2021年05月19日

飲みやすいだけじゃない!インポーターが教える甘口ワインの世界

皆様こんにちは、インポーターの大野みさきです。

昨今、甘口ワインが密かな人気を呼んでいるのをご存知でしょうか。辛口ワインしか飲まないドライ派もいる中で、ワイン初心者が飲みやすいとやや甘口ワインを選んだり、反対に上級者がシャトーディケムなどの高級な極甘口ワインをデザートワインとして好んだりします。

ワインに甘さを求められる方が、一定数おられるということです。
今日は甘口ワインについてお話しましょう。

甘口ワインの種類

甘口ワインと言えど、ほんのり甘いものから、ガッツリ甘いものまで、その幅は広いです。そもそも甘口ワインはなぜ甘いのか。結論から言えば、ワインに含まれている残糖が多いので、自ずと甘さを感じます。EUでは残糖分によって、下記のように甘辛の定義がされています。

■EUでのスティルワインの甘辛表記(残糖による)
辛口 4g/L以下
中辛口 4~12g/L
中甘口 12~45g/L
甘口 45g/L以上
極甘口 100〜300g/L

残糖によって同じスティルワイン/スパークリングワインでも、その呼び名が異なります。つまり、ワインは辛口と甘口のざっくり2つが存在するという単純なことではなく、造り方、タイプ、地域によって細かに分かれています。例えば、下記のフランスとイタリアにおける甘辛表記をご覧下さい。

■仏スパークリングワインの甘辛表記(残糖による)
ブリュットナチュール 3g未満/L
エクストラブリュット 0〜6g/L
ブリュット 12g未満/L
エクストラドライ 12〜17g/L
セック 17〜32g/L
ドゥミセック 32〜50g/L
ドゥー 50g/L以上

■伊スティルワインの甘辛表記(残糖による)
セッコ 0~4g/L
アシュット 0~4g/L
アッボカート 4~12g/L
セミセッコ 4~12g/L
アマービレ 12~45g/L
ドルチェ 45g/L以上 

逆に辛口は、4g/L以下の残糖があるワインを指します。
4g/L以上のワインは、全て甘口ワインに分類されますが、基本的にEUでは45g/L以上の残糖があれば甘口です。300g/Lの残糖を有する極甘口ワインもドルチェに当てはまりますが、甘すぎやしないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

残糖と甘みの関係

残糖の高いワインは確かに甘味がありますが、ここで重要なのは『酸』の存在です。
酸がなければ、ただ甘いだけのシロップに過ぎませんが、酸が適度に加わることによってそこまで甘味は気にならなくなり、むしろ糖度の低いワインと同じぐらい辛口に感じます。

ポイントは甘味と酸味

わかり易い例を挙げると酢の物です。酢と砂糖(1:1〜1:0.5)の比率はご家庭によって異なるとは思いますが、酢の物には大量の砂糖が使われています。しかし、甘ったるくはありません。それは酢がふんだんに使われているからです。

おまけに酸味と甘味はお互いを相殺します。砂糖だけではただ甘いだけ、酢だけだと酸っぱいだけです。この2つが出会うと、その絶妙なバランスによって、砂糖が多くても酢のおかげで、美味しい酢の物に仕上がります。砂糖は酢によって打ち消され、糖度は酸度に影響を受け、酢の物はさっぱりと頂けます。

ワインも同様、糖度が高くても酸が存在しなかったら、それは単なる甘いだけのシロップです。極甘口ワインこそ酸が必要で、糖と酸は一緒に存在してはじめて真価を発揮します。

ワインの甘味の成分とは?

甘口ワインの甘味は、『糖類そのもの』、『果実味』、そして『アルコール』に由来します。

糖類そのものとは、砂糖のことです。舌の甘味受容体(味覚)で感知されます。果実味は完熟果実の甘い香りも含み、辛口赤ワインであっても立ち香でも戻り香でも感じられます。砂糖は舌で感じますが、果実味は嗅覚と味覚(舌)の両方で感知されます。完熟香は糖がさほどなくても、香りも味わいも甘く感じます。

アルコールはそれ自体が甘く、アルコール度数が高いワインは、低いワインより甘味を感じます。

甘口ワインの醸造

ワインを普通に醸造して造れば、辛口ワインとなるので、甘口ワインを造る場合は人のコントロールが不可欠です。

具体的にはポルトガルのポートワインのようにアルコール発酵の途中で、アルコール度数の高いブランデーを添加して酒精強化して発酵をストップさせる方法。あるいはワインを冷却させるか、亜硫酸を添加するかでアルコール発酵を停止させます。いずれも酵母の働きを封じ込めるやり方です。

また、干しぶどうワイン、アイスワイン、貴腐ワインのように水分が凝縮しているぶどうを用いている場合は、甘口ワインの元となる砂糖もたっぷりとあります。酵母が消費できないほどの砂糖があるか、途中で発酵を停止させるかで、甘口ワインに仕上がります。

残糖だけで甘味は決まらない

なお、残糖は甘味を感じるひとつの要因です。それらは成分の分析で出された数値です。人間は機械よりもはるかに複雑なので、甘みは前述の果実味やアルコールからも感知されます。その上、酸度など全てを総合的に判断しています。よって個人差が大きく、残糖やそれらを示す甘辛表記は、あくまでもワインを選ぶ時の目安と考えた方が良いでしょう。

食前酒や食後のデザート酒として、また、疲れた時の糖分補給やお休み前の癒しの1杯として、甘口ワインをワインライフに取り入れてみるのも良いかもしれません。今日は甘口ワインについてお伝えしました。最後に最近、頂いて美味しかったおすすめの甘口ワインをご紹介して終わりにしたいと思います。

それでは皆様、ごきげんよう!

■試飲ワイン
 
GIOVANNI DRI IL RONCATラマンドロ2016 参考小売価格5,280 円(税込)

DOCG: ラマンドロ
タイプ: 甘口白ワイン
品種: ヴェルドゥッツォ・フリウラーノ100%
産地: フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州 ラマンドロ
収穫:10月の中旬以降 白ぶどうにしては非常に遅い
醸造:空気圧プレスでソフトに圧搾、清澄後、約18℃の温度で1ヶ月以上発酵。最低アルコール度数に達した後、フィルターでろ過。残糖80g/L残したままステンレスタンクにて8ヶ月熟成。 試飲: 黄金色。ドライフルーツ、紅茶、密っぽさを感じる香り。コックリとしたとろみのあるテクスチャーで程よく甘い。砂糖入りのアイスティーを飲んだ時のようなタンニンを感じつつも、すっきりとしたアフター。

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365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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