2021年08月18日

【おすすめノンアル・ワイン紹介】ジュースとは違う!? ノンアルコール・ワインを味わってみた! 

こ数年、世界中でノンアルコール・ドリンクがブームになっています。もともとは「お酒が弱い」「車を運転する予定がある」などの理由で消費されるイメージが強かった、ノンアル・ドリンク。最近では少し趣が変わってきました。

トレンドの中心は、アメリカのニューヨークやイギリスのロンドンなど。「Sober Curious(ソバー・キュリアス)」=「 “シラフ” を楽しむ」というライフスタイルを選択する人が、年々増えています。ヘルシー志向が高まるにつれ、お酒を飲めるけれどあえて飲まない、もしくは少ししか飲まない……そんな人たちがノンアル・ドリンクを積極的に消費するようになったのです。

今(2021年8月現在)は特に、新型コロナウイルス感染対策により飲食店でアルコールを提供しにくい状況にあり、ノンアル・ドリンクのラインナップが充実しているお店が増えてきました。堂々とお店でワインを楽しめないのは非常に悲しいけれど、裏を返せばノンアル・ドリンク……特にノンアル・ワインをあれこれ試す良い機会なのかも知れません。そんなわけで私もついに、世界のトレンドにだいぶ遅れをとりながら、ノンアル・ワインの世界に足を踏み入れてみたのです。

ノンアルコール・ワインとブドウジュースの違い

ノンアル・ワインとの記念すべきファースト・コンタクトは、南フランスのワイナリー「ドメーヌ・ピエール・シャヴァン」が手がける「OPIA(オピア)」のスパークリング・シャルドネでした。

「ジュースみたいな感じかな」と想像しつつすすると、予想に反する味わいで軽く衝撃が……! 脳裏に浮かんだのは “香ばしくほんのり甘い炭酸レモンティー” というワードでした。ワイン感はそれほどないものの料理に寄りうテイストで、ジュースとは明らかに別物です。なぜ違いが生まれるのでしょうか。

調べると、ノンアル・ワインの製法には2種類あることがわかりました。

非発酵製法でつくられるタイプ

ワイン用ブドウの果汁をしぼり、発酵させずにつくるタイプ。アルコール発酵が進まない程度に果皮や種子を果汁に漬け込んで、複雑味をもたせます。搾汁しただけのジュースとは一線を画す味わいに仕上がります。

脱アルコール製法でつくられるタイプ

発酵させてワインを作った後、アルコールだけを取り除いてつくるタイプ。真空タンク内で低温蒸留するやり方や、遠心力を使ってアルコールを分離・除去するやり方などがあります。いずれも発酵プロセスで生じる成分により、非発酵製法よりもワインに近いテイストに仕上がります。

どちらの製法もアルコールが入っていないので、ワインより味わいが薄くなりがちです。アルコール要素を補うには炭酸が効果的といわれており、 “ノンアル・スパークリング” として販売されることが多いようです。たしかに、お店ではスパークリングのノンアル・ワインが主流ですよね。脱アルコール製法の非発泡商品もありますが、その場合はブドウ果汁をブレンドして風味をプラスするのだとか。

上で紹介した「OPIA」は脱アルコール製法でつくられたノンアル・スパークリングです。香ばしさや紅茶のような味わいは、発酵過程で生じたワインの風味……なのかもしれません。

※脱アルコール製法でつくられるノンアル・ワインは、酒税法上は「ノンアルコール」(アルコール1%未満)と分類されますが、微量なアルコールが残っているケースがあります(0.005%〜1%未満)。多くの場合ラベル等に「ワインテイスト飲料」と書かれているので、チェックしてみてください。

食事に寄り添うノンアルコール・ワイン

ノンアル・ワインは手間暇かけてつくられることがわかりました。当然、ジュースよりも価格が高くなります。安価なジュースだってあるのに、またノンアル・ブームの高まりでノンアル・カクテルも充実しているのに、それでもあえてノンアル・ワインを選ぶ理由はあるのでしょうか。

海外でソバー・キュリアスなライフスタイルを送る人たちの中には「ジュースやノンアル・カクテルは単品で楽しむもの。食事には合わせにくい。」という理由で、ノンアル・ワインを選ぶ人が増えているそうです。

もともとワインをはじめとする醸造酒は食事の味わいを引き出したり、味わいに調和を生み出す効果があります。ノンアルをチョイスする場合にも、「食事に合わせる」ことを重視するのならノンアルの “醸造酒” を……特に甘味や渋み、酸味、複雑な味わいを楽しみたいのならノンアル・ワインを選んでみてはいかがでしょうか。

ノンアルコール・ワイン、勝手にランキング

カジュアルな非発泡ノンアル・ワイン」「高級ノンアル・ワイン」「こだわりのナチュラル・ノンアル・ワイン」という3カテゴリーから4本をチョイス。実際に飲んでみて、勝手に評価&ランキング付をしてみました。

販売サイトで「ジュース」と書かれているものもありますが、ワイン用ブドウを原料にワイナリーで製造している=ノンアル・ワインと捉えます。

第4位 ピエール・ゼロ・メルロー(ドメーヌ・ピエール・シャヴァン)

珍しい赤の非発泡ノンアル・ワイン! 「OPIA」と同じ造り手の商品です。

【評価ポイント】
脱アルコール製法でつくられたワインテイスト飲料で、最もワイン感が強い! ブルーベリーのような甘い香りと籐で編まれたカゴのような香りがほんのり漂い、ワインの複雑味がよく再現されています。フレッシュな酸味と控えめな甘さが食事に寄り添います。渋みもちゃんと感じます。

【マイナスポイント】
味が薄くてパンチに欠ける印象でした。脱アルコールしたメルローのワインに、メルローのブドウ果汁をブレンドしているのですが、ワイン感を重視した結果少し弱めのテイストに落ち着いてしまったのかも知れません。

ポテンシャルを引き出したくなってオレンジを漬け込んでサングリア風にしてみたところ、甘さ控えめながらも厚みがでて、なかなか良い感じに仕上がりました。これは結構おすすめです。

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第3位 1688 グラン・ロゼ(メゾン・オノレ・デュ・フォーブール)

こちらはノンアル・スパークリング2本セットのうちの1本です。「最高級ノンアルコール・スパークリング」という謳い文句に惹かれてゲットしました。フランス・シャンパーニュ地方出身の司教が残した伝説のレシピを復元したすごいドリンク……なのだとか。「1688」はその司教が逝去した年です。

【評価ポイント】
オレンジがかったピンク色がとってもキュート! 鼻を近づけると杏のような甘酸っぱい香りが漂って、幸せな気持ちになります。口に含むと杏や桃のようなコクのある甘味が口いっぱいに広がって、純粋に美味しい。少しプルーンのような鉄っぽいニュアンスもあって、飲みごたえのある1本です。

【マイナスポイント】
原材料に香料やクエン酸が入っており、純粋なブドウの味わいではないのがすこ〜し残念。最高級というからには……と思わずにいられません。ジュース感が強く、食事とは合わせにくいかもしれません。

「最高級」という触れ込みがあったので若干厳しめの評価になりましたが、味わいはとっても美味しいスパークリング・ドリンクです。

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第2位 1688 グラン・ブラン(メゾン・オノレ・デュ・フォーブール)

ノンアル・スパークリング2本セットのうち、もう1本の白です。こちらも同じく「最高級ノンアルコール・スパークリング」の冠がついています。

【評価ポイント】
濃い黄金色のジュースの中でしゅわしゅわと炭酸が立ちのぼる様子は、見ていて飽きません。べっこう飴のような香ばしい香りとリンゴのようなフレッシュな酸味が良いバランスで、飲みごたえがあります。バターたっぷりのクロワッサンのようなニュアンスもあり、こってりした食事に合わせやすそうです。

【マイナスポイント】
同じく、原材料に香料やクエン酸が含まれています(く〜、残念)。また甘さの主張が強く「もう少し控えめなら良かったのに……!」と感じました。

キンキンに冷やして飲むのがおすすめですが、少し温度があがるとバター感が増してそれもまた美味です。

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第1位 フュージョン・フリー(ユルゲン・ライナー)

ドイツ・ファルツ地方の造り手によるノンアル・スパークリング。ビオディナミで栽培されたブドウを使い、酸化防止剤などは一切使用せず、完全無添加で仕上げています。インポーターのサイトでは「ジュース」と書かれていますが、ワイン用ブドウを4種類もブレンドするこだわりようです。 ノンアルコールという点を差し引いても、かなり美味しいです……!

【評価ポイント】
キリッと爽やかな酸味が素晴らしい! 甘味もあるのですが、酸味が甘味を押さえており食卓にも並べやすいテイストに仕上がっています。プラムや梅のような甘酸っぱい香りが食欲をそそります。温度があがるとハチミツのような香りとアップルティーのような香りが強まります。温度による変化を楽しめるなんて、ワインのようで楽しいですよね。完全無添加で素材で勝負している点も高評価です。

【マイナスポイント】
強いて言うなら、もう少しワイン感があれば言うことなしです。非発酵製法なので仕方ないのですけど……。

カルパッチョやお寿司などの、冷製料理に合わせやすそうです。

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最後に

調べるとオランダにはノンアルコール・ワイン専門のメーカーがあるそうです。「VINADA」というブランドなのですが、残念ながら日本未発売で入手できず……。ノンアル・ワイン専門店のノンアル・ワイン、飲んでみたいものです。

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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