2021年09月15日

ワイン銘醸地、モルドバ共和国の絶品 “冷凍食品” とワインに舌つづみ

少し前のこと、あるテレビ番組で「世界の冷凍食品」を特集していました。その中で特に気になったのがモルドバ共和国の冷凍食品です。モルドバ共和国はヨーロッパの東側、黒海の北西部に位置するワイン銘醸地。その郷土料理を冷凍食品で入手できると知ったら、モルドバワインに合わせて食べたくなるに決まっているではありませんか……! 

今回は、モルドバ共和国とモルドバワインについて少し知識を深めつつ、早速お取り寄せしたモルドバ冷凍食品ととっておきのモルドバワインのペアリングについてレポートします。

自然豊かなワイン銘醸地、モルドバ共和国

モルドバ共和国の国土は日本の約11分の1、人口は400万人に満たない東ヨーロッパの小国です。周囲をウクライナとルーマニアにぐるっと囲まれています。芸術活動が盛んで、モルドバ出身の歌手による歌が日本でブームを巻き起こしたこともあります。邦題「恋のマイアヒ」という歌ですが、ご存知でしょうか。

フランスのボルドーやブルゴーニュと同じ緯度に位置しており、ワイン用ブドウ栽培に適した気候と肥沃な土壌にめぐまれた、世界屈指のワイン銘醸地のひとつ。その規模は「国民の四人に一人がワイン生産に携わっている」といわれるほどです。日本同様四季があり、ワインと自然の調和が、訪れる旅人の心を癒してくれるのだとか。

それほどの銘醸地でありながら、わたしたちにとってモルドバワインはあまりメジャーではありません。最近まで日本にはほとんど輸出されていなかったからです。

外交に振り回されたモルドバワイン産業

モルドバはもともとソビエト連邦の一部でした。昔からソ連に流通するワインの半分近くがモルドバ産……といわれるほど、モルドバワイン産業はソ連国内での消費に依存してきました。1991年のソ連崩壊に伴い独立した後も、モルドバワインはそのほとんどがロシアに輸出されていたといいます。自国内とロシアでしかほぼお目にかかれない、レアワインだったのです。

ところが2006年、ロシアは突然モルドバワインの禁輸(輸入禁止)令を出したのです。表向きは「基準値を超える化学成分が検出されたから」とされていますが、モルドバがEU(欧州連合)と距離を縮めた時期とちょうど重なっており、実際は政治的な思惑が絡んでいるのではないかと憶測が飛び交っています。いずれにしろこれにより、ロシア市場に依存していたモルドバワイン産業は大打撃を受けてしまいました。

この出来事がきっかけとなり、特に若手ワインメーカーが中心となり、ロシア以外の市場開拓へ乗り出しました。多くは東西ヨーロッパに輸出されていますが、最近になってようやく日本でも手に入れられるようになってきました。モルドバワインを口にすることができるわたしたちは、とてもラッキーなのです。

ギネス認定された世界一のワインセラー

モルドバには、世界の要人の注目を集める興味深いワイン関連施設があります。ギネス記録に認定されるほどの、超巨大ワインセラーです。「CRICOVA(クリコヴァ)」というワイナリーが所有する地下トンネル型のワインセラーなのですが、なんと全長120km……! ちょうど東京から千葉の西端、銚子までいける距離です。「地球は青かった」の名言で有名な宇宙飛行士、ガガーリンがセラー内で迷子になり、2日間さまよったという逸話も残されています。

その巨大セラーには常時120万本以上のワインが貯蔵されているといいます。全てがCRICOVAワイナリーで造られるワインというわけではなく、世界各国の高級ワインやレアワインが保管されているのだとか。最も古いものは100年以上前の、1902年ヴィンテージのものだそうです。ドイツのメルケル首相やロシアのプーチン大統領のお気に入りのワインも、何本か貯蔵されているのだとか。このことからも、モルドバがワインと深い関わりのある国だということがわかりますよね。

モルドバ冷凍食品とモルドバワイン

さて、本日の主役、モルドバ冷凍食品とモルドバワインのお話です。

「日本唯一のモルドバ料理専門店」の絶品冷凍食品

今回用意したモルドバ冷凍食品は3種類!

写真(1):「サルマーレ」
野菜、肉、米を葡萄の葉っぱでつつみ、トマトスープに浸してオーブンで焼いたモルドバ郷土料理。ブドウの葉っぱはモルドバから輸入した本場のカベルネ・ソーヴィニヨンの葉なのだそうです。桜の葉の塩漬け……みたいな感じでしょうか。

写真(2):「ブリヌィ」
“モルドバ版クレープ” といわれるモルドバの家庭料理です。中には鶏ひき肉を主体とした具が入っています。

写真(3):「ペレメニ」
“ロシア風水餃子” ともいわれる小ぶりのラビオリみたいな料理です。具がお肉のものとサーモンのものの二種類を用意しました。

「サルマーレ」は電子レンジで解凍するだけの簡単調理。「ブリヌィ」は解凍後にフライパンでカリッと焼き上げると、歯応えも良くなります。「ペレメニ」は塩を入れたお湯で茹で上げると、皮がもちもちになります。どれも本場の流儀にしたがって、サワークリームをつけていただきます。

冷凍食品の販売元は、東京亀有にあるモルドバ料理専門店、NOROCさん。日本唯一のモルドバ家庭料理が味わえるお店……というふれこみです。オンライン販売も行っていますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

NOROC 公式サイト

モルドバ土着品種を使った珍しいモルドバワイン

ワイン調達のためにうかがったのは東京自由が丘にあるモルドバワイン専門店「MOLDOVA MARKET」さん。モルドバ人の店員さんが丁寧に接客してくれるので、モルドバワイン初心者も安心して買い物ができます。オンライン販売も行っていますよ。

MOLDOVA MARKET 公式サイト

今回は白と赤一本ずつ、計二本のモルドバワインを用意しました。

白ワイン:Minis Terrios Harap Alb (ミニス・テリオス ハラプ アルブ ) 2018

少しオレンジ色がかったこちらの白ワイン、使われているブドウはカベルネ・ソーヴィニヨンとフェテアスカ・ニャグラです。……「え!?」と感じたあなた、そうなんです、カベルネ・ソーヴィニヨンもフェテアスカ・ニャグラも黒ブドウ(赤ワイン用のブドウ)なんです……! 黒ブドウから白ワインを造っているなんて、お洒落すぎませんか。

フェテアスカ・ニャグラはモルドヴァの土着品種。現地の言葉で「黒い乙女」という意味です。ブレンド比率はカベルネ・ソーヴィニヨン85%、フェテアスカ・ニャグラ15%。黒ブドウならではの強い骨格とフレッシュな酸味が共存する、ハイブリッドは味わいです。

赤ワイン:KVINT Vinvoyage Feteasca Neagra (クヴィント ヴィンヴォヤージュ フェテャスカ・ニャグラ) 2016

赤はフェテアスカ・ニャグラ100%のものをチョイス。メルローのような華やかさとサンジョヴェーゼのような親しみやすさが感じられる、存在感抜群な一本です。タンニンがしっかりあり、「赤ワイン飲んでる〜!」と感じさせてくれます。高得点にもかかわらずお値段税込1,680円! かなりお得です。

一般的なものよりコルクが短かめなのがわかりますでしょうか。モルドバワインは長らくソ連(ロシア)以外のマーケットと交流がなかったので、独自の進化をたどりました。そんな歴史の片鱗がコルクにもあらわれています。

モルドバ冷凍食品とモルドバワインのペアリング

結論をいうと、「サルマーレ」は白ワイン(ハラプ アルブ)にベストマッチ! カベルネ・ソーヴィニヨンの葉っぱで包まれているからか、カベルネ・ソーヴィニヨンがブレンドされているワインと風味がよく似ている気がしました。ペレメニもまた、お肉もサーモンもかすかにハーブのニュアンスが漂っており、白ワイン(ハラプ アルブ)にベストマッチ! ブリヌィは甘く優しいクレープ生地に鶏肉と玉ねぎの旨味がぎゅっと閉じ込められていて、甘さと酸味のバランスがいい赤ワイン(クヴィント ヴィンヴォヤージュ)にベストマッチでした。冷凍食品がとにかく美味しくて「毎日これでいい……」と思うほど。モルドバ料理、あなどれません。

最後に

モルドバワインには特徴的なマークがついていることがあります。それはこちら……

「コウノトリ」です。「中世の戦争中、とある戦いで疲労困憊した兵士たちの元に一羽のコウノトリがブドウの房をくわえて飛来。そのブドウが助けとなって士気を取り戻した兵士たちは見事戦いに勝利した。」……そんな伝説が語り継がれ、コウノトリとブドウはモルドバを象徴するシンボルになったのだそうです。最近のスタイリッシュなワインにはあまり見かけませんが、コウノトリがあしらわれているモルドバワインを探してみるのも楽しいかもしれません。

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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