2021年09月29日

ドライフルーツで “ワインファッションショー”! プチプラワインをグレードアップ

ワインにはいろいろな食材を合わせて楽しめますが、ドライフルーツもそのうちのひとつ。以前書いたコラム「干し柿と赤ワインのマリアージュ」の中では、「日本を代表するドライフルーツこと干し柿は二日酔い予防になる嬉しい栄養素をたくさん含んだ理想的なおつまみ」と紹介しました。今回は柿以外のドライフルーツにフォーカスして、ワインとのペアリングを考えてみます。

ワインとフルーツの相性

そもそもワインとフルーツの相性はどうなのでしょうか。ドライフルーツを合わせたりフルーツをワインに漬け込んで「サングリア」にしていただいたり、しばしばワインとフルーツは一緒に楽しまれます。ワインの原料のブドウだってフルーツなわけだし、実はワインとフルーツって合わせやすそう……! という気がしますよね。

ワインにフルーツを合わせる場合はお互いの共通点を意識するのが鉄則です。最もわかりやすいのは香り。ワインの香りは様々なものに例えられますが、その中には数十種類ものフルーツがラインナップされています。「ワインの香りと食材の香りを合わせるとペアリングに成功しやすい」という原則にのっとって考えることが大切です。

香りに共通要素のあるフルーツとワインを、代表的なワインの品種ごとに並べるとこんな感じ。

メルローやシラー、シラーズなどの濃いイメージのある赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンと特徴が似ているので割愛しました。また、実際にはワインの産地や醸造方法によっても香りの特徴が変化するので、あくまで参考としてとらえてみてください。ここには出ていない「干し柿」や「柑橘類」なんかも、ワインによっては香りの中に感じられる要素です。

生のフルーツとは少し違うドライフルーツの魅力

共通点を意識して組み合わせればいいおつまみになりそうなフルーツですが、ワインを飲むときに生のフルーツを用意することは、実際にはあまりありません。「生ハムメロン」のようなおつまみはあっても、メロン単体でワインを飲む人は多くはない……という具合に。なぜなのでしょう。

新鮮なフルーツの甘味や酸味、噛むほどに溢れるジューシーな果汁はとても力強く、私はそれが魅力でもあり難しさでもあると思います。合わせ方にもよりますが、ワインの個性を打ちまかしてしまう気がするのです。劣化したワインを最後まで楽しむためにフレッシュなフルーツを合わせたりサングリア風に仕立てたりするのはとてもいいアイディアですが、状態のいいワインの場合はできればもう少しワインの味わいを引き立てるようなペアリングが望ましいと感じます。

その観点で考えると、ドライフルーツはまさにぴったりのおつまみだといえます。フレッシュなフルーツを乾燥させてドライフルーツにすることでフルーツ本来の力強さを緩和しつつ、ワインに合わせる上で必要な要素がぎゅっと凝縮されるからです。

ドライフルーツの “熟した” 香り

生のフルーツの個性はそのままに、ドライフルーツにすると「青臭さ」がとれて熟成感が増します。枯葉感というか、土っぽさというか。乾燥させたからこそ、発酵・熟成を経たワインに合わせやすく変身するのです。

ドライフルーツの “柔らかい” 味わい

ドライフルーツを造る過程ではビタミンCが大きく減少するといわれており、その影響で酸味が柔らかくなります。ワインとのペアリングを考えるうえで適度な酸味は必要ですが、キツすぎるとワインの良さを殺してしまう……ドライフルーツの柔らかい酸味はワインと合わせるのにちょうどいい塩梅です。ビタミンCは惜しいですが、代わりにギュッとつまった食物繊維が腸内環境を改善してくれるなどの嬉しい効果も期待できます。

ドライフルーツの食感

生のフルーツの水分量は、総重量の80~90%程度。ほぼ水分といっても過言ではありません。ドライフルーツにすると、タンパク質などと結合している一部の水分を残して大部分が抜けるため、ポクポク歯応えのある食感になります。フリーズドライ製法や減圧フライ製法(バナナチップスなど)の場合はサクサク・パリパリした食感になりますが、いずれにせよ水分量は限りなく減るため、ワインなどの飲み物と合わせたときに本領を発揮する状態になります。

ドライフルーツとはすなわち「生のフルーツをワインに合わせやすい状態に変身させたもの」……なのですね。

ドライフルーツでワインを着飾る

ドライフルーツはまるで「ワインを着飾るファッションアイテム」のようだなと思うんです。ワインそのものの個性は殺さず、ワインの様々な表情を引き出すようデザインされた服やアクセサリーのような存在です。シンプルな味わいのワインに華やかなをプラスするものあれば、ワインの香りに寄り添ってより魅力を引き立てるものもある。ペアリングの原則は大事にしつつも、組み合わせで遊ぶことで新たな発見がある。それはまるでワインのファッションショーのようです。

特に、単一品種のプチプラワインにドライフルーツを合わせると、ペアリングの効果がわかりやすくて面白い! シンプルでわかりやすい味わいのワインにドライフルーツがどう華を添えてくれるのか……プチプラゆえ気軽に楽しめるので、いろいろ冒険もしやすいです。

プチプラワイン・ファッションショー

というわけで、近所のスーパーで1,000円以下の単一品種ワインを赤白一本ずつ調達してきました。赤はシラー、白はシャルドネ、いずれもチリ産です。チリは安ウマワインの宝庫ですからね! ワイナリーは「ヴィニェードス・エミリアーナ」。

用意したドライフルーツは全部で6種類。左上から時計周りに、「干しブドウ(シャルドネ&メルロー)」「あんず」「いちじく」「ピーチ(白桃)」「イチゴ」「パイナップル」です。「ピーチ(白桃)」のみ製造過程で砂糖が使われているタイプ(食感はサクサク系)。あとは全て無添加のポクポク柔らか系食感です。

これらを「ワインの品種とフルーツの共通点」の表を参考にしながらファッションショー(ペアリング)を行います。それではイッツ・ショー・タイム!

白ワイン編

白ワイン(シャルドネ)に合わせたのはパイナップル、干しブドウ(シャルドネ)、あんず、白桃の4種類。それぞれ異なるワインの表情を引き出してくれました。

パイナップルを合わせるとトロピカルな印象が強化され、もともと濃いめのチリ産ワインの味わいがよりグレードアップ、飲みごたえが増しました。シャルドネの干しブドウはワインとの共通点が多く、最も寄り添う感じ。むしろ、ワインの風味に隠れているハーブ感が引き出され、複雑味がアップしました。不思議なことにどことなくソーヴィニヨン・ブランを飲んでいるような気分に……。あんずと白桃はどちらもフルーツ自体の存在感が強く、若干ワイン自体の個性が弱まった印象。ただ、元のワインにはない華やかさ・果実味がプラスされ、全く異なる表情をみせてくれました。

赤ワイン編

赤ワイン(シラー)に合わせたのはイチゴ、干しブドウ(メルロー)、イチジクの3種類。イチゴに合わせると「このワイン、ピノ・ノワールだったかしら」と感じ、メルローの干しブドウに合わせると「このワイン、メルローだったかしら」と感じ、イチジクに合わせると「あ〜そうだった、このワインはシラーだった!」と思い出す……まさにファッションショー状態です。それぞれのドライフルーツがワインの別の側面を引き出したことで引き起こされた、とっても不思議で楽しい現象でした。

最後に

プチプラワインを何度も別の角度から楽しめる……ドライフルーツとの組み合わせはとびっきり高コスパなペアリングです。ぜひいろいろなドライフルーツを揃えて、ご自宅でプチプラワイン・ファッションショーを実践してみてください。

今回用意したドライフルーツの中でも特におすすめなのは、干しブドウのシャルドネ&メルローです。特にシャルドネはキュッと甘酢っぱい酸味が癖になります。中に入っているブドウの種もプチプチした食感で楽しいですよ。

信州星ノ実 シャルドネ&メルロー(果実企画)

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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