2021年06月28日

年々注目度が高まる「カベルネ・フラン」の魅力とは

近年脚光を浴びることが増えている黒ブドウ品種「カベルネ・フラン」。ブレンドの補助品種として味わいを補う役目を果たしたり単ー品種として用いられたりと、ワイン造りに欠かせないブドウ品種のひとつです。この記事では、カベルネ・フランの特徴や主な産地、おすすめワインについて詳しくご紹介します。

カベルネ・フランとは

ブドウの木に実ったカベルネ・フラン
iStock.com/SStajic

「カベルネ・フラン」とは、ワイン醸造に用いられる黒ブドウ品種のひとつです。世界各地で栽培されていて、比較的冷涼な環境でも栽培が可能。主にフランスのボルドー地方やロワール地方で栽培されています。

赤ワイン品種の王様である「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロー」「カルメネール」などの交配親(原種)です。青みを帯びた黒色で、粒は比較的小粒。房は小さく、見た目はカベルネ・ソーヴィニヨンによく似ていますよ。

また、カベルネ・フランには、別名(シノニム)があり、「ブルトン」「ブーシェ」「グロー・カベルネ」「グロッセ・ヴィドゥル」など土地ごとに違う名称で呼ばれています。

ブレンドに使われることが多い

カベルネ・フランはもともと、ブレンドする補助品種ブドウとして栽培されることが多い品種。一般的にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとブレンドすることが多く、ボルドーの赤ワインには欠かせない存在とされています。

ブレンドに使われる理由は、悪天候の影響を受けやすいカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローの補助的役割を果たすため。特にボルドー左岸地区では、気温の影響からカベルネ・ソーヴィニヨンが完熟しないときや出来がよくないときに、カベルネ・フランで補っています。

また、ボルドー右岸地区では、カベルネ・フランはメルローとのブレンドに多く使われます。メルロー主体の赤ワインの場合、カベルネ・フランは骨格を造る役割を持ち、さわやかさや上品さをプラスします。そのほかに、アイスワインやスパークリングワイン造りに、白ブドウとブレンドされることも多い品種ですよ。

カベルネ・ソーヴィニヨンとの違い

カベルネ・ソーヴィニヨンは、発芽と成熟が遅く、完熟しにくい特徴があります。カベルネ・フランは、多少冷涼な環境でも完熟が可能で、カベルネ・ソーヴィニヨンと比べると、成長速度も収穫時期も早いです。

造られるワインについては、カベルネ・ソーヴィニヨンは、豊かなタンニンと酸味、凝縮された香りが特徴で、しっかりとした骨格を持ちます。一方でカベルネ・フランは、やわらかな酸味とほどよいタンニンが特徴で軽やかさがあります。香り、味わい、色調など、全体的にカベルネ・ソーヴィニヨンよりも軽めで、強さよりもエレガントさが感じられますよ。

カベルネ・フランで造られるワインの味わい・香り

赤ワインをグラスに注いでいる様子
iStock.com/CarlosAndreSantos

カベルネ・フランで造られるワインは、明るめの色調で、さくらんぼや木いちご、すみれの花のような香りがし、口当たりがなめらか。ほどよい渋味と酸味の繊細な味わいが特徴です。軽めから中程度のボディのものが多いですが、水はけのよい石灰質の土壌で栽培されるブドウからは重厚なワインが造られます。

カベルネ・フランのワインに感じられる、独特のピーマンのような青臭い香りは、寒い年や冷涼な地域で造られたワインに見られることがあります。栽培される土壌や造られるワインによって差があり、熟成するとブルーベリーやカシスの果実味が感じられ、土やタバコの香りを持ち、よりまろやかな味わいになりますよ。

カベルネ・フランの主な産地

広大に広がるワイン畑
iStock.com/Mulecan

カベルネ・フランは世界各地で栽培される国際ブドウ品種。原産地は、フランスのボルドー地方とされていましたが、近年はスペインのバスク地方がルーツであるという説が有力と考えられています。では、カベルネ・フランの主な産地を見ていきましょう。

フランス

ボルドー

フランスにおける生産量が全体の8割を占めるカベルネ・フラン。主にボルドー地方で、ブレンド用の補助品種として栽培されています。

ボルドー地方左岸のメドック地区やグラーブ地区では、ブレンド用にブドウ畑の10%を使って栽培され、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローとブレンドされているのです。カベルネ・フランは、成熟が早く冷涼な気候でも完熟する特徴があるため、カベルネ・ソーヴィニヨンの出来がよくないときに、補助的な役割として使われますよ。

一方で、カベルネ・フランが広く栽培されるのは、ボルドー地方右岸の、サンテミリオン地区やポムロール地区。ワインはメルローを主体に造られ、カベルネ・フランは骨格を与えるブドウ品種として用いられています。

特に有名なのが、サンテミリオンの最高格付けワイン「シャトー・シュヴァル・ブラン」。カベルネ・フランをメルローと50%前後でブレンドして造る、長期熟成可能なワインですよ。ボルドー地方で造られるカベルネ・フランのワインは、ブレンドされるという理由もあり、全体的にしっかりしたボディになるものが多いです。

ロワール

フランスのロワール地方では、カベルネ・フランがもっとも多く栽培されています。特に、ロワール川中流域のアンジュ地区やソミュール地区、トゥーレーヌ地区で盛んに栽培されています。AOCアンジュやAOCシノンでは、カベルネ・フラン100%の単一で造られるワインが有名。また、赤ワインだけでなく、ロゼワインやスパークリングワインにも使われます。

ロワール地方で造られるカベルネ・フランは、全体的にさっぱりとした酸味と軽やかなボディが特徴。エレガントさを感じさせる味わいのものが多いです。

イタリア

イタリアは、カベルネ・フランの大きな産地ではありませんが、北イタリアの北東部のヴェネト州やフリウリ・ヴェネツァ・ジュリア州、中央部のトスカーナ州で栽培されています。イタリアのカベルネ・フランは、太陽の光を豊富に浴びよく熟していて、カベルネ・フラン主体の高品質なワインが造られていますよ。

味わいは、カシスやブルーベリーの果実味とハーブのようなアクセントを持ちしなやかさが特徴。イタリアでは近年カベルネ・フランの多様性に注目が集まっていて、カベルネ・ソーヴィニヨンからカベルネ・フランに植え替えている生産者が多く見られています。

南アフリカ

ニューワールドのなかでも比較的古くからワイン造りがおこなわれている南アフリカ。カベルネ・フランは、主にステレンポッシュ地区やパール地区で栽培され、ボルドー地方のようにブレンドスタイルで使われてきました。

近年になって、ワーウィックという生産者がカベルネ・フラン100%のワインをリリース。単一品種としても使われるようになり、今では世界的に高い評価を得ています。

南アフリカのカベルネ・フランは、ジューシーでボリューム感があり、フランスのカベルネ・フランよりアルコール度数が高く力強い味わいです。

そのほかニューワールドでも

カベルネ・フランは、ヨーロッパ以外にも、アメリカやカナダ、ニュージーランド、オーストラリア、チリなど世界中で広く栽培されています。アメリカでは、ニューヨーク州やヴァージニア州で栽培され、メルローとのブレンドに使うほか、単一品種のワインも造られていますよ。また、カナダやアメリカでは、アイスワインの原料としても栽培されています。

乾燥した地域であるアメリカのカリフォルニアやチリで栽培されたカベルネ・フランは、凝縮感のあるジャムのようなベリー系の香りが感じられ、軽やかながら濃厚な果実味が特徴。カベルネ・フランの多様性を味わえるでしょう。

さらに日本でもカベルネ・フランを栽培するワイナリーがあります。山梨県の「シャルマンワイン」を中心に、「エーデルワイン」「井筒ワイン」「中央葡萄酒」などのワイナリーで、高品質なワインが醸造されていますよ。

カベルネ・フランのワインにあう料理

お皿に盛られたラムチョップ
iStock.com/bhofack2

カベルネ・フラン主体もしくは100%で造られたワインは、繊細な香りとほどよい果実味が特徴。渋味や酸味のバランスがよいまろやかな味わいが魅力です。料理を合わせるなら、牛肉や仔羊肉など脂身の少ない赤身や鶏肉の料理がベストマッチ。ローストやたたきなどさっぱりとした調理法がおすすめです。

ハムやハーブを効かせたクセのないパテなどともよく合い、チンジャオロースーや豚肉の生姜焼きのような炒め物にぴったりですよ。魚料理なら、マグロの赤身の刺身やさんまの塩焼きなどもおすすめ。

また、カベルネ・フラン特有の青野菜のような香りから、野菜サラダやきのこのソテーなどとも相性抜群。もちろんチーズとの組み合わせもよく、プロセスチーズのようなクセのないものやヤギのチーズ「シェーブルチーズ」などと楽しめます。

さらに、生姜や香菜を使うベトナム料理や、スパイシーな味付けのタイ料理などエスニック料理にもマッチするのでぜひ試してみてくださいね。いずれにせよ、濃厚な肉料理よりもさっぱりめの味付けと合わせるといいですよ。

カベルネ・フランで造られるおすすめワイン5選

1. アイアンストーン・ヴィンヤーズ カベルネ フラン

緑色の瓶にIRONSTONEIと表記された白いラベルの赤ワイン
¥1,502(税込)〜/ミディアムボディ/アメリカ

「アイアンストーン・ヴィンヤーズ」は環境にやさしいサステーナブル農法を実践。自社畑のブドウ100%で造るコスパのよい赤ワインです。軽やかな口当たりで、熟したブラックチェリーやブラックベリーの豊かな香りにスパイシーな風味、そしてハーブや樽のニュアンスが感じられます。おだやかなタンニンが特徴で、心地よい余韻が味わえますよ。

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2. シノン キュヴェ・デ・クロゾー

緑色の瓶にCHINONと表記された白いラベルの赤ワイン
¥2,376(税込)〜/ミディアムボディ/フランス・ロワール

カベルネ・フラン100%の有機赤ワインです。樹齢30年のカベルネ・フランは、すべて手積みで収穫。一般的なシノンの質と少し異なる、粘土石灰質土壌の斜面畑で栽培されています。また、無農薬栽培や天然酵母のみによる発酵など、手間と時間をかけて丁寧に造られていますよ。

すみれや新鮮な野菜の香り、レッドプラムの果実味があり、シルキーでまろやかなタンニンが魅力。カベルネ・フランのみずみずしさやフレッシュさが感じられ、のど越しのよい味わいです。

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3. ワーウィック カベルネフラン

緑色の瓶にWARWICKと表記された緑色の縁取りのラベルの赤ワイン
¥3,900(税込)〜/フルボディ/南アフリカ

南アフリカの権威あるワインガイド『プラッターズガイド』で、7年間で5度も5つ星を獲得しているカベルネフラン100%のワイン。さくらんぼやカシスの果実味と、ハーブやチョコレート、タバコのような複雑な香りが特徴で、口当たりがやわらかくなめらかなタンニンが感じられます。

しっかりした酸味と繊細な渋味で、樽のニュアンスも楽しめますよ。ローストビーフや仔羊肉のロースト、スパイシーな料理などとよく合います。

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4. シャトー ムーラン サン ジョルジュ

緑色の瓶にMOULIN SAINT GEORGESと表記された白いラベルの垢ワイン
¥4,818(税込)〜/フルボディ/フランス・ボルドー

ボルドー8大シャトー「シャトー・オーゾンヌ」のオーナー、アラン・ヴォーティエ氏が所有している、オーゾンヌの向かい側に位置するシャトー。メルロー主体で、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランのブレンドです。

色調は深いルビー色で、ブルーベリーやラズベリーの果実味、プラムジャムのような濃厚な香りが特徴。ブラックオリーブやトリュフのようなスモーキーな香りも感じられます。しっかりとした酸味とスパイシーさ、そしてなめらかなタンニンで複雑なニュアンスを楽しめますよ。オーゾンヌに似た特徴でありながら、リーズナブルなのが魅力です。

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5. カ マルカンダ ガヤ マガーリ

緑色の瓶にMAGARIと表記されたラベルの赤ワイン
¥6,380(税込)〜/フルボディ/イタリア

イタリアの最高の造り手とされるアンジェロ・ガヤが手掛けるワイン「マガーリ」。2014年まではメルロー主体でしたが、2015年からカベルネ・フラン主体のブレンドとなりました。しっかりとした骨格で、ワイルドベリーの果実味といちごジャムのようなまろやかさが感じられるエレガントな味わい。はっきりした酸味とマイルドなタンニンのバランスがとてもよいひと品です。

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多様性が魅力!カベルネ・フランを楽しもう

ブレンドに使われることが多い「カベルネ・フラン」は、昨今、その多様性から脚光を浴びるようになりました。世界中で親しまれているカベルネ・ソーヴィニヨンと比べるとインパクトに欠けますが、繊細な味わいとまろやかさに魅了される人も少なくありません。世界で栽培面積が続々と増え、土地によってさまざまな表情を見せるカベルネ・フランの魅力にぜひ触れてみてくださいね。

※商品価格は、2021年6月15日時点での情報です。

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