは、成熟が早いためヌーヴォー(新酒)にも適しているんですよ。果実味豊かで、フルーティーな味わいが多く、ほどよい酸味とやさしいタンニンが特徴なので、ワイン初心者でも飲みやすいブドウ品種です。

※A.O.C.とは、Appellation d’Origine Controlee (アペラシオン・ドリジヌ・コントローレ)の略称で、「原産地呼称」のことです。生産地、ブドウの栽培方法、生産量、生産ワインのタイプなど、を法律で厳しく定められています。

ボジョレーヌーヴォーの歴史

元々ボジョレー・ヌーヴォーは、ブドウの収穫を祝うお祭りでふるまわれたワインでした。それが現在では「ボジョレー・ヌーヴォー解禁」というイベントとして、世界中に広まったのではないかと思います。

先程もお伝えしたように、フランスの法律でボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は、11月の第3木曜日。実は、1984年まで1115日と日付が決められていました。しかし、新酒は空輸便で世界各国に届けられることや、当日が土日だと運送業者が休みの場合などがあり、解禁日に販売が難しい年もあります。そのため、11月の第3木曜日と決められたそうです。

そもそも、なぜ日本でこんなにボジョレー・ヌーヴォーが流行したかというと、本場フランスよりも解禁時間が8時間も早いことが理由の一つ。空輸の発達により、ワインの輸入に時間がかからなくなったことで解禁日にはワインがお店に届くようになりました。「フランスより先に飲めちゃう!」というところが一番のポイントです。また、バブル時代に起きたワインブームにより、ボジョレー・ヌーヴォーの知名度と輸入本数、日本での消費量が増えていきました。

しかし、バブル崩壊後に徐々にブームも下火になり、最近では輸入本数も減ってきています。とはいえ、ワインラヴァーの間ではボジョレー・ヌーヴォー解禁というイベントは、日本の秋の風物詩になっていますね。

世界にボジョレーを広めたジョルジュ・デュブッフ

ボジョレー・ヌーヴォーの時期になると、店頭やレストランに必ずと行っていいほど花がらのラベルを見かけると思います。これが、ジョルジュ・デュブッフ氏が手がけるボジョレー・ヌーヴォー。最近では、スーパーやコンビニにも置いてあります。

ジョルジュ・デュブッフ氏は、地元やリヨンなどでしか飲まれていなかったボジョレーを、世界中の人々に届けたいと活動し続けた醸造家。その功績から、「ボジョレーの帝王」と呼ばれています。ボジョレーを愛し、知り尽くした彼が手がけるワインは、土壌のテロワールをしっかりと感じられるものばかりです。ランクもいろいろあるので、味比べしてみるのも面白いと思いますよ。

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ボジョレーはヌーヴォー以外もある

グラスに注がれた赤・ロゼ・白のワインiStock.com/Brunomsbarreto

ボジョレー地区では、ボジョレー・ヌーヴォー以外に、白ワインやロゼワインもたくさん造られています。ここではボジョレーの種類について、有名なA.O.C.と格上であるクリュ・デュ・ボジョレーについてもご紹介していきます。

ボジョレー

ボジョレーと名前がつく商品は、赤、ロゼ、白と3タイプのワインが造られます。ボジョレー地区で造られたワインということで、種類も豊富。しかし、ボジョレー・ヌーヴォーになると、ガメイ種から造られる赤ワインのみしか認められていません。

ボジョレー・シュペリュール

ボジョレー・シュペリュールと名前がつく商品は、赤ワインのみの生産が可能です。上記のボジョレーよりも、最低アルコール度数が少し高いワインになります。アルコールのパワフル感を、感じたい方はボジョレー・シュペリュールの方がおすすめですよ。しかし、ヌーヴォーはないので購入の際はお気をつけ下さい。

ボジョレー・ヴィラージュ

ヴィラージュとは、村という意味。ボジョレー・ヴィラージュと名前がつく商品は、ボジョレー地区の北部に位置する38のコミューン(村)が対象となります。ボジョレーよりも、深みがありしっかりとした味わいを楽しめますよ。また、赤、ロゼ、白が生産可能です。

格上ボジョレー「クリュ・デュ・ボジョレー」

クリュ・デュ・ボジョレーとは、ボジョレー地区の中でも格上の村である10A.O.C.のことを示します。A.O.C.は、サン・タムール(Saint-Amour)、ジュリエナス(Juliénas)、シェナス(Chénas)、ムーラン・ア・ヴァン (Moulin-à-Vent)、シルーブル (Chiroubles)、ブルイィ(Brouilly)、コート・ド・ブルイィ(Côte de Brouilly)、フルーリー(Fleurie)、モルゴン(Morgon)、レニエ(Regnie)の全10種類です。

10のA.O.C.は、すべて赤ワインのみの生産が可能。ワインラベルにも、クリュ・デュ・ボジョレーと記載が可能です。熟成が可能な、力強い深みのあるワインが多いところが特徴的。特に有名なのは、ムーラン・ナ・ヴァンとモルゴンです。ガメイ種で造られたとは思えないほど、複雑味があり、上品でおいしいワインですよ。

ボジョレー・ヌーヴォーに白ワインってないの?

白ワインが入ったグラスiStock.com/anneleven

残念ですが、ボジョレー・ヌーヴォーに白ワインはありません。ガメイ種(赤ワイン用のブドウ)を使用するため、赤とロゼワイン以外は造られないのです。最近では、日本でもボジョレー・ヌーヴォーのロゼワインを見かけるようになりました。

しかし、「新酒」がないだけ。ボジョレー地区では、シャルドネ種で造られた白ワインも生産しています。時々、ボジョレー・ヌーヴォーの白があった!と驚く方もいますがそれは「ヌーヴォー(新酒)」ではなく、普通の熟成されたおいしい白ワインなんです。

フランスでは、新酒の白ワインとして「マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー」という、シャルドネ種100%で造られるワインがあります。生産地は、ボジョレー地区のすぐ北部マコネ地区。約50km近くに渡り続く広大な地区です。マコン・ヴィラージュは、白ワインにのみ認められた名前のため、赤やロゼワインはありません。

爽やかさとフルーティーさのバランスがよく、和食にも合わせやすいおいしいワインですよ。新酒の白ワインを飲みたい方は、「マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー」を探してみてください。通販でも購入できます。

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ボジョレーヌーヴォーのキャッチコピーについて

ボジョレー・ヌーヴォーがグラスに注がれる
iStock.com/barmalini

毎年ニュースや新聞で「10年に一度の…」「今世紀最大の…」などの、ボジョレー・ヌーヴォーをイメージしたキャッチコピーが出ます。最近でインパクトのあったキャッチコピーだと、2009年「50年に1度のでき栄え」や2015年「今世紀で最高のでき」などがあります。キャッチコピーだけで、おいしいって分かりますよね。

上記のようなインパクトのあるキャッチコピーは、販売業者や輸入元が考えた「売り文句」のようなものなのです。では、このキャッチコピーはどこから来たのかというと、ボジョレワイン委員会が発表した評価を元にしています。

ボジョレワイン委員会が発表する文章を、簡単にまとめたものがこちらです。
・2009年「数量は少なく、完璧な品質。桁外れに素晴らしい年」
・2015年「記憶に残る素晴らしいでき栄え」
販売業者が作ったキャッチコピーと比べると、ワインの本質について述べているコメントが多いことが分かります。

分かりやすいワインのイメージを知りたい方は、テレビやネットなどで報道されるインパクトのあるキャッチコピーを。ワインの本質を知りたい方は、ボジョレワイン委員会のキャッチコピーを参考にしてみると良いですよ。

ボジョレー・ヌーヴォーがまずいといわれる理由

収穫されたぶどうiStock.com/Dennis Swanson – Studio 101 West Photography

ワイン好きの方の中には、「ボジョレー・ヌーヴォーはまずいから苦手」という方もいます。それは、ガメイ種の特徴や製造方法が自分の好みと合っていないからでしょう。

まずい・苦手な理由は、
・甘い果実味、キャンディーのような甘い香りを強く感じる
・フレッシュでサラッとした口当たり
・次の日、二日酔いになる
などが挙げられます。

ガメイ種の特徴である甘い果実味と、時に感じるキャンディーのような甘い香りが、重厚な渋味のあるワインが好きな方には合わないかもしれません。また、収穫してすぐ製造し出荷しているため熟成感はありません。フレッシュでサラッとしているのが、ボジョレー・ヌーヴォーの特徴。熟成感が好きな方はまずいと思う方も。二日酔いをするは原因は、甘味もあり、サラッとしているので飲み過ぎてしまうからです。アルコール度数は、通常のワインと変わりません。量を飲めば、二日酔いになります。飲みやすいからといって、飲み過ぎないようにしましょう。

このようにボジョレー・ヌーヴォーがまずい・苦手といわれる理由は、ただ単に自分の好みに合っていないからなのです。まずいと思ったなら、飲み方を変えましょう。ベリー系のフルーツを入れて、サングリア風にして飲むと違うテイストになり美味しく飲めますよ。

ボジョレー・ヌーヴォーの特徴を知って、おいしく飲もう!

ぶどう畑になっているぶどう
iStock.com/Rostislav_Sedlacek

今年2021年の解禁日は、1118日(木)です。ボジョレー・ヌーヴォーは、今年どんなブドウができたのかな?を知れる機会になります。フランス産の熟成する前、フレッシュなワインを飲めるのはボジョレーヌーボーだけ。そして、秋にしかお目にかかれない貴重なワインです。ワインを飲み始めたばかりの方も、飲みなれている方も、この機会を逃さずにボジョレーヌーボーを楽しんでくださいね!

私が執筆しました。

YURI
ソムリエ・チーズプロフェッショナル / YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
【ブログ】ソムリエールYURIのちょこっとMEMO
【twitter】https://twitter.com/YURI06927640
【instagram】https://www.instagram.com/yuri.winetocheese

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