2021年04月29日

魅惑の銘醸地「サン・テミリオン」を徹底解剖。おすすめ銘柄も紹介

サン・テミリオンは、ワイン愛好家の間では知られた名前。ボルドーワインを代表する、フランス南西部の銘醸地です。この記事では、そんなサン・テミリオンのワイン造りの歴史をはじめ、ブドウ品種や格付け、ワインの特徴、おすすめ銘柄についてご紹介します。実は、ワイン産地としては初めて世界遺産にも登録されたんですよ。その土地のストーリーがわかると、ワインの楽しみ方がひと味違ってきます。

ワイン産地初の世界遺産。サン・テミリオンとは

「フランスワインの女王」とも評される、ボルドーワイン。フランス南西部に位置するボルドー地方で、左岸のメドックと肩を並べる右岸の銘醸地が、サン・テミリオンです。右岸というのはボルドー地方を流れるドルドーニュ川の東側の地域、左岸はガロンヌ川からジロンド川の西側の地域を指します。

右岸地区は、中世の面影が残る町、サン・テミリオンを中心にブトウ畑が広がります。シャトー(醸造所をもつブドウ園)の数は千にもおよび、「千のシャトーが建つ丘」と呼ばれるほど。世界的に評価の高いワインを数多く産出しています。

温暖な海洋性気候に恵まれたボルドー地方のなかでもやや内陸にあるため、昼夜の寒暖差が大きいのも特徴。粘土石灰質の土壌に向いたメルロ種の栽培が盛んです。ワイン産地初の世界遺産に登録されたことで、ワイン愛好家以外にも、広くその名が知られるようになりました。

サン・テミリオンとワインの歴史

サン・テミリオンにおけるブドウ栽培は、古代ローマ時代までさかのぼるといわれます。8世紀頃、町の名の由来となった聖エミリオン(Saint Emilion)の弟子たちがワイン醸造を始めて以降、ワイン造りが活発に。12~15世紀は英国領に編入されますが、その間も、市民自治によりワインの品質が徹底的に守られました。

もともとサン・テミリオンは、スペインにある聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路にある宿場町として栄えた町。立ち寄った巡礼者たちにより、サン・テミリオンのワインの評判は世界各地へと広まっていったのです。

サン・テミリオン地域は、中世の町並みや歴史的建造物、周辺の村々やブドウ畑全体が評価され、1999年に、ワイン産地として初めて、世界遺産に登録されました。

サン・テミリオンで栽培されるブドウ品種

サン・テミリオンはメルロ種の主要産地として知られています。メルロ種はフランス・ボルドー地方が原産。粒の大きさは中程度で、皮は薄く、黒みがかった青色をしています。糖度が高く、タンニンと酸は少なめ。ほかにも、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン、マルベックといった赤ワイン用のブドウ品種が栽培されています。

サン・テミリオンのワインの特徴

サン・テミリオンのワインの多くは、メルロ種を主体に、カベルネ・フラン種やカベルネ・ソーヴィニョン種をブレンドして造られます。香り高く、豊かな果実味にあふれ、優雅でビロードのようになめらかな味わい。繊細で華やかなワインが多いのが特徴です。

サン・テミリオン衛星地区とは

サン・テミリオンの北東にある「サン・テミリオン衛星地区」。ここには、サン・テミリオンの名を冠した4つのA.O.C.指定の村が集まっています。具体的には、サン・ジョルジュ・サン・テミリオン村、モンターニュ・サン・テミリオン村、ピュイスガン・サン・テミリオン村、そしてリュサック・サン・テミリオン村の4つ。

サン・テミリオン衛星地区で造られるワインは赤のみで、サン・テミリオン同様、主要栽培品種はメルロ種です。ほかにも、カベルネ・ソーヴィニョン種、カベルネ・フラン種なども栽培されています。

A.O.C.ワインとは

フランスワインでよく耳にする「A.O.C.」。Appellation d’Origine Controlee の略称で、原産地管理呼称のことです。フランスの伝統的なワイン産地では、ブドウ品種や栽培方法、醸造方法などについて固有のスタイルがあり、産地の個性とワインの品質を保証するためにうまれたもの。地方名>地域名>村名>畑名のように、原産地の範囲が限定されるほど個性が際立ち、質の高いワインとされています。

フランスのA.O.C.にならって誕生したヨーロッパの原産地保護呼称がA.O.P.(Appelation d’Origin Protegee)。基本的な考え方はA.O.C.と同じです。

サン・テミリオンの格付け

サン・テミリオンでは、地域独自の格付けが1954年に制定されました。左岸のメドックで1855年に格付けが制定されてから、約100年後のこと。現在は、最高クラスである第1特別級A(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA)、第2特別級B(プルミエ・グラン・クリュ・クラッセB)、そして特別級(グラン・クリュ・クラッセ)の3つに格付けされています。

サン・テミリオンの格付けは非常に厳格。ワインの格付けがあることで、生産者はその土地の伝統のスタイルを守りながら品質の向上に努め、消費者にとってはワインの品質や個性を推し量る一助となります。

サン・テミリオンでは格付けの見直しがおこなわれる

サン・テミリオンでは、10年ごとに格付けの見直しがおこなわれるのが特徴。たとえば、メドックの格付けは、約150年間、ほとんど変わっていませんが、サン・テミリオンでは時代に合わせた見直しが実施されています。

現在の格付けは2012年に改訂されたもの。プルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに4シャトー、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセBに14シャトー、グラン・クリュ・クラッセに64シャトーが選ばれています。

2006年の見直しの際、降格となったシャトーが不服を訴え、一度発表された格付けが取り消されるといった騒動も。格付けは、優れたワインを継続的に造り続けていることへの証であり、シャトーにとっては商業的にも重要なのです。

シャトー巡りもおすすめ!サン・テミリオンの観光名所

サン・テミリオンは、ワイン好きならぜひとも訪れてみたい場所。歴史的建造物が残る中世の町並みとブトウ畑が織りなす美しい景観は、世界遺産にも登録され、訪れる人を魅了してやみません。また、サン・テミリオンはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路という別の世界遺産の一部にもあたり、貴重なキリスト教建築が現存。

なかでも、町のシンボルであるモノリス教会は見逃せません。モノリスとは一枚岩という意味で、町の名の由来となった聖エミリオンに捧げるために、弟子たちが地下の一枚岩をくり抜いて建造したといわれています。196段の階段を上れば、眼下にパノラマの風景を一望できますよ。

ほかにも、見事なフレスコ画があるトリニテ礼拝堂、無傷で残る王の塔などの見どころも。石畳の路地が入り組む旧市街にはワインショップやカフェ、レストランが多くあり、ワイン好きにはたまりません!

サン・テミリオンの周囲に広がるブドウ畑は、眺めているだけでも癒されます。が、やっぱり、シャトー巡りはサン・テミリオンを訪れる醍醐味。そんなときに便利なのが、ブドウ畑の間を走るプチトランというかわいらしい観光列車です。イヤホンガイドの解説を聞きながら、短時間でシャトー巡りを楽しめますよ。

サン・テミリオンの名物グルメ

サン・テミリオンではスイーツにも注目。ワインと合わせて楽しみたい名物料理もご紹介します。

スイーツ

サン・テミリオンには、門外不出のレシピを受け継ぐマカロンがあるんです。フランス革命時、修道院を追われたウルスラ会の修道女が作ったレシピを、ブランシェ家が受け継いだもの。今も、着色料も保存料も使わず、昔ながらの製法で作られています。スイートとビターの2種類のアーモンド、卵白、砂糖などを秘伝のレシピ通りに混ぜ合わせ、カリッと焼き上げた素朴な味わいが魅力。

ボルドー名物のカヌレも見逃せません。こちらは、ボルドーの修道院で作られたのが発祥。かつてボルドーでは、ワインの澱(おり)を取り除く際、卵白を使用しており、余った卵黄を活用するために修道女が考案したといわれています。お店によっても、カリカリ系やしっとり系、クリーム入りなどさまざまなタイプが。日持ちがしないので、現地で忘れずに食べたいスイーツです。

グルメ

サン・テミリオンの名物料理といえば、ヤツメウナギの赤ワイン煮「ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ(Lamproie à la Bordelaise)」。ガロンヌ川で採れるウナギをサン・テミリオンの赤ワインで煮込んだ料理です。サン・テミリオン産の赤ワインと一緒にお試しください。

ボルドー左岸の村、ポイヤック産の乳飲み仔羊「アニョー・ド・レ(Agneau de Lait)」も、ぜひ味わいたいひと品。母乳のみで育てられた生後3カ月以内の仔羊は、身がやわらかく、甘味があります。シンプルにローストして食べるのが定番。ポイヤックの力強い赤ワインと一緒に合わせてみてください。

サン・テミリオンのおすすめワイン3選

1. シャトー・フォンガバン・ピュイスガン・サン・テミリオン

シャトー・フォンガバン・ピュイスガン・サン・テミリオンのボトル
¥1,835(税込)~/赤・フルボディ

サン・テミリオン衛生地区にあるピュイスガン・サン・テミリオン村のワイン。メルロ種を主体にカベルネ・フラン種がブレンドされ、ベリーやチェリーのような香りとリッチな果実味を楽しめます。比較的しっかりとしたタンニンときれいな酸が印象的。造り手であるシャトー・フォンガバンは、2011年に、世界の権威ある有機認定機関エコセールより、オーガニックの認証​取得しています。

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2. カルベ・サン・テミリオン

カルベ・サン・テミリオンのボトル
¥2,430(税込)~/赤・フルボディ

メルロ種とカベルネ・フラン種をブレンド。フランボワーズのような赤い果実の香り、やわらかな果実味にはコクがあり、口当たりはなめらかです。濃厚な果実感とエレガントさが際立つ、サン・テミリオンらしいワインといえます。1818年創業、品質至上主義を掲げ、伝統を守り続けるカルベ社が手がけています。

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3. シャトー・ボー・セジュール・ベコ

シャトー・ボー・セジュール・ベコのボトルが斜めに置かれている様子
¥9,020(税込)~/赤・フルボディ

サン・テミリオンの格付けで、第2特別級B(プルミエ・グランクリュ・クラッセB)に返り咲いたシャトー・ボー・セジュール・ベコの人気ワイン。 メルロ種にカベルネ・フラン種、カベルネ・ソーヴィニョンがブレンドされています。濃い果実の香りやしっかりとした樽香が感じられ、力強くかつしなやかな味わい。余韻の素晴らしさも魅力です。天才醸造コンサルタント、ミッシェル・ロラン氏をシャトーに迎え、新樽の使用、清澄も濾過も行わない醸造法を採用するなど、さまざまな改革を実践。

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サン・テミリオンワインの楽しみ方

チーズと一緒に

コクのあるサン・テミリオンのワインには、ブリーやカマンベールなどの白カビタイプをはじめ、ウォッシュタイプのチーズとも相性抜群。お互いのよさを引き出し合う、相思相愛の関係です。また、ゴルゴンゾーラといった青カビタイプと合わせのもおすすめ。チーズの旨味がワインの奥深い味わいを引き立ててくれますよ。

普段の食卓やパーティーで

サン・テミリオンは高級ワインの産地だけあって、有名シャトーのワインは高価なのも事実。でも、ご安心ください。日常的に楽しめるワインはもちろん、プチ贅沢をしたいときやちょっとしたおもてなしに使えるワインもあります。特に、サン・テミリオン衛生地区のワインは比較的お手頃な価格。メルロ種を主体としたサン・テミリオンのワインには、肉汁たっぷりのやわらな肉料理や煮込み料理、スパイスやハーブを効かせた料理と合わせるのがおすすめです。

サン・テミリオンは奥深い

知れば知るほど、サン・テミリオンは魅惑的。ワイン造りの歴史も、ブトウ畑と歴史的建造物が共存する町も、そして独自の格付けに代表される品質へのこだわりも、サン・テミリオンが銘醸地たるゆえんです。できることならシャトーを巡り、地元グルメとのマリアージュを楽しみたいですよね。現地に行くことは叶わなくても、サン・テミリオンのワインを楽しむことは可能です。お気に入りの1本を手に入れて、素敵なおうち時間を過ごしませんか♪

※商品価格は、2021年4月23日現在の情報です。

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