
2021年02月23日
山梨県甲州市にある勝沼町は、日本におけるぶどう栽培とワイン醸造の発祥地。歴史あるワイナリーも多く、「日本のボルドー」とも呼ばれる一大ワイン生産地です。勝沼ではどんなぶどう品種が栽培され、どんなワインが造られているのでしょうか?代表的なワイナリーやおすすめワインとともにご紹介します。ワイナリーの見学情報も要チェックですよ!
日本にもこんな風景があるなんて……!山梨県甲州市の東側に位置する勝沼町は、周囲を山々が囲み、見渡す限りぶどう畑が広がります。江戸時代からぶどうを栽培し、明治時代にはワイン醸造をスタート。昔も今も、日本のワイン造りを牽引しています。ぶどう栽培に適した環境と立地にも恵まれ、日本ワインの銘醸地として、国内はもちろん、世界からも高く評価されているんですよ。
ちなみに、日本ワインと国産ワインの違いをご存じですか? 日本ワインとは、国産ぶどうを100%使用し、国内製造されたワインのこと。国産ワインは、海外から輸入したぶどうや濃縮果汁を使い、国内で製造されたワインを指します。
勝沼町にあるワイナリーの数は約30軒。日本随一のワイナリー数を誇る山梨県のなかでも、4割ほどが勝沼に集中しています。
世界で評価が高まる日本ワイン!産地・特徴とおすすめ銘柄10選
甲府盆地の東端にある勝沼町は、ぶどう栽培やワイン造りに適した条件が整っています。扇状地が折り重なることで、ゆるやかな傾斜地を形成。水はけのよい砂質土壌が広がっています。盆地の周囲を囲む山々が雨雲をさえぎり、年間降水量が少なく、日照時間は長め。昼夜と夏冬の寒暖差が大きいのも特徴です。
この豊かなテロワール(ぶどう畑を取り巻く自然環境要因)を活かし、日本ワインの代表的なぶどう品種が栽培されています。
勝沼町で古くから栽培されているぶどう品種が「甲州」です。日本の固有品種で、栽培の歴史は千年以上といわれています。果皮は淡い薄紫色をしており、勝沼でも日本でも、一番醸造量が多いぶどう品種です。
甲州種からは、上品な香りとシャープな酸味、繊細な味わいの白ワインが造られます。素材のよさを活かす和食とは相性抜群!
もうひとつ忘れてはならないぶどう品種が、同じく日本の固有品種である「マスカット・ベーリーA」。果皮は濃い紫色をしており、甲州種に次いで、日本で二番目に醸造量が多いぶどう品種です。
マスカット・ベーリーA種から造られる赤ワインは、甘い香りとフルーティーな味わい、やわらかな渋みが特徴。脂がのった魚料理や軽めの肉料理とよく合います。
勝沼には老舗から中小、大手まで、多彩なワイナリーが集結。ワイン好きなら、ワイナリーをめぐるのは絶対に楽しいはずです。代表的なワイナリーをご紹介します♪
創業140年を超える勝沼最古のワイナリー。良質なぶどう産地として名高い、勝沼町の鳥居平にあります。明治初頭に、ぶどう栽培を手がけていた初代がワイン醸造を始め、勝沼のワイン造りの歴史とともに歩んできました。広大な自社畑でぶどうを栽培し、醸造、販売にいたるまで、一貫して手作りにこだわっています。
ワイナリー見学ツアー(無料/個人の場合は事前予約不要/所要時間約15分/試飲付き)も開催。
1937年創業。甲州種にこだわり、世界に通じるワイン造りを実践している小規模ワイナリーです。糖度の高いぶどう栽培に力を注ぎ、新たな醸造技術の導入にも積極的。甲州種のポテンシャルを最大限に発揮させるため、ぶどうは時間をかけて丁寧に搾られ、皮と身の間にある旨味も逃さず、ワインに活かしています。
築140年の風情ある日本家屋で、テイスティングコース(有料/予約優先)を実施。
1962年の創業以来、日本のぶどうによる日本のワイン造りを貫いているマンズワイン。徹底した調査を経て、ぶどう栽培の適地として選んだのが勝沼です。ワイン生産量は、勝沼のみならず、山梨県内でも最大規模。世界の銘醸ワインと肩を並べるため、栽培・醸造技術の研究を積み重ね、できることはすべてやるのがモットーです。
ワイナリーショップでは無料で試飲が可能(一部有料)。
1923年創業の家族経営のワイナリー。伝統品種である甲州の栽培に注力し、高貴な香りを活かしたワイン造りに定評があります。正直、丁寧、堅実な仕事を積み重ね、2014年、甲州種を使った自社ワインが、世界最大のワインコンクールで金賞を受賞。日本ワイン初の快挙を成し遂げました。これを機に世界への扉が開かれ、優美なワインの魅力は国内外で高く評価されています。
ワインショップでは試飲OK(要専用カード購入)。
1913年にワイン造りをスタート。100年以上の長きにわたり、家業としてワイン醸造業を営んでいます。ぶどう栽培は、肥料を与えず、土も耕さない自然栽培を実践。できる限り自然な方法でゆっくり醸造し、ぶどう本来の風味をワインに活かしています。くらむぼんとは、宮沢賢治の童話『やまなし』で使われている不思議な言葉が由来。
ワイナリーツアー(有料/要予約/所要時間約30~40分/試飲付き)もおこなっています。
創業は1924年。ぶどう棚に囲まれた小さなワイナリーです。昔、原と呼ばれる地名であったこと、代々、家長が茂左衛門の名を襲名してきたことから、原茂という屋号がうまれました。
自社畑や地元農家の契約畑を通して、甲州種を中心に、シャルドネ種やメルロ種なども栽培。勝沼の風土を感じられるようなワイン造りに取り組んでいます。試飲のできるワインショップを併設。
ロリアンとは、東洋を意味するフランス語。東洋の日本から、ヨーロッパのワインに匹敵する高品質ワインを造り出したいと、1938年に勝沼で創業されました。こちらのワイナリーでは、ユニークな体験ができるツアーが人気なんです。
樽からボトルにワインを生詰め体験。コルク栓打ちから、オリジナルのラベルを作って貼る作業まで、自分の手で1本のワインを作れるのが魅力です。お子さんと一緒でも楽しめますよ。ボトル詰めしたワインはそのまま持ち帰ることができます。(2,200円税込/要予約/所要時間約20分)
ぶどう畑で農作業を体験できます。ぶどうの生育や畑の状況に応じて作業の内容は異なりますが、めったにできない経験であることは間違いありません。汚れてもいい服装と靴でご参加ください。帽子や軍手なども忘れずに。(825円税込/要予約/所要時間3時間以上)
勝沼を代表する老舗ワイナリーでは、ワインをより身近に感じられる、ぶどう造り体験プログラムをおこなっています。
2021年11月までの期間、月1回、日曜に開催されます。シャトー勝沼の4代目当主を講師に、ぶどう畑での実習を体験。甲州種の選定や収穫、瓶詰め体験など、実習内容は月ごとに異なります。レストランでのワイン食事会付き(料金込み)。(5,000円税込/要予約/所要時間約2時間)
「勝沼ぶどうの丘」は、その名の通り、ぶどう畑を見渡せる小高い丘の上にあります。甲州市が運営する観光施設で、勝沼のワインをたっぷり楽しめる要素が盛りだくさん。
200銘柄ものワインを試飲できるワインカーヴをはじめ、展望ワインレストランやバーベキュー施設、温泉付きの宿泊施設も備えています。勝沼のワインと料理とパノラマの眺望を、丸ごと楽しめますよ。
地下にあるワインカーヴには、甲州市の審査会をパスした約200銘柄、約2万本のワインを貯蔵。専用の試飲容器を購入すれば、なんとすべてのワインを試飲できるんです。
営業時間内なら出入り自由なので、ゆったりじっくり味わってみてはいかがでしょう。お気に入りのワインがきっと見つかりますよ。(1,520円税込/予約不要/時間内出入り自由)
¥3,000(税込)〜/白・辛口
甲州種の存在を世界に知らしめたワイナリー、グレイスワイン(中央葡萄酒株式会社)の代表格といえる白ワイン。国内外のワイン愛好家から支持されています。
標高400メートル以上にあるぶどうのみを使い、フレッシュな果実のような香りと繊細な味わいが特徴。お刺身や和食全般にマッチします。
¥1,191(税込)〜/白・スパークリング・やや辛口
甲州種で造られた白ワインを、耐圧タンクでじっくり二次発酵させたスパークリングワイン。勝沼ワイナリー(マンズワイン株式会社)の大人気商品です。
優美な香りと酵母による旨味、なめらかできめ細やかな泡立ちが持続し、飲み飽きることがありません。素材の味を引き立てる料理に合いますよ。
¥4,320(税込)/白・辛口
フレンチオーク樽で熟成6カ月、瓶熟成を2年以上重ねた、甲州種の辛口白ワイン。果汁を冷凍凝縮させることで、ぶどう本来のポテンシャルを究めています。リッチな果実味と樽香を伴うやわらかな味わい、優雅で複雑な余韻が特徴。勝沼醸造の自信作です。
ローストビーフやカルボナーラなど旨味のある料理と一緒に。
¥2,159(税込)〜/白・甘口
完熟した甲州種を厳選し、甘口タイプの白ワインに仕上げています。豊かな果実香と穏やかな酸味が特徴。上品な甘さのなかにもコクがあり、奥行きのある味わいを楽しめます。くらむぼんワインによる、甘口ワインシリーズの1本。食後にデザートと一緒に飲むのもおすすめです。
¥2,680(税込)〜/白・辛口
勝沼で長く愛飲されている、原茂園(原茂ワイン株式会社)の一升瓶白ワイン。甲州種を使った、さわやかな辛口タイプです。
すっきりとした味わいのなかにもやわらかな苦味があり、味に深みを与えています。心おきなく飲みたい方や大勢でワイワイ飲みたいときに重宝しますよ。日々の食事のお供にも。
¥1,507(税込)〜/赤・辛口・ライトボディ
マスカット・ベーリーA種の辛口赤ワイン。ベリー系の果実香が華やかです。渋みと酸味のバランスがよく、フルーティーでさらりと軽やかな飲み心地。くらむぼんワインのスタンダードワインとして、広く親しまれています。魚や鶏肉の照焼きなど、甘辛い味付けの料理によく合います。
¥1,510(税込)〜/ロゼ・スパークリング・やや辛口
勝沼産のマスカット・ベーリーA種とメルロ種を合わせた、やや辛口のスパークリングロゼワイン。ベリー系の豊かな香りとフレッシュな味わい、繊細に立ちのぼる泡が心地よく、色合いも華やかです。
造り手は、老舗ワイナリーのシャトー勝沼。和食はもちろん、鶏肉や豚肉料理とも好相性です。
¥1,980(税込)〜/赤・ライトボディ
選りすぐりのマスカット・ベーリーA種を使い、丁寧に醸造された辛口赤ワインです。いちごのような甘い香りとやさしい飲み口が特徴。創業80年を超えるロリアンワイン(白百合醸造株式会社)が手がけています。
鶏の唐揚げや豚肉のソテーなど軽めの肉料理と合わせるのがおすすめ。
勝沼は、昔も今もワイン造りの中心地。世界中においしいワインはたくさんありますが、身近な日本ワインに目を向けてみてはいかがでしょう?同じぶどう品種でも、土地や造り手、製法が変われば、味わいや香りも変化します。同じ品種のワインを味比べしてみるのも楽しいですよ。時間があれば、勝沼まで足を延ばし、ワイナリー巡りをするのもおすすめです。今宵は、勝沼のワインで乾杯しませんか。
※商品価格は、2021年3月24日時点での情報です。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ワイナリーツアーや試飲が中止となる場合があります。事前にご確認のうえお出かけください。