2021年03月17日

“はずれワイン”の対処法(前編)

楽しみにしていたワインを開けたら、全然美味しくなくてがっかり……。いわゆる “はずれワイン”にあたってしまった経験、ありませんか? とってもテンションが下がりますよね。でもそのワイン、実は “はずれ”ではないかも知れません……!

「このワイン “はずれ”かも……?」と感じる場合、実際にはいくつかのパターンに分けられます。

1. ワインの味わいが自分の期待通りでない……ミスマッチパターン
2. ワインのポテンシャルが隠されてしまっている……能ある鷹は爪を隠すパターン
3. 保管ミスでワインの状態が悪化……劣化パターン
4. 元からワインの状態が悪い(ブショネなど)……“はずれ”パターン

このように必ずしもワイン自体がはずれなわけではなく、別のところに原因があるかも知れないのです。今回は、上記のパターンごとに “はずれワイン”の対処法をまとめます。まずは前編として、 “ミスマッチパターン” と “能ある鷹は爪を隠すパターン“についてお話します。

1. ミスマッチパターン(ワイン購入時の注意点)

ワインの味わいが自分の期待通りでない場合に “はずれ”を感じる “ミスマッチパターン”は、そもそもミスマッチを起こさないようにワインを選ぶことが何よりも大切です。気をつけるべきポイントは3つあります。

ミスマッチを防ぐポイント(1):価格レンジ

『ワインの新スタンダード』(石田博 著、世界文化社)を参考にして整理すると、ワインの価格レンジは次のように分類できます。自分がワインに何を求めるかを見極め、適したレンジのワインをチョイスするとミスマッチが少なくなります。

(A)〜2,000円の価格帯=カジュアルレンジ
シンプルでわかりやすい味わい。ブドウ品種の個性を楽しむのに最適なレンジ。品種の特徴を頭に入れて選ぶと失敗が減る。いわゆるデイリーワイン。抜栓後はなるべくその日のうちに飲み切りたい。

(B)2,000円〜10,000円の価格帯=プレミアムレンジ
生産者の醸造技術や工夫、産地の特徴が加わり、ブドウ品種の個性だけでは表現できない複雑さを楽しむことができるレンジ。抜栓後3日〜1週間は楽しめる。

(C)10,000円以上の価格帯=スーパープレミアムレンジ
ここぞ! というタイミングで大切な人と一緒に楽しみたい高級レンジ。ソムリエのいるレストランに持ち込んでベストな状態でじっくり向き合いたい。

ミスマッチを防ぐポイント(2):味わいの甘辛度

ワインには甘口と辛口があります。一般的に、食事にあわせるなら辛口、デザートやブルーチーズにあわせたりワインそのものをデザート感覚で楽しんだりするなら甘口を選びます。この甘口・辛口のチョイスですが、実は意外とミスしがちなポイントです。

デザートワインや「ドルチェ」と書かれたワインなら、言葉の響きからして甘口だとわかります。問題は辛口のフリをした甘味の強いタイプのワインです。原料ブドウの糖度や醸造方法によっては、辛口でも甘みを強く感じるワインに仕上がります。濃厚で重たいワインを求める人には問題ありませんが、キリッとした口当たりを求める人にはミスマッチ! ラベルから読み取ったりスタッフやソムリエに聞いたりして、求める味わいのワインを探しましょう。

ミスマッチを防ぐポイント(3):醸造方法が醸し出す個性

ワインは醸造方法によってさまざまな香りや味わいを醸し出すお酒です。最もわかりやすいのは熟成に木樽を使っているかどうか。木樽で熟成したワインには樽由来の香り(杉のような木の香りやヴァニラ、カカオのような甘い香り)がつきますし、ステンレスタンクで熟成したワインはブドウ本来の要素が強く醸し出されます。木樽熟成のワインでも、アメリカンオーク樽を使ったものとフレンチオーク樽を使ったものとでは、香りのトーンが全く異なります。

自分の好みや気分にあわせてチョイスできるようになると、ミスマッチがぐんと減ります。例えば「今日はスッキリした口当たりのワインが飲みたいので、アメリカンオークのニュアンスが強めのワインではなく、フレンチオーク樽かステンレス樽を使って熟成されたワインを選ぼう」というように。お店の人に「こういう味が好き or 苦手/今日はこういう味を求めている」を伝えて、相談にのってもらうのがおすすめです。

2. 能ある鷹は爪を隠すパターン(飲むときの一工夫)

ミスマッチに気をつけてワインを選んだのに、味わいが期待はずれ……。そんな時は、ワインのポテンシャルが隠されてしまっている “能ある鷹は爪を隠すパターン”に陥っているかもしれません。ワインによっては飲む時にひと工夫加えることで、香りや味わいがグンとよくなります。ぜひ以下の3点を試してみてください。

ポテンシャルを引き出す方法(1):温度を変える

ワインには美味しく飲むための “適正温度”があります。冷たすぎると香りや味わいが閉じて薄っぺらく感じたり、温かすぎると生臭く感じたり……少しめんどくさいお酒です(そこがいいところなんですけどね!)。タイプごとの適正温度を以下にまとめましたので、参考にしてください。プレミアムレンジ以上のワインは高めの温度、カジュアルレンジのワインは低めの温度が理想です。かっこ内は「温度を細かく気にするのはハードルが高い」という場合の目安です(室温にもよるので、あくまで参考としてご確認ください)。

◆重たい赤ワイン:16℃〜20℃(冷蔵庫から出して30分ほど)
◆軽い赤ワイン:12℃〜18℃(冷蔵庫から出して15分ほど)
◆辛口の白ワイン:6℃〜14℃(冷蔵庫から出して5〜10分ほど)
◆ロゼワイン:8℃〜10℃(冷蔵庫から出して5分ほど)
◆甘口の白ワイン:6℃〜8℃(冷蔵庫から出してすぐ)
◆スパークリングワイン:6℃〜8℃(冷蔵庫から出してすぐ)
※参考:2019年度版 日本ソムリエ協会教本

ボトルを卓上に出しておくと温度が上がってしまうので、気になる場合はアイスクーラーを使ってみてください。冷凍庫で冷やしておけば、1〜2時間はワインボトルの冷却に使えますよ。

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ポテンシャルを引き出す方法(2):空気に触れさせる

抜栓したばかりのワインは香りや味わいが内側に閉じ込められていることがあります。ワイン本来の良さを感じることができず、薄っぺらかったり尖っていたり……極端な印象を抱いてしまいがちです。そんな時の対処法は空気に触れさせること! 空気に触れることでワインの酸化が進み、香りや味わいが外に引き出されます。以下でワインをうまく空気に触れさせる方法をご紹介します。状況に応じて道具を用意し、実践してみてください。

《初級》グラスをスワリングする
ワインを注いだらグラスをクルクル回して、液面を空気に触れさせます(これを “スワリング”といいます)。丸みのある大きめのグラスだと回しやすいです。「グラスの軸(ステム)を持って回すとこぼすのが怖い」という場合は、テーブルにおいたまま回すとスムーズです。

《中級》エアレーターを使う
エアレーターとは、ワインボトルの口に差し込んでワインを注ぐことで空気に触れさせる道具です。道具を使うので中級にしましたが、やり方はとっても簡単。さまざまなタイプのエアレーターがありますが、個人的にはシート状になっていてくるんと丸めてボトル口に差し込むタイプが、どんなボトルにも使えるのでおすすめです。

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《上級》デキャンタを使う
最後はワインをボトルからデキャンタにうつすことで空気に触れさせる方法です。特に赤ワインによく使われます。テーブルにデキャンタが置いてあったら、ワイン上級者になった気分も味わえますよ。少しお手入れに手間がかかるので、上級にしました。

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ポテンシャルを引き出す方法(3):合わせる料理を工夫する

ワイン単体ではイマイチでも、合わせる料理(おつまみ)を変えるだけで良さがグッと引き立つことがあります。例えば「木樽の香りが強いワインが大好き」かつ「魚介料理が大好き」という人が「木樽の香りが強い白ワインを新鮮な生牡蠣にあわせて楽しもう」としても、失敗に終わる可能性が高いです。木樽の香りと生の魚介があわさると、なんとも残念な生臭さが生まれてしまうからです。

一般的に、赤ワインにはお肉料理、白ワインには魚料理、といわれますが、これはあくまで基礎としてとらえてください。この他にも、ペアリング成功率を高めるポイントがいくつかあります。以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

◆ワインの色と料理の色を合わせる
 例:鶏肉などのタンパクなお肉やチーズには、白ワインを合わせるのもあり!
 例:魚料理でもマグロなどの赤身には、赤ワインを合わせるのもあり!

◆ワインの産地と料理の出身地を合わせる
 例:イタリアンにはイタリアワイン、フレンチにはフランスワイン、和食には日本ワイン!

◆ワインと料理の “コッテリ度”を合わせる
 例:生の魚介料理には木樽熟成をしていないソーヴィニヨン・ブランなどのスッキリ系の白ワインを、バターたっぷりの魚介のムニエルには木樽熟成したシャルドネなどの白ワインを!
 例:濃厚なビーフシチューにはカベルネ・ソーヴィニヨンなどのフルボディの赤ワインを、さっぱりとわさび醤油でいただく和牛のたたきにはピノ・ノワールやマスカット・ベーリーAなどの軽めの赤ワインを!

このほかWinomyには、ワインと料理のペアリングについてコラムがたくさん掲載されていますので、ぜひ参考にしてくださいね!

→後編に続く

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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