2021年05月22日

ソムリエが紹介するロゼワインの魅力。製法・飲み方からおすすめ銘柄まで

みなさんのなかには、赤でも白でもないロゼワインを中途半端なワインだと思う方もいるのではないでしょうか。しかしロゼは実は食事にも合わせやすく、季節を問わずおいしく飲める万能なワインなんです。の記事では、ソムリエが造り方から飲み方、おすすめの商品までロゼワインの魅力を徹底解説していきます。ロゼワインに抵抗がある方にも、大好きな方でも、飲みたくなること間違いなしですよ。

ロゼワインとは

ロゼワインのグラスが2杯並ぶ
iStock.com/Nataliia Sirobaba

ロゼとはフランス語で「バラ」「ピンク」などと訳されます。したがってロゼワインとは、ピンク色をしたワインのことを指します。味わいは、赤ワインよりはタンニン(渋味)が穏やかで、フルーティーなものが多いのが特徴です。また、造り方や製造過程の違いで、濃くもあっさりにも味わいがへんかします。

ロゼワインの種類

ロゼワインは、ほかのワインと同様に甘口タイプ、辛口タイプ、スパークリングワインなどの種類があります。特にロゼのシャンパーニュは値段も高く、お祝いの席などで飲まれることが多い傾向にあります。本場フランスでは、夏場にはあまり赤ワインを飲まず、ロゼワインを冷やして飲むことが多いそうですよ。

ロゼワインの製法

たくさんのロゼワインがグラスに入って並ぶ
iStock.com/Ekaterina Molchanova

ひと言にロゼワインといっても、製造方法はさまざま。続いては特に有名な製法をご紹介します。造り方によって味わいの特徴も変わるので、自分の好みはどんな製法なのかを知っておくとワインを選びやすくなりますよ。

セニエ法

セニエ法は、大きく2つの醸造ポイントがあります。1つ目は、黒ブドウを除梗・粉砕し、発酵タンクで数時間から数日浸すこと。すると、ブドウの重さで果汁がでてきます。2つ目は、そのほんのりと色付いた果汁(ピンク色の果汁)を取り除き、発酵させてロゼワインを造り出すところ。この2つの工程が、セニエ法で造られるロゼワインの大きな特徴です。

セニエ法を用いたロゼワインは、赤ワインを造る過程でできる果汁から造られます。味わいは、やや酸味が穏やかで、果実味が強いタイプのロゼワインが比較的多く造られますよ。

プレス法(直接圧搾法)

黒ブドウを原料にして、白ワインの造り方と同様な方法を取ります。ブドウを圧縮し、抽出した果汁を発酵させてロゼワインを造る方法です。圧縮する際に、黒ブドウの果皮の色合いが果汁に移りピンク色に変わります。プレス法の場合は、色合いが濃く出ることが多く、味わいは、白ワインに近く、セニエ法よりは爽やかで酸味が強く出る印象です。

混醸法

白ワイン用と赤ワイン用のブドウを混ぜて造る方法。完成したワインをブレンドするのではなく、粉砕した白黒ブドウを混ぜ、圧搾・発酵させて造ります。味わいもさまざまで、濃いめのものから爽やかなものまで種類は豊富。ドイツの有名なロゼワイン「ロートリング」も混醸法で造られているんです。

ブレンド法

ブレンド法とは、完成させた白ワインに赤ワインを少し混ぜて完成させる方法。スパークリングワイン以外は、赤ワインと白ワインを混ぜてロゼワインを造ることを多くの国で禁止しています。

おすすめの飲み方

ロゼワインとクロワッサン、イチゴなどがレジャーシートに並ぶ
iStock.com/Foxys_forest_manufacture

ロゼワインは、白ワイン用のグラスやリースリング用のグラスなどの小ぶりなグラスを使うのがおすすめ。大きめのグラスだと、香りが取りにくかったり、酸味を強く感じすぎてしまったりする場合があります。ロゼスパークリングワインの場合は、真っ直ぐなシャンパングラスより、少し膨らんだグラスを使うほうが繊細な香りを楽しめます。

飲む温度は、6〜13度くらいがおすすめです。色合いが薄く爽やかでスッキリタイプは、温度が高いと苦味や雑味が出てしまうこともあるので、しっかり冷やして飲みましょう。色合いの濃い、トロリとした口当たりのロゼワインは、温度を高めするとよりおいしさが感じられます。

どんなロゼワインも赤ワインのように常温まで温度を上げると、おいしさが半減してしまいます。適度に冷やして飲んでみましょう。

ペアリング

ロゼワインは、赤ワインに合う料理にも白ワインに合う料理にも、どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。私のおすすめは、中華料理。エビチリやチンジャオロースー、酢豚など家庭で作れる定番の中華料理と合わせるとおいしくペアリングできます。料理の酸味や辛味、旨味、脂を、ロゼワインの酸味と果実味が溶け合っておいしく飲めますよ。

また簡単なおつまみや食材では、イチゴやクランベリーなどのフレッシュなベリー系のフルーツ、ドライいちじくや干しぶどうなどのドライフルーツ、生ハム、クセのない白カビタイプのチーズなどがおすすめです。ぜひ、合わせてみてくださいね。

世界のロゼワイン

さまざまな色合いのロゼワインを注いでいる
iStock.com/Foxys_forest_manufacture

世界各国で造られるロゼワイン。なかでも、群を抜いて生産量が多いのがフランスです。同国3大ロゼワインと呼ばれるロワール地方で造られる「ロゼ・ダンジュ」、コート・ド・ローヌ地方で造られる「タヴェル・ロゼ」、プロヴァンス地方で造られる「プロヴァンス・ロゼ」が有名。どのロゼワインも個性的で、華やかかつ繊細な風味を楽しめますよ。

また、フランス・シャンパーニュ地方では白ワインと赤ワインをブレンドして造られる「ロゼ・シャンパーニュ」があります。高級なものが多いですが、華やかで果実味豊かな味わいと、繊細でキレイな泡立ちがすばらしい銘柄ばかりです。そのほかイタリア、スペイン、ドイツ、日本、チリなどでもフランスほどの生産量はありませんが、おいしいロゼワインを造り出していますよ。

おすすめのロゼワイン8選

1. マテウス「マテウス・ロゼ」

マテウスロゼ
¥992(税込)~/ロゼ微発泡・やや甘口/ポルトガル

マテウス・ロゼは、ロゼワインブームの火付け役ともいえる存在で、やや甘口で微発泡なロゼワインです。フルーティーで飲みやすく、口当たりがいいので、ワイン初心者でもおいしく飲めるはずですよ。しっかり冷やして、心地よい甘さを楽しんでみてください。

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2. ギィ・サジェ「ロゼ・ダンジュ」


¥1,080(税込)~/ロゼ・やや甘口/フランス

フランス・ロワール地方で造られるロゼ・ダンジュ。フランス3大ロゼワインのひとつでもあります。ロゼ・ダンジュの生産者はたくさんいますが、ギィ・サジェは家族経営のワイナリーです。ベリー系の果実味とほんのりとスパイスの風味を楽しめますよ。甘味があるので、しっかり冷やして食前・食後酒などで味わうのもおすすめです。

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3. ロス・ヴァスコス「ロゼ」

ロス ヴァスコス ロゼ
¥1,518(税込)~/ロゼ・辛口/チリ

フランス・ボルドー地方メドック格付けにて、第一級のシャトー・ラフィット・ロートシルトを所有するドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト・ラフィット。同シャトーがチリで手掛けるワイナリーのロゼをご紹介します。赤ワインが有名ですが、ロゼワインも造っています。カベルネ・ソーヴィニヨン主体なので、色合いは薄いですが渋味や余韻がとても長いロゼワインです。イチゴやクランベリーなどのベリー系の味わいと爽やかな酸味で、食中でも楽しめる一本ですよ。

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4. E.ギガル「タヴェル・ロゼ 」

E ギガル タヴェル・ロゼ
¥2,376(税込)~/ロゼ・辛口/フランス

コート・ド・ローヌ地方でさまざまな有名ワインを手掛けるギガルのタヴェル・ロゼは、フランス3大ロゼワインのひとつです。甘いベリーやキャンディーなどの香りがしますが、味わいは濃厚でパワフルな辛口タイプ。ステーキや炭火焼きのグリルなど、力強い肉料理にもしっかり合わせられますよ。少し温度を上げて飲んでみると、香りと味わい、余韻の長さを楽しめます。

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5. サントリーファーム「塩尻メルロ ロゼ」


¥3,176(税込)~/ロゼ・辛口/日本

サントリーの日本ワイン新ブランド「サントリー フロム ファーム」から「塩尻メルロ ロゼ 2021 750ml」をご紹介します。長野県産メルロを100%使用して丁寧に仕込んだ一本で、熟したりんごやマンゴーのような芳醇な香りが特徴です。味わいのボリュームはしっかりと感じつつ、自然な甘みがやわらかい酸味とともに広がります。

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6. カステッロ・ディ・アマ「パープル・ロゼ」

カステッロ・ディ・アマ パープル・ロゼ カステッロ・ディ・アマ
¥3,960(税込)~/ロゼ・辛口/イタリア

イタリアワイン「キャンティ・クラシコ」の名手であるカステッロ・ディ・アマが手掛けるロゼワイン。サンジョベーゼとメルロをブレンドして造られる果実味豊かな一本で、グラスに注ぐと、トロリとワインが揺れます。口当たりもなめらかで、飲みごたえのあるおいしいロゼワインです。何日かかけて、じっくり味わうのもおすすめですよ。トマト系の煮込み料理によく合います。ぜひ、合わせてみてください。

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7. ドメーヌ・オットー「バンドール・ロゼ・クール・ド・グレン・シャトー・ロマサン」

バンドール・ロゼ・クール・ド・グレン・シャトー・ロマサン
¥4,166(税込)~/ロゼ・辛口/フランス

フランス・プロヴァンス地方で手掛けるドメーヌ・オットーのロゼです。赤・白・ロゼとさまざまなタイプのワインを造りますが、特にロゼは絶品と評価を得ています野イチゴやクランベリーなどのフレッシュでかわいらしいベリー系の味わいと、南仏の海風を思わせるミネラル感が、ひと口飲むだけで体にスーッと染み渡り、何度も飲みたくなります。クセもなく、繊細なブドウそのもののやさしい味わいが存分に楽しめますよ。

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8. ルイ・ロデレール「クリスタル・ロゼ」 

ルイ ロデレール クリスタル ロゼ 2012
¥82,500(税込)~/ロゼ泡・辛口/フランス

シャンパーニュは、ロゼの方が生産量は少なく高価です。ルイ・ロデレールが手掛ける「クリスタル・ロゼ」は、誰もが一度は飲んでみたい憧れのロゼ・シャンパーニュでしょう。泡立ちの細かさ、クリーミーさ、ほんのり香るイチゴやラズベリーなどの果実香がたまりません。きれいなサーモンピンクの色合いのため、華やかに演出したいお祝いの席にもおすすめです。

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ロゼワインはカクテルにしてもOK!

ロゼワインのカクテルとライム、グレープフルーツがテーブルに並ぶ
iStock.com/ahirao_photo

ロゼワインは、カクテルとして飲むのもおすすめです。飲み切れなかったロゼワインを、アレンジして飲んでみるのもいいですね。

ロゼ・パンプルムース

フランスで大人気のカクテル。パンプルムースとは、フランス語でグレープフルーツ”を意味します。氷を入れたグラスに、ロゼワインとグレープフルーツ果汁またはグレープフルーツジュースを1:1で入れます。お好みで適量のはちみつを入れてもいいですよ。グレープフルーツの苦味と甘酸っぱさが、ベリーの風味を持つロゼとよく合います。甘いのが苦手な方は、はちみつを入れなくてもじゅうぶんにおいしさを感じられます。簡単に作れるカクテルです。

フローズン・ロゼ

ロゼワインを凍らせて、フローズン状にしたものです。大きめの器に、ロゼワインを入れ凍らせます。凍ったロゼワインと好みのフルーツ(イチゴ、グレープフルーツ、モモなど)、シロップをブレンダーでフローズンにしていけばできあがりです。夏場に海辺で飲みたくなるようなおいしいカクテルですよ。

ブラックローズ

ロゼワインに、ウォッカ、ブラックベリー、ライムジュースを入れて作る大人のカクテル。ロゼワインとウォッカを8:2の割合で入れて、ブラックベリーやライムジュースをお好みで入れて混ぜたら完成。より爽やかに飲みたい方は、スライスしたライムやライムジュースを多めに入れるのがおすすめです。

ロゼワインは、タイプを選べば一年中楽しめるおいしいワイン!

ロゼワインは「夏場に飲むもの」、日本では「桜の時期に飲む」など、季節を限定して飲まれることが多い傾向にあります。しかし、ロゼワインにも濃いタイプ、爽やかタイプ、甘口、辛口、発泡タイプなどさまざまな種類があります。タイプによっては、冬ぴったりなおいしいロゼワインもあるんですよ。赤ワインと白ワインの中間的役割もできるので、食事に合わせやすいところも嬉しいポイントです。飲むタイミングや時期こだわらずに、まずは気軽に、ロゼワインを飲んでみてくださいね。

※商品価格は、2021年5月11日時点での情報です。

私が執筆しました!

YURI
ソムリエ・チーズプロフェッショナル / YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
【ブログ】ソムリエールYURIのちょこっとMEMO
【twitter】https://twitter.com/YURI06927640
【instagram】https://www.instagram.com/yuri.winetocheese

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