
2021年02月27日
この記事ではシャンパンとスパークリングワインの違いについて、さまざまな角度からご紹介します。ハロウィンやクリスマス、忘年会などなど、何かとイベントが増える年末。そんなシーンにぴったりなお酒といえば――シャンパン?スパークリングワイン?あなたはどちらを思い浮かべるでしょう。
スパークリングワインとは、3気圧以上の炭酸ガスを含んだ発泡性のあるワインを総称した呼び名です。1~2.5気圧のワインは弱発泡性、0.5~1気圧のワインは微発泡性と分類されるため、一般的にスパークリングワインは強発泡性にあたります。
一方シャンパンは、そんなスパークリングワインの一種。使用されるブドウの品種や製造方法が厳密に定められており、限定された条件をクリアしたスパークリングワインだけがシャンパンと名乗れるのです。
一口に「スパークリングワイン」といっても、その製造方法はさまざま。製造方法を紐解いていくと、スパークリングワインとシャンパンの違いがさらに具体的に理解できます。
瓶内で二次発酵させて作る製造方法は、シャンパン方式と呼ばれます。まず製造過程として、醸造した通常のワインを瓶に詰め、そこに糖分と酵母を加えます。瓶内で酵母が糖を分解することによって、炭酸ガスとアルコールが発生。ゆっくりと時間をかけて発酵・熟成させることで、きめ細かい泡が立つスパークリングワインに仕上がります。
この製造方法は、シャンパーニュ方式、トラディショナル方式と呼ばれることも。工程が多く、手間とコストがかかる方式のため、販売価格も高くなるようです。
シャルマ方式とは、大きな密閉タンクを使って二次発酵させる製造方法です。ワインを瓶の中で発酵させるシャンパン方式に対し、大きなタンクを利用して製造するシャルマ方式では一回の作業で大量に生産ができます。そのため短い時間で量産でき、コストを抑えられるため、品質の高いスパークリングワインの中でも比較的安価で購入が可能です。
密閉タンクで空気に触れずに作られるため、ブドウのフルーティーさが際立つのもシャルマ方式で製造されたスパークリングワインの特徴。「シャルマ」という人物がこの方式を編み出したことが由来とされ、そのまま製法名として採用されました。
瓶内で発酵させたワインを加圧したタンクに入れ、ワイン中の沈殿物を除去してからボトルに詰める製法をトランスファー方式といいます。他の方式と比較して製造工程が少なく、低コストでスパークリングワインを製造することができるといわれています。
渋みの元であるタンニンなどの沈殿物を取り除いているため、飲みやすくスッキリとした味わいのワインが出来上がります。
リュラル方式は主に温暖な地域で用いられるワインの製造方法で、別名、田舎方式とも呼ばれています。暖かい地域で栽培されたぶどうは、その他の地域のものと比べ糖分を多く含んでいます。
発酵しきらないうちにワインを瓶詰めし、瓶内で発酵。その際には糖を新たに追加せず、ぶどうが持っている糖分だけで発酵させ、炭酸を発生させます。そのためシャンパン方式と比べ、アルコール度数が低いのが特徴です。
炭酸ガス注入方式は、瓶詰めされたワインに炭酸ガスを人工的に注入する製造方法です。製造に手間も時間もかからないため、大量生産できることが特徴です。
人工的な製造方法のため、他の方法より味や泡のきめ細やかさが欠けるようにも感じますが、原酒と人工炭酸の相性次第では品質の良いスパークリングワインに仕上がります。
ラベルにはどの製造方法で作られたかが記載されているので、スパークリングワインを選ぶ際に製造方法を参考にすると、味や泡のきめ細やかさが想像できるかもしれませんね。
シャンパンは、優れたワインの産地ともいわれるフランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ワインを指します。しかし、このシャンパーニュ地方で作られたもの全てが、シャンパンとして世に出るわけではありません。
前述のとおり、AOC法と呼ばれるフランスのワインに関する法律で定められた厳しい条件をクリアしたスパークリングワインのみが、シャンパンと名乗ることを許されます。
主な条件は、下記のとおりです。
シャンパンと呼ばれるスパークリングワインは、使用するぶどうの品種にも厳密な規定があります。認められている品種は、白ぶどうはシャルドネ、黒ぶどうはピノ・ノワールとピノ・ムニエだけ。厳密には、使用されるぶどうの面積当たりの収穫高の制限なども定められています。
シャンパンを名乗るためには、手間のかかるシャンパン方式で、発酵中に出てきたタンニンなどの沈殿物を取り除きリキュールを加え味を整えるなど、規定通りに細かい作業を繰り返し行う必要があります。
加えて、製造期間は15ヶ月以上かけなければならないという規定も。規定違反はもちろん、工程をひとつでも省いた場合はシャンパンと呼ぶことは許されず、万が一それらをシャンパンとして売り出すなんてことがあれば、処罰の対象となるようです。
ちなみに、れっきとしたシャンパンには「Champagne」と記されたラベルがつけられるため、ラベルを見れば容易に判別できます。
品種や製造方法がシャンパンの規定どおりのスパークリングワインでも、シャンパーニュ地方以外で製造されたものはシャンパンと名乗ることはできません。しかし同じ品種や製造方法ということで、リーズナブルにシャンパンと同等の味わいを楽しむことができるのがポイントです。
例えば、スペインの「カヴァ」、イタリアの「フランチャコルタ」などがそれに該当します。シャンパーニュ地方以外のフランスで製造された「クレマン」も有名ですね。シャンパンは価格的にもハードルが高いですが、これらはリーズナブルに購入できます。
スパークリングワインは、製法、国や地域、ぶどうの品種などによって呼称が異なることがわかりました。その中でもシャンパンは、スパークリングワインの中でも厳しい基準をクリアしたシャンパーニュ地方の由緒正しき特別なものです。
2020年も、残すところあと3ヶ月あまり。今年1年頑張った自分へ、ちょっと贅沢なご褒美としてお好みのスパークリングワインを見つけて、楽しんでみるのはいかがでしょうか。