2021年04月29日

【レポート】大阪「飛鳥ワイン」を訪問!ワイナリーやブドウ畑の今

皆様こんにちは、インポーターの大野みさきです。
コロナ禍での外出の難しさから気持ちを一転して、今日は皆様をワイナリーツアーへご招待しましょう。

訪れたのは大阪の羽曳野市にある『飛鳥ワイン』です。大阪市内から奈良方面へ車で30分、近鉄上ノ太子駅から徒歩3分、アクセス抜群の立地です!

晴天に恵まれて夏日のような汗ばむ4月中旬、ビジットを通して知り得た、飛鳥ワインの「畑」や「ワイナリー」の現在をお伝えしましょう。

大阪・河内エリアのぶどう栽培の歴史

河内ぶどうには100年以上の歴史があります。

本来は台風の通り道ではないという土地柄、ぶどう栽培に適した環境ですが、この土地でワイン造りがスタートしたきっかけは、奇しくも1934年の室戸台風でした。台風の襲来によって、ぶどうが落下する被害に遭ったのですが、その救済措置として農家に酒造免許がおりました。嵐に遭ったぶどうから、ワインを造ることが認められたのです。飛鳥ワインもこの時にワイン造りに乗り出しました。

また当時のワインは、傷や形の悪いぶどうから造られるのが、一般的だったようです。それでも不幸中の幸いです。全盛期にはぶどう畑は拡大し、ワイン造りで盛り上がりを見せました。しかしながら、昨今はワインよりも食用ぶどうの方が高値で取引されるので、そちらを栽培する農家が増え、ワイン産業は下火となりました。

さあ、飛鳥ワインの自社畑めぐりへ!

飛鳥ワインが手掛けるのは、4.5haの自社畑と契約農家さんのぶどうで仕込む、8万本のワインです。到着早々、スタッフの内山さんが自社畑を案内してくれました。

甲州の畑

まず視界に入ってきたのは、樹齢15年の甲州。甲州は日本を代表する白ぶどう品種です。棚仕立ての栽培。女性の腕以上の厚みのある幹が、年月の流れを感じさせます。木々は芽生え、乳幼児の掌サイズの可愛らしい葉っぱが、幾重にも展葉していました。若葉が芽吹く「春のぶどう畑」を眺めます。

シャルドネの畑

さあ、どんどん山道を登って行きます。垣根仕立てのシャルドネが見えてきました。端正にお行儀よく並んでいます。

おっと、その前に電気ビリビリのコーナーです。芽を食らってしまう厄介な鹿の出没はありませんが、猪が出るので、電流で撃退します。

彼らは収穫の時期はぶどうも食べますが、根を掘り起こし、穴ボコの状態に畑を荒します。猪から守るために電気を流して対処しますが、奴らも賢い。感電しても大丈夫な皮膚の厚いお尻から侵入するのだとか。どちらが勝つのか、人間と猪の一騎打ちですね!牡丹鍋も美味しいですが、熊の被害も報告されているようです。何にして食べるか考えてしまいました。

ぶどうの棚仕立てと垣根仕立て
さて、垣根仕立てのシャルドネ。葉が真上を向く【棚仕立て】と比較して、葉が横を向く【垣根仕立て】は、光合成の効率が良いそうです。光合成にとっては朝日が最も良い光で、お昼頃まで太陽の光を存分に浴びる必要があります。
垣根のぶどうの方が、糖度の高い果実が期待できます。ベストなのは東から昇る太陽に、垂直に垣根がある状態ですが、この畑では太陽と水平(南北)に段々畑となっているので、やむ負えず段々畑に沿って植えたのだとか。

シャルドネは2回に分けて収穫します。スパークリングワイン用には酸が残るよう早く収穫、スティルワイン用には完熟させてから摘みます。成長期に雨が多いため、上部に雨除けを張って過剰な雨水の侵入を防ぎます。

今年の冬は寒く、春は急に温かくなったので、芽吹きも早かったそうです。となると例年より早い時期から「芽かき」をしなければなりません。新梢に2房(白ぶどう3房、黒ぶどう1房)ぶどう成らせる計画なので、12芽を残して他はもぎ取ります。きちんと芽かきを行なわないと、花振いを引き起こし、受粉や結実が上手くいかず、果房につく果粒が激減します。(=収穫量が少なくなる)

アルモノワールの畑

もう少し斜面を上がっていくと、右手にアルモノワール(カベルネソーヴィニョンとツヴァイゲルトの交配)の畑が広がります。単一で醸造されるアルモノワールを増やす方向でいる、と内山さん。斜面は平地と比べると、日当たりがよく、水はけがよいのが特徴です。

品種MIXの畑

その上段は様々な品種がMIXされて植わっているエリアです。混醸してスパークリングワイン造りに使われます。畑が細分化されているのは、この土地の地形に起因するもので、そのため車の移動や農作業にも手間が掛かるようです。「ひとつの1枚畑だったら楽だろうに」と内山さんは言います。

メルローの畑で社長 仲村さんと遭遇

道路を横断すると草刈りを終えた直後のメルロー畑が現われました。

その手前にテッポウムシで枯れた木が積んでありました。これらは燃やして処分されます。老いだけでなく病気や虫の被害でも枯死するので、苗木たちはそのスタンバイ要員ですね。草刈り機の刃で誤ってお亡くなりにならないよう、お手製のペットボトルでカバーされ、大切に育てられていました。この子たちが現役で活躍するまでに、3~5年ともう少し時間がかかります。

そろそろ芽かきに取り掛かりたいけれど、現在、飛鳥ワインでは草刈りの真っ只中です。雑草の生育が早く1ヶ月も立てば生え放題になるのだとか。

おーっ、飛鳥ワインの社長が、こんなところにおられました。社長の仲村さん自らが、草刈り後の草をぶどう木の根元に集めておられました。雑草除去のために芝生を植えたので、刈った草で太陽光を遮らないように、また熱で蒸されないように、芝生を保護するために草をどかします。いずれ芝生が雑草よりも優勢になれば、草刈りの頻度も少なくなりそうです。メルローに適した粘土、火山灰、サヌカイト(黒曜石のようなもの)の土壌では、ぶどう木がすくすくと育っていました。

私が常々感じていることは、【ワイン造りは、ぶどう栽培である】ということです。農家の畑仕事です。朝は8時から夕方の17時まで畑での作業が続きます。

春夏秋冬、寒い日も暑い日も。雨の日はセラーでボトリングなどをすると仲村さん。畑仕事の常勤は4名+1名、非常勤で3名。ボランティア頼みなところもあり、昨年はコロナの影響を受けて、常勤の3名で人手不足の状態で作業していたらしいです。今日の人数でもメルロー畑の草刈りに半日かかっています。全ての畑を刈ると1週間ぐらいかかる大仕事となります。いくら時間があっても、マンパワー不足なので重労働です。もはや頭が下がる想いです。

ワイナリーの見どころはほかにも

やっと、見晴らしの良い、眼下に畑が見渡せる頂に着きました。ここには石窯もあり、イベント時は飲食スペースとなっています。PL花火も特等席で眺められるという得点が付きます。映画『明日になれば』のロケ地にもなりました。しかし、去年の2月からはイベント、そして見学はクローズする事態となりました。

育苗場や堆肥場

育苗場には、加温された土の上に苗木が並んでいました。この子たちはまだ根が弱いので、2軍選手として静養&スタンバイ中です。フィロキセラ(ぶどう根アブラムシ)対策として、北米産の食用ぶどう「ヴィティスラブルスカ」を台木として、その上にヨーロッパ産のワイン用ぶどう「ヴィティスヴェニフィラ」を接ぎ木しています。

接ぎ木の後は、蝋に潜らせて固定、接いだ部分が太くなったら、接合完了の合図です。

育苗場のお隣は堆肥場です。

この枝の山は、剪定した枝、ぶどうの搾りかす、ワインの滓、そして濾紙(ワインを濾過する紙)を混ぜ込んだものです。捨てるロスを最小限にするため、堆肥として畑に撒きます。少量なので土壌への影響よりか、捨てる部分を畑へ返すという、「循環型農業」を目的としています。

ワイナリーのセラーを見学

皆様を喜ばせるその日まで、ワインはタンク内で静かにその時を待ち侘びているかのように、私の目には映りました。1日でも早く出番が来ますように!との願いを込めてロゼ泡1本を連れて帰りました。帰宅して冷蔵庫で十分に冷やして頂きます。

新型コロナウイルスの影響も聞いてみました

聞くところによると、飛鳥ワインの売り上げは前年比の50%減。コロナウイルスの影響はワイナリーにも暗く影を落としていました。卸売りをメインでされているので、飲食店などの業務店が大打撃を受けていますので、その皺寄せがワイナリーにも及ぶということは、同じくインポーターであるこの身にも痛いほどわかります。

購入したワインの味わいとペアリングをレポート

飛鳥スパークリング ヴィニフィラ2017」は、ヴィティスヴェニフィラ16種をブレンドした、ロゼのスパークリングワインです。先ほど見学したMIX畑で育つ、シラーやリースリングなどを混醸。瓶内二次発酵を施した1本です。さらに、農薬、化学肥料の使用量を慣行栽培の半分以上に削減して、大阪府からもエコ農作物の認証を受けています。

まるで赤ワインのような濃いレッド。コルク栓を開けると、気泡の弾ける音と共に、無花果、ベリー、プラム、ミントなどの香りが上がってきます。まずは一口飲んでみます。酸がフレッシュでキュートな印象です。辛口のぶどうジュースを頂いているかのような果実感が満載です。

この色ですから、アフターにはタンニン由来の渋味が僅かに感じられました。飛鳥スパークリングのお供に選んだのは、タケノコの煮物です。シャキシャキ、ホロホロと解けてゆく心地良い歯応えに、しょう油と出汁の旨味を噛みしめます。そんな優しい味わいの中に、木の芽と実山椒が織りなす鮮烈で爽やか風味が口いっぱいに広がります。山椒がワインを含めて、全体をキリリと引き締めます。

小粒でも泡の刺激とも絶妙なコンビネーションを見せてくれました。灰汁抜きはしたものの、タケノコにはやや渋味があるので、それらがワインのアフターに感じるタンニンとも見事に合います!この上品なマリアージュは、無限ループ決定です!

飛鳥ワインのワイナリー見学について

現在、ワイナリー見学やイベント開催の見通しは立っていませんが、ワイナリーの畑を自由に散策するのは大歓迎だそうです。その際は、ワイナリーの斜め向かいにあるワインショップに立ち寄り、手作りマップ(無料)を入手するのがおすすめです。メルロー、シャルドネ、甲州の作付けの分布図や堆肥場、育苗場、映画のロケ地などが記されています。

ワインショップも9時から17時までオープン(土曜定休日)しているので、散策後のお土産にワインを購入するのも◎です。

最後に

ワイン造りの現場は高齢化が進み、従事者は引退を余儀なくされています。新規就農者も不足していて耕作放棄地は増えるいっぽうです。1年間、手入れをしていない畑はダメになります。

飛鳥ワインではぶどう畑の再生とその美しい景観を未来に残すことをひた向きにやっています。今日も明日も畑に繰り出し、一日中太陽の光を浴びて頑張っている農家さんです。畑仕事に華や派手さはなく人気の職業とは程遠いです。しかし、彼らの努力があるからこそ、私たちは美味しいワインが楽しめる。一消費者はシンプルですがワインを「飲む」ということで応援しなければと思います。

いつの日か、ぶどう畑でワインを交わしながら、談笑できる日が訪れますように!
それでは皆様、ごきげんよう!

■本日のワイン

飛鳥スパークリング ヴィニフィラ2017 税込2,861円

飛鳥ワイン オンラインショップで見る
飛鳥ワイン HP

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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