2020年09月09日(水)

“ヴィーガン・フレンドリー・ワイン”ってどんなワイン?【ワイン豆知識 初級】

先日、ショップでふと目に留まったワインのポップに “ヴィーガン・フレンドリー・ワイン”と買いてありました。ヴィーガン(ビーガン)と言えば完全菜食主義者のこと。ワインの原料は植物のぶどうなのに、どうしてわざわざ “ヴィーガン・フレンドリー”と書いてアピールするのでしょうか。

今回はその秘密についてまとめてみました。ヴィーガンの方もそうでない方も、“ヴィーガン・フレンドリー・ワイン”について知ると、ワインとの距離がより縮まること間違いなし!記事末では私が出会った絶品ワインをご紹介します。

ヴィーガンとは

一口に菜食主義と言っても、様々な考え方の人がいます。「穀物や野菜などの植物性食品、乳製品、卵は食べるけれど、肉や魚は食べない人」がいる一方で、「植物性食品、乳製品は食べるけれど、それ以外は食べない人」もいます。中でも “ヴィーガン”と呼ばれるのは「乳製品や卵を含む全ての動物性食品を一切口にしない人」です。ハチミツもNG。“ヴィーガン”が日本語で「完全菜食主義者」と訳される由縁はここにあります。

ここで冒頭の疑問に戻ります。ワインは植物のぶどうから造られているのに、なぜヴィーガン向けのワインとそうでないワインがあるのでしょうか。その秘密はワインの製造工程のひとつ、「清澄(せいちょう)」プロセスにあります。

清澄剤に使われる動物性素材

発酵・熟成後のワインは、酵母の死骸などの不純物(オリ)が浮遊し、濁っています。ワインの製造工程ではまず、重力によりオリを発酵タンクの底に沈め、上澄だけを別の容器に移し替えます。これが「オリ引き」と呼ばれる工程です。それでもまだ細かい不純物が残っているため、さらに透明度を高めるために「清澄」を行います。一般的に、清澄には「清澄剤」が使用されますが、この清澄剤に動物性の素材が使われるケースが多いのです。

よく知られているのは卵白やミルク、動物由来のゼラチン、魚由来のゼラチンです。余談ですが、赤ワインの銘醸地 フランスのボルドーでは、清澄剤として卵白を使ったあとに余った卵黄を有効活用するため、様々な卵黄料理が考案されたと言われています。そのうちのひとつが、ボルドーの銘菓 “カヌレ”です。ワイン造りがスイーツの歴史にも影響を及ぼしているなんて、ロマンを感じます。

閑話休題。清澄剤はワインに浮遊する不純物と結合して全て取り除かれるので、基本的には完成したワインの中には残らないと言われています。しかし、ごくわずかな分量が残留する場合があるのだとか。卵白やミルクはアレルギー源にもなり得るため、EUでは2012年より、清澄剤としてこれらを使う場合はワインボトルに明記することを義務付けました。わずかではあるものの、アレルギーを持つ人に配慮が必要な量…。ヴィーガンの人が、清澄剤に動物性素材を使って造られる多くのワインを飲むことができない理由は、ここにあります。

ヴィーガン・フレンドリー・ワインの正体

一方、全ての清澄剤が動物性素材ではありません。中には粘土の一種 “ベントナイト”や珪藻土(けいそうど)などの鉱物性のものや、豆やじゃがいものタンパク質などの植物性のものもあります。こうした “動物性ではない素材”を清澄剤に使って造られるワインは、ヴィーガンの方でも飲むことができるワイン… “ヴィーガン・フレンドリー・ワイン”と呼ばれるわけです。中には清澄や濾過自体を行わず、不純物が含まれたまま出荷されるケースもありますが、これもヴィーガン・フレンドリーです。

もともとヴィーガンはイギリスで提唱されたライフスタイル。ヴィーガン・フレンドリー・ワインのルーツもイギリスにあります。日本ではまだメジャーではありませんが、世界ではイギリスを皮切りに、徐々にヴィーガン・フレンドリーを掲げる造り手が増えているようです。

ヴィーガン・フレンドリーだからと言ってワインの味わいに直接影響が出ることはないようです。「それならヴィーガン以外の人には、ヴィーガン・フレンドリーであるかどうかは関係ないじゃないか」と思われるかもしれません。ただヴィーガン・フレンドリーのワインからは、「様々なライフスタイルの人にワインを楽しんで欲しい」…そんな造り手の優しさや心意気が伝わってきます。そういう造り手によって生み出されるワインは、きっと味わいも素晴らしいに違いありません。

それでは、今回のおすすめヴィーガン・フレンドリー・ワインをご紹介します。

MITOLO JESTER VERMENTINO 2017

オーストラリア 南オーストラリア州のワイナリー、MITOLO(ミトロ)の白ワインです。ぶどうの品種はヴェルメンティーノ。イタリアのサルディーニャ島でよく栽培されているぶどうで、「地中海を感じさせるぶどう」と言われます。ヴェルメンティーノから、はミネラリーで魚介料理によくあう辛口タイプの白ワインが造られます。

ミトロは1999年設立の、まだ若いワイナリー。栽培家のミトロ氏と “ロバート・パーカーを唸らせる天才醸造家”の呼び声高いベン・グレッツァー氏がタッグを組んだことで始まったのだとか。成り立ちからして何だかすごそうです。

JESTER VERMENTINO(ジェスター・ヴェルメンティーノ)はミトロの中でも高く評価されている白ワイン。ボトルにヴィーガンフレンドリーの記載はないものの、ワインショップや海外のヴィーガン製品検索サイトにはおすすめヴィーガンワインとしてリストアップされていました。イギリスやイタリアにはヴィーガン認証機関があり、認証マークも運用されていますが、その他の国ではまだ明確な記載ルールはないようです。

グラスに注ぐと豊かな花の香りが立ち上がり、少しグラスを揺らすと桃やメロンを連想させる果実の甘い香りが鼻腔をくすぐります。口に含むとすっきりとした酸が心地よく、夏の暑さで乾いた喉が冷んやり潤されます。舌触りはまろやか。ヴェルメンティーノならではのミネラル感がありながらも、クリーミーなまろやかさが印象的です。鼻に抜ける香りにはほんのりハーブのニュアンスが混じります。非常に美味!前述の通りヴィーガン・フレンドリーであることは味わいに影響していないものの、質の高いぶどうと丁寧な醸造がこの美味しさにつながっているのだと感じました。

ちなみに、キャップシールには「REEFER Fine Wine From Australia」のシールが。こちらは温度管理が徹底できる「リーファーコンテナ」を使って輸入されたことを表しています。オーストラリアから灼熱の赤道を通って日本に運ばれたワインですが、品質が劣化しないように一定の温度で管理されていたことがわかります。こうしたインポーターの努力も美味しさの一因です。

最後に

私自身はヴィーガンではありません。しかし、ヴィーガン・フレンドリーワインについて知ることで、ワインの寛容さをより感じることができ、ますますワインが好きになりました。異なるライフスタイルであっても共に楽しむことができるワイン。改めてとても魅力的に感じませんか?

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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