2020年12月26日

定番を覚えよう。イタリアンの代表的なメニューとワインの合わせ方

イタリアンレストランへ行ったら、合うワインをマリアージュさせたい!と思う方も多いと思います。しかし、メニュー構成やどんな料理かを詳しく知らないとワインも選びにくいでしょう。この記事では、イタリアンの基礎知識や、定番のイタリア料理とワインを合わせるコツをご紹介します。

「イタリアン」の基礎知識

イタリア料理
iStock.com/K2_keyleter

イタリアンの基本的なコースメニューは、
・アンティパスト
・プリモピアット
・セコンドピアット
・ドルチェ
の順に進むのが一般的です。お店によっては、セコンドピアットの付け合わせ(コントルノ)を何品かオーダーすることもあります。

注文するときのルールとして、プリモピアットを2品やセコンドピアットを2品だけなどのオーダーはしてはいけません(メニュー構成で複数選ぶ場合もあります)。基本的には、どれだけ食べたいものがあっても、各1品ずつ選びましょう。またフレンチも同様ですが、基本的にシェアはしないことが好まれます。もしどうしてもシェアをしたい場合は、ホールスタッフやシェフに相談してみるといいですよ。

アンパティスト(前菜)

アンティパストとは、前菜を意味します。サラダやカルパッチョなど簡単に出せるメニューが多いことが特徴的です。お店によっては、冷たい前菜と温かい前菜の2種類を出すところや、前菜の盛り合わせのような形で、さまざまな料理を少しずつお皿に盛り付けるところもあります。

牛肉のカルパッチョ

牛肉のカルパッチョ
iStock.com/AlexBlackPhoto

牛肉のカルパッチョは、イタリアンの伝統料理でもあります。薄くスライスした牛肉に、パルミジャーノ・レッジャーノ(チーズ)のスライスやサラダを盛り付け、バルサミコ酢ベースのソースがかかっているところが特徴。牛肉の旨味とチーズのコク、そしてバルサミコ酢ソースの酸味が絶妙なバランスですよ。牛肉料理ですが、バルサミコ酢のソースのおかげでさっぱりと食べられます。

ワインの合わせ方

一般的に肉には赤ワインを合わせるというイメージがありますよね。もちろん相性はよいですが、後半の料理を考えると赤ワインから飲むのはおすすめしません。辛口のスパークリングワイン(プロセッコ)、赤のスパークリングワイン(ランブルスコ)や北イタリア(トスカーナ州、エミリア・ロマーニャ州など)のシャルドネと合わせてみてください。

カプレーゼ(サラダ)

カプレーゼ
iStock.com/Максим Крысанов

カプレーゼとは、トマトとモッツアレッラチーズのサラダです。お店によってさまざまですが、オリーブオイルやバルサミコ酢をベースにしたソースがかかっています。モッツアレッラチーズのミルキーな味わいとトマトの甘酸っぱさがよく合いますよ。

ワインの合わせ方

トマトの酸味とモッツアレッラチーズのミルクの味わいを楽しむために、シンプルなワインを合わせることがポイントです。スパークリングワインのスッキリさを合わせると、次のワインに繋げやすくなります。白ワインなら爽やかなで軽やかなタイプが相性抜群ですよ。

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魚介のフリット

海老のフリット
iStock.com/PixHound

温かい前菜として、海老や魚介のフリットがでることがあります。サクッとした衣と、さまざまな魚介を特製のソースや岩塩などでいただきます。お酒もすすむ旨味たっぷりの前菜ですよ。

ワインの合わせ方

辛口のスパークリングワインもいいですが、白ワイン(ソアヴェ・クラシコやガヴィなど)がおすすめです。爽やかな酸味とほんのりフルーティーな味わいが、温かいフリットによく合いますよ。

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前菜とワインの合わせ方 まとめ

前菜は、基本的にさっぱり食べられるものが多いです。次の料理のことも考えてスッキリ・あっさり系を合わせると相性抜群。メイン料理でボトルワインを注文しようと考えている方は、初めにグラスのスパークリングや白ワインを注文するのがおすすめですよ。

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プリモピアット(メイン前の料理)

プリモピアットとは、日本語に訳すと「第一のお皿」。メイン料理の前に、パスタやリゾット、ピッツアなどの炭水化物や具だくさんのスープ料理を食べることが基本です。

メニュー構成で、1種類ではなく2種類プリモピアットを提供するお店も。その場合は、軽いもの(スープ)→重いもの(パスタ)の順に出てきます。ピッツァやニョッキは地方料理のひとつなため、全イタリア料理店で出てくるとは限らないので注意しましょう。

ボロネーゼ(パスタ)

ボロネーゼ
iStock.com/ciobanu_anamaria

ひき肉をトマトベースで煮込んだソースを和える、オーソドックスなパスタです。有名なパスタなので、お店の味わいや特徴がよく分かるメニューのひとつ。平打ち麺や生パスタなどを使うお店もあるので、いろいろなお店で食べ比べするのもおすすめですよ。

ワインの合わせ方

ボロネーゼはひき肉をトマトで煮込むことで、旨味と酸味がしっかり味わえるパスタ。レシピに赤ワインが含まれることも多いので、同じ赤ワインを合わせる方がよいです。サンジョベーゼ(ブドウ品種)で造られた、ライトからミディアムボディのあっさりめのものがよく合います。「キャンティ」は、酸味と果実味をしっかり味わえてパスタにも合うのでおすすめです。

パルミジャーノ・レッジャーノのリゾット

パルミジャーノ・レッジャーノのリゾット
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パルミジャーノ・レッジャーノを使ったリゾットは、ポルチーニ茸やジロール茸などヨーロッパ産のキノコを合わせたものがよく見かけられます。最近では、仕上げに席でパルミジャーノ・レッジャーノを削ってくれるお店もありますよ。チーズのコクとキノコの香り、そしてもっちりとしたリゾットがとても食欲をそそるひと皿です。

ワインの合わせ方

チーズやキノコの風味を楽しむために、ワインは特徴が少ないものがおすすめです。例えば、前菜でスパークリングやグラスの白ワインを注文された方は、同じものでもよいでしょう。辛口のスパークリングワインは、濃厚なリゾットを心地よく流し込んでくれるので合わせやすいですよ。

ミネストローネ(スープ)

ミネストローネ
iStock.com/KucherAV

ミネストローネは、具だくさんな野菜とショートパスタをトマトベースのスープにしたひと品。旬の食材を豊富に入れたスープなので、しっかり食べごたえがありますよ。野菜好きには嬉しいメニューです。

ワインの合わせ方

ミネストローネはスープなので、ワインやお酒を無理に合わせる必要はありません。もし合わせるのなら、トマトの爽やかさと野菜の旨味に合うさっぱりとした赤ワインがおすすめです。サンジョベーゼ(ブドウ品種)が主体の、ライトボディの赤ワインを選んでみましょう。

マルゲリータ(ピッツァ)

マルゲリータ
iStock.com/kuri2000

ピッツァは、地方料理なのでプリモピアッツトとして必ず出てくるメニューではありません。マルゲリータは、トマト、バジル、モッツアレッラチーズがのったカンパーニャ州(ナポリ)の名物料理です。チーズのトロトロとトマトの甘味、バジルの爽やかさのバランスが最高の一枚ですよ。

日本人は、ピッツァをシェアして食べることが多いですが、イタリアでは一人一枚(シェアしない)が基本的なスタイルです。シェアしたい場合は、お店の方に伺いましょう。

ワインの合わせ方

マルゲリータには、同じ地方で造られるカンパーニャ州の白ワインがおすすめ。土着品種であるフィアーノ(ブドウ品種)から造られる「フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ」という白ワインは、爽やかさと香りの華やかさがあり、マルゲリータにピッタリです。フィアーノから造られる白ワインを合わせたら、ナポリに行った気分になれますよ。

プリモピアットとワインの合わせ方 まとめ

プリモピアットは、炭水化物系のメニューが多いです。ワインを合わせるなら、赤白どちらもさっぱり系のものを選びましょう。また一本ボトルをオーダーする場合は、プリモピアットだけでは飲みきれないと思うので、次のセコンドピアットの料理にも合うものを選ぶようにするといいですよ。

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セコンドピアット(メイン料理)

セコンドピアットとは、第二のお皿を意味します。プリモピアットのあとに提供される、肉や魚のメイン料理のことです。メインを2種類提供するお店は、軽いもの(魚料理)→重いもの(肉料理)という順番で出てきます。内陸部は肉料理、海岸地方は魚料理をメイン料理として持ってくる場合が多いですよ。

牛肉のタリアータ

牛肉のタリアータ
iStock.com/Vladimir Mironov

タリアータとは、牛肉のステーキをスライスしたものとルッコラなどの野菜、チーズを和えた料理です。バルサミコ酢のソースがステーキやチーズと絡まり、絶品です。野菜と一緒に食べるので、さっぱりといただけるメニューですよ。

ワインの合わせ方

タリアータは、トスカーナ州の郷土料理です。せっかくなら、トスカーナ州の赤ワインと合わせてみましょう。おすすめのワインは、「キャンティ・クラシコ」です。前菜では「キャンティ」を紹介しましたが、キャンティ・クラシコの方が重厚感があり芳醇な味わいを楽しめます。タリアータの赤身肉とワインの相性は、バッチリですよ。

アクアパッツァ

アクアパッツァ
iStock.com/ahirao_photo

アクアパッツァとは、水やオリーブオイル、トマト、白ワインなどで魚介を煮込んだお魚料理のこと。ブイヨンを使わないのが特徴です。魚の旨味と貝類から出ただしが、ニンニクやハーブの香りと合わさり深い味わいに。スープまで、全部飲み干したくなるおいしいひと皿です。

ワインの合わせ方

アクアパッツァは、白ワインを入れて煮込むのが一般的。もし可能ならば、お店の方に煮込むときに使われた同じ系統の白ワインを紹介してもらいましょう。料理とワインが、ばっちり合うこと間違いなしです。カンパーニャ州の郷土料理なので、カンパーニャ州の白ワインと相性がいいですよ。ぜひ、土着品種を合わせてみてください。

ビステッカ アッラ フィオレンティーナ

ビステッカ・アラ・フィオレンティーナ
iStock.com/Borderless Traveler

ビステッカ アッラ フィオレンティーナとは、トスカーナ州の郷土料理であるTボーンステーキのことです。炭火で焼くことで香ばしく、カリッとした外側とジューシーな肉の旨味が堪能できます。

ワインの合わせ方

ビステッカ アッラ フィオレンティーナは、肉の旨味を存分に楽しめる料理です。炭火で脂を焼き切るので脂っこくはないですが、しっかりした味わいの料理なので濃厚な赤ワインがよく合います。

おすすめは、トスカーナ州で造られる「スーパータスカン」と呼ばれるワイン達。お値段は少し張りますが、トスカーナ州で造られる「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロ」のワインは、ビステッカ アッラ フィオレンティーナにピッタリですよ。

セコンドピアットとワインの合わせ方 まとめ

セコンドピアットは、コースのメイン料理です。しっかりした味わいのメニューが多いので、ワインも深みのある濃厚なものを選ぶといいでしょう。また、お魚料理でも調理方法によっては赤ワインが合うこともあります。お店の方やソムリエさんに、合うものを選んでもらうのがおすすめです。

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コントルノ(メインの付け合わせ)

コントルノとは、セコンドピアットと一緒に食べる付け合わせの料理のこと。イタリアではセコンドピアットと別のお皿で提供されますが、日本では同じお皿で盛り合わせられることが多いです。基本的には、野菜のグリルやソテー、マリネなどの料理が一般的となります。

野菜のグリル

野菜のグリル
iStock.com/kabVisio

旬の野菜をグリルしたシンプルな料理。野菜の甘味が存分に引き出されているので、単品でもおいしく食べられますよ。

キノコのソテー


iStock.com/fotoedu

ヨーロッパは、香り豊かなキノコが豊富に取れます。キノコのソテーは、付け合わせですがそれぞれのキノコの旨味がしっかり味わえて存在感があり、メニューにあればぜひ頼んでいただきたいメニューです。

ジャガイモのピューレ

ジャガイモのピューレ
iStock.com/YelenaYemchuk

ジャガイモのピューレは、マッシュポテトと同じようなものです。ビステッカ アッラ フィオレンティーナや牛肉のステーキなどに合わせることが多く、肉汁の旨味を吸ったジャガイモのピューレは絶品ですよ。

コントルノとワインの合わせ方 まとめ

コントルノは、セコンドピアットと一緒に味わうメニューなので、基本的にはワインも同じものを。シンプルなものが多いので、何を合わせても相性よくまとまります。

ドルチェ(デザート)

ドルチェとは、デザートのこと。各地方によって、さまざまな焼き菓子やケーキなどがあるのもイタリアンの特徴です。

ティラミス

ティラミス
iStock.com/Fascinadora

マスカルポーネチーズのクリームとコーヒーの浸みこんだスポンジケーキが絶妙なティラミス。クリーミーさとほろ苦さで、お腹いっぱいでもパクパクと食べられてしまう魔法のケーキです。スポンジケーキではなく、ビスケットのようなものにコーヒーをしみこませたしみこませたティラミスもおいしいですよ。甘いものが苦手な方におすすめなデザートです。

アフォガード

アフォガード
iStock.com/AnnaPustynnikova

アフォガードとは、バニラアイスにエスプレッソをかけて食べるデザートです。温かいエスプレッソがアイスを溶かし、温かさと冷たさが一度に楽しめます。エスプレッソに苦味があるので、口をさっぱりさせてくれるほろ苦い大人のデザートですよ。

トルタ・アラ・チョコラート

トルタ・アラ・チョコラート
iStock.com/elenakor

トルタ・アラ・チョコラートとは、イタリア語でチョコレートのタルトという意味です。チョコレートがたっぷり使われた、濃厚で食べごたえのあるデザート。薄いタルトなので食べ疲れせず、チョコレートとタルトのおいしさを最後まで楽しめますよ。

デザートとワインの合わせ方 まとめ

コーヒーやエスプレッソなどの食後の飲み物は、デザートのあとに注文するのが一般的。デザートと一緒なら、デザートワインを注文しましょう。甘いデザートに、甘口ワインを合わせると口の中が甘くなってしまいそうと思われがちですが、相乗効果でおいしくなりますよ。

おすすめは、「ヴィンサント」というトスカーナ州で造られる爽やかな甘口ワイン。黄金色に輝く旨味の詰まったワインは、デザートとの相性も抜群ですよ。

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ワインを合わせてもっと楽しもう!

イタリアンフルコースとワイン
iStock.com/kazuhide isoe

郷土料理がたくさんあり、地方ごとに特徴がさまざまなイタリアン。その料理に合ったワインを注文することで、食事がさらにおいしくなります。また選び方が難しいなと感じたら、プロであるソムリエに聞くことは恥ずかしいことではありません。イタリアンを、相性のいいワインと一緒にもっとおいしく楽しんでみましょう。

私が執筆しました!

YURI
ソムリエ・チーズプロフェッショナル / YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
【ブログ】ソムリエールYURIのちょこっとMEMO
【twitter】https://twitter.com/YURI06927640
【instagram】https://www.instagram.com/yuri.winetocheese

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