2020年10月14日(水)

世界中のワインラバーが虜!「ピノ・ノワール」ってどんなワイン?

皆様こんにちは、インポーターの大野みさきでございます。

秋めいて参りましたね。読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋・・・〇〇の秋とありますが、皆様は何の秋がお好きですか。行楽シーズンなのでGO TOトラベルを利用して、「ワインピクニックの秋」、あるいはテラスで「ワイン片手に夜長の秋」どちらも捨てがたいです。今の時期は最高に気候が良いので、アクティブに活動したいところです。

世界中の愛好家を虜にしてやまない赤ワインと言えば・・・

さて、世界中の愛好家を虜にしてやまない赤ワインと言えば、ピノ・ノワールでしょう。名だたるブルゴーニュの生産者がこぞってピノ・ノワールを植え、憧れの畑や生産者に目を輝かせ、村名や畑名の違いをブルオタ(ブルゴーニュオタク)が夜な夜な語り、しまいには「私の血にはブルゴーニュワインが流れているの」とどこかで耳にしたようなセリフが聞こえてきます。

最初は難解。でも知れば知るほど魅惑的な「ピノ・ノワール」

はじめてブルゴーニュの村名ピノ・ノワールを飲んだ時、「これは酸っぱいぞ。値段も高いし、やけに気取った品種だな」と思いました。初心者向けのボルドーワインのように、わかり易いタイプではなかったのです。

知識や経験も乏しかった私は、複雑難解な迷宮の入り口で立ちすくんでしまいました。ピカソは万人ウケをするそれは美しい絵画も描きますが、いきなりモノトーンのゲルニカを見せられ、「うーん、ちょっとこれは理解し難い」となってしまった訳です。

しかし、このとろけてしまうほど、セクシーで官能的な世界に引き込まれるのに、そう時間はかかりませんでした。前置きが長くなりました。今日は 魅惑的なブドウ品種「ピノ・ノワール」を丸裸にしてしまいましょう。

ピノ・ノワール/Pinot noirプロフィール
●白/黒:黒ぶどう

●原産地:ブルゴーニュ
●主な栽培地:ブルゴーニュ、アルザス、ドイツ、ニュージーランド、オレゴン
●シノニム:シュペートブルグンダー、ブラウブルグンダー、グロノワリアン、ピノネロ
●果粒:円筒形の房、丸型、オバール型で密集する
●果皮:薄い、青みがかった紫色、アントシアニンの含有量が少ない
●栽培環境:冷涼な環境と痩せた土壌を好む
●樹勢:強い
●病気の耐性:栽培が難しくカビや病気に弱い
●特徴:早熟なのでハンギングタイムを長くしないと生理的熟成が見込めない
●外観:ワインの色素が明るく淡い
●味わい:酸が強い、タンニンは穏やか

おおいなるピノ・ノワールファミリー

ピノ・ノワールはブルゴーニュ原産の品種で、その起源はローマ時代と古く、当時の文献には既にその名が記されています。どうやらトラミナーが片親で生まれたのですが、両親が誰なのかは置いておき、特筆すべきはそのファミリーが多岐に渡っているところです。同産地の シャルドネを筆頭に、ガメイ、アリゴテ、ミュスカデ、マルベック、ロモランタン、ピノタージュなどの片親は、なんと全てピノ・ノワールなのです!!

また、ピノ・ノワールは 突然変異の王様としても知られています。ピノ・グリ(グリ系の白ぶどう)やピノ・ブラン(白ぶどう)は、ピノ・ノワールの遺伝子の変化で誕生しました。何とも気まぐれな品種ですが、2000年と長きに渡って人間に飼い慣らされてきたので、黒ぶどう~白ぶどう(グリ系)まで、ピノ・ノワールの遺伝子を受け継いでいる大家族が形づくられていることにも、妙に納得がいきます。

クローン数も1000以上!

クローン数も1000を超えるほどあり、本家本元のブルゴーニュ系やドイツ系に枝分かれし、産地の気候や土壌に適合するもの、あるいはスティルワインやスパークリングワインなどのワインの タイプ別に相応しいクローンが選ばれます。それらのクローンは数があり過ぎるので、113、115、667、777などのコード番号で識別されます。単一クローンでひとつの区画を占領するよりも、多様性を重んじて複数のクローンを植える傾向があります。

単一品種ピノ・ノワールの楽しみ方

ピノ・ノワールは高貴品種です。ブドウ自体に価値があるので、 単一で造られることがほとんどです。よって、ブレンドワイン(シャンパーニュ以外)や補助品種としての使用は聞いたことがありません。

冷涼な地域を好む品種で、今や世界中で栽培されています。ピノ・ノワール産地を代表するブルゴーニュ、ドイツ、ニュージーランドなどの涼しい地域では、酸が爽快なイメージです。気候が不安定なエリアもあるので、ヴィンテージ差もみられます。

一方、オレゴンやカルフォルニア、オーストラリアなどの比較的温暖な地域では、色が濃く厚みがしっかりとしたタイプが多いのが特徴です。旧世界や新世界、気候条件や畑の日照量、新樽や小樽の使用にも出来上がりは左右され、最終的には造り手の個性が加味され、多様なピノ・ノワールに仕上がります。

ピノ・ノワールを丸ごと味わう

今回頂いたのは 南アフリカのトップ生産者、クリスタルムのピノ・ノワールです。このキュヴェは2016年がファーストヴィンテージで、わずか2(600)の生産量しかないとても希少なワインです。「素晴らしいワインはセラー内ではなく、畑で造られる」を信念に、2007年よりワイン造りに精を出しています。

果梗(かこう)を丸ごと用いた「全房100%」の赤ワインです。

果梗には強い渋味、苦味、えぐみがあるので、通常のワイン造りには向きません。しかし、ピノ・ノワールの特性として、果皮が薄くタンニンが不十分なので、渋味を補強して骨格を形成する目的で使われたりします。

やり方は除梗後に発酵タンクに梗(全部or一部分)を戻し入れるか、または果梗付きで房ごと発酵タンクに投入するかがあり、クリスタルムの場合は後者です。この醸造方法を全房発酵(このワインの名前でもある、ホールバンチWhole Bunch=全房)と言い、少しずつ潰しながら発酵させる伝統的な手法で、ブルゴーニュのDRCこと、ドメーヌ ド ラ ロマネ コンティも同じように仕込んでいます。

ただ、前述したように果梗を使用するには、その質が重要となってきます。クリスタルムのワインはヘルナマス地方の日照量が豊かな区画で栽培されたので、年の差はあれど、梗や茎までしっかり熟しています。果梗に由来するであろうハーブ(ミント)の清涼感が感じられました。その他、ブルーベリージャム、カシスリキュール、ヨード、藁、スミレなどの複雑で力強いアロマが広がります。

流石、トップ生産者が手掛けるだけあって、味わいも逸品です。熟した果実のエキス分、優美な酸、絹のような滑らかなタンニンが幾重にも数珠玉と連なって、生み出される調和。エレガントさがありながらも、芯の強さを秘めたワインです。牛肉の赤ワイン煮込みと頂いたのですが、それはもう大満足でした!!


■飲んだワイン
CRYSTALLUM キュヴェホールバンチ ピノノワール2016
参考価格 6,000円+

最後に

では最後に、細菌学の父と呼ばれ、アルコール発酵のメカニズムを解明した、ルイ パストゥールの名言をご紹介して終わりにしましょう。

「一本のワインボトルの中には、全ての書物にある以上の哲学が存在する」

生産者は概ね哲学を語ります。あるいは貴方自身も美味しいワインに出会ったら、しんみりとワインを哲学するかもしれません。秋の夜長に魅惑のピノ。ノワール、うっとり酔いしれてみるのも良いでしょう。今日はピノ・ノワールを脱がせました。

それでは皆様、ごきげんよう!

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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