2021年07月14日

古き良き日本文化「角打ち」で楽しむワイン!

皆様、こんにちは。インポーターの大野みさきです。
大阪は緊急事態宣言が明けて、閑散としていた繁華街も徐々に活気を取り戻しています。大阪の名所である難波も同様に、シャッターをオープンするお店が増え、行きかう人々にも元気がみられる様子です。

さて、今回は「角打ち」をご紹介しましょう。伺ったのは難波センター街商店街に溶け込む、老舗の酒屋「シバチョウ」です。6代目オーナーである、田中弥助さんにお話を伺いました。

風情あふれる老舗の酒屋さんへ

まず驚いたのが、シバチョウが創業150年余りであることです。誕生はなんと江戸時代末期~明治初期とのこと。「細く長くやっているだけですよ」と田中さん。いやいや、継続することがどれほど困難なことか、設立7年を迎えたばかりの弊社(365wine)からしたら、もはや尊敬の念しかありません。

親戚筋にシバヤチョウベエさんという番頭がいらして、その方のお名前を取って「シバチョウ」と名付けられたのだとか。1世紀半以上も昔のことなので、そこから暖簾わけしたのか、閉められたのかは定かではありませんが、その後1代目の弥助さんから、現在の6代目の田中弥助さんまで続いています。待望の男子が生まれたということで、1代目の弥助のお名前を曾祖父の命により、田中さんが引き継いだそうです。壮大なファミリーの歴史絵巻ですね。

コンパクトな店内には所狭しと焼酎、日本酒、ビール、ワイン、ウイスキー、ブランデーなどのお酒が陳列されています。また、最近はコンビニで販売されているのが一般的となりましたが、たばこの各種銘柄も並んでいました。

日本のワイン文化と歴史の流れを感じて

創業当初は焼酎や日本酒の酒販からスタートし、当時は木樽に入ったお酒を量り売りしていた時代です。桶に入ったお酒をブレンドして混ぜたりしていたので、独自のアッサンブラージュで人気を集めている酒屋があったり、今よりも樽の風味が強かったのではないかと田中さんは語ります。

生活物資である塩・しょう油・油などを扱っていた時代を経て、曾祖父の代からは、たばこも加わります。ワインが入ってきたのは、これも日本のワイン史になぞらえて、サントリーの赤玉ポートワインが登場した1907年からです。時代の流れを感じます。

店内には瓶ビールの黄色いプラスチックケースが、角打ちカウンターの足となって積まれています。聞くところによると、お酒をお買い求めになられる方よりも、角打ち目当ての方が多いのだとか。通りで酒類の陳列スペースより、小さいながらもカウンターが3ヶ所と、お店の大部分を占めているわけです。

あらためて「角打ち」とは?

角打ちには3つの意味があります。

■角打ちってなに?
1. 酒屋の店内で、そのお店で買った酒を呑むこと。また、立ち呑みができる酒屋のこと。
2. 1の意味合いから、安く飲むことができる立飲み屋を「角打ち」と表現する店もある。
3. 枡でお酒を呑む/飲むこと。

要するに酒屋でお酒を購入し、お店の一角でお酒を楽しむスタンスです。飲食店とは異なるので、酒屋が量り売りして、お客様がその場で呑まれるといったイメージでしょうか。語源は諸説あり、量り売りされた四角い升の角に口をつけて升酒を呑む/飲むこと、または酒屋の店の隅(角)でお酒を呑むことに由来します。

角打ちスタイルの発祥

北九州が発祥とされ、炭鉱や工場で働く労働者が、仕事帰りに酒屋で一杯やっていた習慣が定着したようです。現在もその名残りで、北九州市内には、角打ちができる酒屋が150軒近くあります。北九州から関東へ、その後、角打ち文化が全国に広がっていったと言われています。

余談ですが、酒屋の店頭でお酒を呑むことを関西では「立ち呑み」(漢字違いの立ち飲みは@飲食店)、東北では「もっきり」、鳥取や島根東部では「たちきゅう」と呼ばれています。

リーズナブルにお酒とおつまみを楽しめる

酒屋がやっているので種類も豊富でおまけにリーズナブルなのが特徴です。シバチョウでは焼酎340円~、日本酒290円~、ビール小瓶340円、ワインは230円~で、赤・白5種類ずつ500円前後のものを多く取り揃えています。

醸造酒が好きなので、日本酒やワインに力を入れたいです」と田中さん。

産地も品種もバランスよく揃っています。私はブルゴーニュのロゼワイン(580円)を1杯頂きました。オーガニックのピノノワールを用いた、爽タイプの夏向けワインです。アテも自由に選んでキャッシュオンです。中でも人気なのが、缶つまシリーズ。酒燗器があるので湯銭で温めると絶品おつまみの完成です!

■ 角打ちの3か条
● 立ち呑みだからこそスマートに紳士的に!
● 20時閉店を守る
● サッと呑んで、サッと帰るのが粋!

1~2人の少人数で来店し、1~2杯を嗜み、20~30分で切り上げるのがポイントです。飲食店の立ち飲みとは違うので、長くても1時間、長居は禁物。

コロナ禍で飲食店は休業や時短営業をされているので、軽く1杯、短時間で呑んでいかれる方がとても多いのだとか。私が取材に伺った平日は朝11時でしたが、角打ちのチョイ呑み客が後を絶たないぐらい来店し、田中さんは常に忙しく動き回っていました。

年齢層がやや高く、お父さんたちと男性客が多いので、若い女性が1人で入るには少し敷居が高いですが、一度、勇気を出して一歩踏み入れば、次回からは行きつけの酒屋として角打ちが楽しめます。

「休憩がてらカフェでお茶するかのように、1杯からお気軽にどうぞ~」と笑顔で答える田中さん。古き日本の角打ち文化を覗いてみてはいかがでしょうか。

それでは皆様、ごきげんよう!

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

この記事をSNSでシェアする