2021年07月12日

アルザスワインの特徴とは?フランスの中でも個性際立つ魅力を解説

ワイン王国フランスのなかでも、個性を放っているアルザスワイン。独特といわれるゆえんは、気候風土によるものだけではありません。この記事では、アルザスワインの特徴や使用されるぶどう品種をご紹介します。アルザスならではの一風変わったワインもチェックしてくださいね。

ワイン産地で有名なアルザス地方とは

アルザス地方の景色
iStock.com/litchi-cyril-photographe

ヴォージュ山脈とライン川に挟まれたアルザス地方は、フランス最東部のワイン産地です。110kmにわたるブドウ畑があるのは、ヴォージュ山脈の東側斜面。その間を縫うように、約170kmの「アルザスワイン街道」が走っています。温暖で降水量が少ない半大陸性気候、朝晩の寒暖差があり、畑の日当たりは良好。石灰岩、花崗岩、砂岩など多様性のある土壌といった、ブドウ造りに適した条件をいくつも満たしています。

ライン川の向こうはすぐドイツ国境となっているため、過去、何度もドイツと領有権が争われました。そのためドイツ文化の影響が残っており、国内でも独特な雰囲気を持っているといわれる地域です。

アルザスワインの特徴

90%以上が白ワイン

アルザスの伝統的な大樽が並んでいる様子
iStock.com/VvoeVale

アルザスワインは、「アルザスワイン街道」沿いにある103の村で造られています。生産量の90%以上を占めているのは辛口白ワイン。甘口白ワイン、赤ワイン、スパークリングワインの生産量はごくわずかです。

基本的に単一品種のワインですが、ワイナリーの数が900あまりあるため味わいはさまざま。発酵・醸造の際、ステンレスタンクではなく、アルザス地方伝統のフードル(大樽)を使用するワイナリーがあることも大きな特徴です。ボトルはドイツと同じくフルート型とよばれる首の細長いタイプで、貼られているラベルにはブドウ品種が記載されています。

アルザスワインのAOC(原産地呼称制度)

フランスのワイン法によるAOC(原産地呼称制度)は「AOCアルザス・グラン・クリュ」、「AOCアルザス」、「AOCクレマン・ダルザス」の3つです。

「AOCアルザス・グラン・クリュ」
認定は1975年。品種は「ゲヴェルツトラミネール」「ピノ・グリ」「リースリング」「ミュスカ」の4つ、ワインは白ワインのみ、ブドウはすべて手摘みが義務付けられています。グラン・クリュで造られるワインは、アルザス地方全体の4%ほどです。

「AOCアルザス」
アルザス地方ワイン生産量の70%近くを占めています。認定は1962年。赤・白・ロゼの3タイプが認められていますが、全体の90%以上を占めているのは白ワインです。

「AOCクレマン・ダルザス」
1976年に認定されました。スパークリングのロゼと白ワインが造られていますが、特にスパークリングは秀逸。シャンパーニュ同様、瓶内二次発酵という製法がとられています。

アルザスワインの主なブドウ品種

ブドウの樹に白ブドウの実がなっている様子
iStock.com/halcoti

アルザスで造られているワインの多くは白。そのため栽培されているブドウも、白ワイン用の品種が多くなっています。ご紹介するのは、アルザスワインに欠かせない主要品種です。

リースリング

ドイツ発祥の白ブドウ品種です。アルザスでは19世紀後半頃から栽培が始まりました。黄緑色の果皮に包まれた粒は小さめ。白い花や洋ナシ、ハチミツといった華やかな香り、品のある酸味、豊かなミネラルを持つワインに仕上がります。

ピノ・グリ

フランス・ブルゴーニュ原産の白ブドウ品種です。祖先に黒ブドウ品種のピノ・ノワールを持つため、果皮は灰色がかった紫色。柑橘系・南国系果物の香り、おだやかな酸味、まろやかさとコクを感じるワインになります。

ゲヴェルツトラミネール

イタリア原産のブドウ、トラミナーを起源に持つ品種です。1511年にアルザス地方で栽培が始まり、1870年にクローン選別が行われました。ライチや南国系果物、スパイスの香りを持つ、ふくよかなワインに仕上がります。

ミュスカ

日本でもおなじみのマスカットです。マスカット系の品種は世界各地で栽培されていますが、アルザスワインに使用されるのは「ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン」「ミュスカ・オットネル」の2品種。フルーティですっきりした辛口ワインになります。

知っておきたい!少し特殊なアルザスワイン

テール部に置かれた2脚の白ワイングラスとボトル
iStock.com/nobtis

アルザスワインのなかには、赤・白で分けられない、ちょっと特殊なワインが存在します。アルザスならではの特徴を持つワインを見てみましょう。

ヴァンダンジュ・タルディヴ

名前の通り「Vendange(ヴァンダンジュ)=収穫)」が「Tardive(タルディヴ)=遅い」、遅摘みブドウで造られるワインです。

遅摘みならばよいということではなく、「ヴァンダンジュ・タルディヴ」を名乗ることができるのは、「AOCアルザス・グラン・クリュ」「AOCアルザス」で栽培された、リースリング、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、ミュスカの4品種のみ。甘口から辛口までありますが、どのワインも凝縮した果実味、コクのある濃厚な味わい、まろやかなのどごしを楽しめます。

セレクション・ド・グラン・ノーブル

「AOCアルザス・グラン・クリュ」「AOCアルザス」で栽培された、貴腐菌付きのブドウで造られるワインです。使用できるブドウはリースリング、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、ミュスカだけ。さらにブドウ糖度が基準に達していなければ収穫することができないといった、厳格な規定が設けられています。

特徴は南国系果物の香り、凝縮感のある果実味、ハチミツのような甘さ。非常に長い余韻もポイントです。

クレマン・ダルザス

シャンパーニュと同じく、瓶内二次発酵方式で造られるスパークリングのAOCワインです。使用されるのは主にピノ・ブラン。リースリングやピノ・ノワールとブレンドされることもあります。

よく比較されるシャンパーニュよりアルコール度数が低く、すっきりさわやかな味わい。白い花のような香り、さっぱりした酸味、まろやかな果実味を楽しめます。リーズナブルな価格で国内需要が多く、家庭でよく飲まれているワインです。

エーデルツヴィッカー

複数のブドウをブレンドしたAOCワインです。もともとの呼び名は、ブレンドの意味である「ツヴィッカー」でしたが、リーズナブルなブレンドワインと区別するため、「エーデル=高貴な」という言葉が付け加えられたといわれています。

単一品種ワインをエーデルツヴィッカーとして販売しているワイナリーもあるので、購入する際はラベルのチェックがおすすめです。

ジャンティ

高品質なブドウをブレンドしたAOCワインです。「エーデルツヴィッカー」と混同されがちですが、ブドウ品種はリースリング、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネール、ミュスカを50%以上含んでいること、ブレンド前にそれぞれのワインを醸造すること、ボトルの試飲検査をクリアしなければ販売できないなど、厳しい条件が設けられています。

アルザスワインは自然派生産者が多い

白ブドウを収穫している様子
iStock.com/alessandroguerriero

アルザスワインは、天然酵母を使用し、できるだけ自然に近い状態でワイン造りを行う自然派ワイン(Vin Nature/ヴァン・ナチュール)の先進地域です。オーガニック認証を受けた自然派ワインの生産者は、アルザス全体の20%近くにのぼるといわれています。

他のワイン産地と比べて自然派ワインが多い理由は、アルザス特有の気候。比較的温暖で雨が少ないため、カビやウイルス、害虫が付きにくいのです。また「自然環境を守ろう」という生産者意識が高いことも挙げられます。

アルザスでは化学肥料や農薬、添加物を使わない自然派ワインのほか、有機栽培のブドウを使ったビオワイン造りも盛んです。ビオワインは「ビオロジック農法」と「ビオディナミ農法」、ふたつの栽培方法があります。どちらも化学肥料、除草剤、農薬不使用ですが、伝統的に使用されている農薬は使用できます。

「ビオディナミ農法」ではさらに、月や星座など天体の動きも活用されます。ワインを瓶詰めする際、一般的に酸化防止のため亜硫酸塩を添加しますが、自然派ワインは不使用。ビオワインは亜硫酸塩の使用制限がかけられているため、時間の経過とともに、少しずつ変化する味わいを楽しむことができます。

おすすめのアルザスワイン5選

1. ファミーユ・ヒューゲル「ジョンティ・ヒューゲル」

ファミーユ・ヒューゲル「ジョンティ・ヒューゲル 2018」のボトル
1,442(税込)~/辛口

「ワインの品質は、100%ブドウそのものにある」を信念にワイン造りをおこなっている、ヒューゲルの「ジョンティ」です。昔アルザスでは、高貴品種を組み合わせたワインを「ジョンティ」と呼んでいました。その伝統を復活させたワインには、5品種のブドウを使用。果物と花の華やかな香り、フレッシュな果実味、のびのある酸味を楽しめます。

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2. マルク テンペ「ゲヴェルツトラミネール ツェレンベルグ」

マルク テンペ「ゲヴュルツトラミネール ツェレンベルグ」のボトルとラベルのアップ
¥3,689(税込)~/やや辛口

ゲヴェルツトラミネール100%のワインです。ビオディナミ農法で育てられたブドウは、茎を付けたまま半日ほど圧縮。時間をかけ丁寧に圧縮されるため、美しい果汁が採取されます。その後、24時間清澄。大樽で24カ月シュール・リー熟成させて仕上げます。特徴はライチやバラ、ハーブの香りと桃のような甘味、やさしい酸味です。

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3. メイエー家「アルザス ミュスカ」

メイエー家「アルザス ミュスカ 白」のボトル
¥4,887(税込)~/やや辛口

17世紀から家族経営を続ける名門ワイナリー、メイエー家の手掛けるワインです。ビオディナミ農法で育てられたブドウは果実味がたっぷり。マスカットやユリの華やかな香り、白桃、メロン、ブドウのみずみずしい旨味、シャキッとした酸味が特徴です。女性から非常に高い支持を得ています。

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4.  ポール ジャングランジェ ピノ グリ レ プレラ 2019  

¥2,351(税込)~/辛口

1636年に設立された歴史ある造り手「ドメーヌ・ポール・ジャングランジェ」。ピュアなスタイルのワインで近年さらに注目を集めるアルザスの生産者です。いぶしたような香りにハチミツやカリンのようなアロマが加わり、充分な密度とコクのある果実味が特徴の一本。

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5. フライシャー「ピノ・グリ」

フライシャー 「ピノ・グリ」のボトル
¥2,122 (税込)~/辛口

フランス最大のリーディングカンパニー、「レ・グラン・シェ・ド・フランス社」のワインです。熟したピノ・ノワールを、ステンレスタンクで発酵・熟成。濃い黄金色をしており、アプリコットや熟した桃の香りを持っています。しっかりボディの辛口ですが、果実の甘味がありフルーティ。渋みがおだやかで飲みやすいと口コミで評判です。

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6.  アルザス ピノ ブラン キュヴェ レゼルヴ  

¥1,620 (税込)~/辛口

パイナップルのような甘酸っぱいフレッシュな香りで、トロピカルフルーツの香りもかすかに感じる一本。やや淡く、落ち着いた麦わら色の色合いも印象的です。食前酒にぴったりで、前菜やパスタに合います。

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個性派ぞろいのアルザスワイン

ドイツの影響を多分に受けているアルザスワインは、非常に個性的です。単一品種の白ワインが多い地域ですが、さまざまな気候・風土に恵まれているため味わいはさまざま。さらに遅摘みブドウで造るワインや、貴腐菌の付いたブドウで造られるワインもあります。いろいろなアルザスワインを味わい、お気に入りを見つけてくださいね。

※商品価格は、2021年6月4日時点での情報です。

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