2021年05月19日

楊貴妃が愛した香り!?ゲヴュルツトラミネールと中華料理の共演

数あるワイン用ブドウ品種の中でも特に個性的な白ワイン用品種といえば、ゲヴュルツトラミネールです。誰が飲んでも「これはゲヴュルツトラミネールだな」と分かるほど、特徴的な香りがします。ワインの勉強を始める前、品種ごとの違いなんて何もわかっていなかった自分でも、ゲヴュルツトラミネールだけは百発百中で当てることができました。

そんなゲヴュルツトラミネールさん、中華料理と相性がいいと言われます。なぜでしょうか。今回はゲヴュルツトラミネールの基本をおさえつつ、中華料理とのマリアージュについて考えてみます。

ゲヴュルツトラミネールとは?

イタリア北部原産の白ワイン用ブドウ品種です。冷涼で低湿度の環境を好み、フランスのアルザス地方やドイツなど、ヨーロッパ北部の産地が有名です。日本でも北海道で栽培されています。

“アロマティック品種”(香りがはっきりしていて個性が際立っている品種)に分類され、華やかな香りが特徴的。甘口から辛口までさまざまなタイプのワインが造られています。特に、キリッとした味わいの辛口タイプはワインだけで味わうことはもちろんのこと、料理にも合わせやすいハイブリッドなワインです。

名前の響きからはついワーグナーの「ワルキューレ」のような  “男性的”なイメージを連想してしまいますが、実際はフルーティで華やかな “女性的”な品種です。

中華料理と相性がいい理由

ゲヴュルツトラミネールが中華料理に合わせやすい理由として、風味・香りの特徴があげられます。

スパイシーな風味

「ゲヴュルツ」はドイツ語で「香辛料」という意味。ゲヴュルツトラミネールのワインはその名のとおり、少しスパイシーな風味を持っています。そのため、スパイスを使用した料理と合わせやすいと言われています。山椒や唐辛子を使った中華料理もその一例。風味に共通点があるのです。

ライチの香り

ゲヴュルツトラミネールの最大の特徴はなんと言ってもその香り! 果物のライチのような爽やかな香りが食欲をそそります。ライチは漢字で書くと「茘枝」、もともと中国南部原産の果物です。それゆえ中国では古くから料理に取り入れられてきたし、ライチのお酒(茘枝酒(ライチチュウ))も親しまれてきました。ライチの香りは中華料理によく合うのです。

楊貴妃が愛したライチの香り

そしてもう一つ、中華料理に合わせて楽しんで欲しい理由があります。ゲヴュルツトラミネールの香りの代名詞とも言えるライチ……実はライチは中国を代表する絶世の美女こと楊貴妃が愛した果物なのです。ワインと料理の相性は共通点が多いほど高まるといいますが、ゲヴュルツトラミネールは風味・香りの側面だけでなく、香りから連想するワインのイメージもまた中華料理とピッタリ合うわけです。

楊貴妃はクレオパトラ、小野小町と並ぶ “世界三大美人” のひとりですが、中国には彼女とライチを結びつける逸話が数多く残されています。楊貴妃はライチを手にすると、いつも満面の笑顔できゃっきゃっと喜んでいたのだとか。その笑顔があまりに美しく、彼女が好んだ品種は彼女にちなんで「妃子笑(ひししょう)」と名付けられました。

またその美貌により、玄宗皇帝にみそめられ第二夫人に抜擢されたのですが、楊貴妃にメロメロだった皇帝は彼女の笑顔が見たい一心で、夏になるとライチの原産地(中国南部)から早馬を走らせて1,300キロの距離を運ばせたといわれています。1,300キロといえば、第二東海自動車道を使って東京から鹿児島まで車で移動するよりも遠い距離……ライチ採りに使わされる担当者の気持ちを想像するといたたまれなくなります。それほど楊貴妃とライチは切っても切れない関係だったのですね。

ゲヴュルツトラミネールを中華料理にペアリングすると、ライチと楊貴妃の邂逅を演出している気持ちになります。実際に楊貴妃がどんなルックスだったのかはわかりませんが、彼女の笑顔が脳裏に浮かぶような気がします。

直球勝負で中華料理にライチのお酒(茘枝酒(ライチチュウ))を合わせるのもいいけれど、ワイン好きとしてはあえて「ブドウからできているのにライチの香りがする魅惑のワイン、ゲヴュルツトラミネール」を中華に合わせる方が乙ではないでしょうか。

おすすめゲヴュルツトラミネール

ゲヴュルツトラミネールは日本でも多くの人気を集めており、ワインショップにもリーズナブルな銘柄がたくさん並んでいます。その中から今回は、少し希少性のあるものをピックアップしてみました。

ゲオルグ・ネーゲレ(カーネーションラベル)2020

ゲオルグ・ネーゲレはドイツ第二のワイン銘醸地、ファルツ地方で有名な家族経営の生産者です。そのほとんどが地元で消費され、輸出されるのはごくわずかなのだとか。ラベルにあしらわれているカーネーションは、ネーゲル家の家紋です。赤いカーネーションの花言葉は「母への愛」「熱烈な愛」「愛を信じる」……楊貴妃に対する皇帝の愛を連想してしまいます。もちろん母の日のギフトにもいいけれど、大切な人の誕生日プレゼントにしたりプロポーズの記念にあけたりするのもお洒落ですよね。

味わいは甘味と酸味のバランスがよく、コクを感じます。香りはライチの爽やかさと薔薇の甘さが混じってとても華やか! 少し南国フルーツのようなトロピカルな印象もあります。

中華料理との相性はもちろんばっちり。特におすすめなのは青椒肉絲(チンジャオロース)です。筍やピーマンの香り、オイスターソースの風味にワインがよく合うんです。一気にエスニックな印象が高まります。また、山椒がピリッときいた麻婆豆腐もおすすめ。辛いものに合わせる場合はよく冷やすとより美味しく合わせられますよ。

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吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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