2021年10月27日

【インタビュー】ワイン好きも注目する“クラフトビール”!神戸元町の酒屋「頃末商店」

皆様、こんにちは。ワインインポーターの大野みさきです。

緊急事態宣言が明け、関西も夜の繁華街に光が灯され、以前とは見違えるほど活気づいてきました。

今回のトピックは、ワインとウイスキーの狭間にある 『クラフトビール』。
なぜこの2つの間なのか、お話を伺ったのは神戸元町にある「頃末商店」、4代目店主の頃末さんとワイン担当の石原さんです。

神戸元町のおしゃれな酒屋「頃末商店」

お店にはウイスキー1000種、および自然派ワイン600種が所狭し並びます。その一角の大型冷蔵庫2台にびっしり詰まっているのが、「クラフトビール」です。話題沸騰中の下町の酒屋でクラフトビールが大盛況!その人気の秘密を探ります。

頃末商店は元々ハードリカーの酒屋でした。

ウイスキー人口を増やしたいと活動する石原さんは、ウイスキーBARでバーテンダーをされていた経歴もあるので、ウイスキーは得意中の得意。ところが2000年代に入るとウイスキーブームの到来で、大量生産の時代となります。

自然派ワインを取り扱う酒屋

他に何か代わりとなるものはないかと、ジャック・セロスを筆頭にRM、小規模生産者のシャンパーニュをはじめます。その後、彼らが手掛けるスティルワインにも手が伸びるのは、ごく自然な流れです。今でこそ造り手、インポーター、種類と溢れていますが、大都会の東京ならまだしも、20年前の神戸では自然派ワインはごく限られた存在でした。その上、還元していたかと思えば、5秒後に味変するような不安定なものが多く、入荷してもとてもじゃないけれど、普通には出せない代物も散見されました。

自然派ワインの取り扱いは一筋縄ではいきません。石原さん曰く、「そんなワインも、造り手を信じて美味しくなる!」と寝かせたら、激変をみせたことも多々あったそうです。今では時代が変わり、個人のインポーターも増え、種類も豊富、業界の意識や飲み手の理解も培われてきました。

若い世代に人気のワインは?

「最近は20代の若い子が自然派ワインを飲むようになりました」と若人と同世代の頃末さん。「昔ながらの重たいオーセンティックなワインを若者は知らんのじゃないかな。軽やかで(シャバイとも言う)ピュア、身体に染みこむ飲み口がよいみたい」と石原さん。

特に泡・白・ロゼが人気で、仏ビオディナミの造り手であるピットナウアーなどが、絶大な若者ウケをするようです。

今年3月末に店内の改装工事を終え、今まで店奥に隠れていたワインが店頭に並ぶことで、客足が一気に増えました。入荷した商品は速やかに店頭に並びます。テンポよくライナップが動くので、お客様を全く飽きさせません。

■石原さんイチオシ!ラングドックのクレマンドリムー


Gilles Azam&ZULUクレマン・ド・リムー・ブリュットナチュールNV 税込6,160
品種: シャルドネ、シュナンブラン、モーザック

綺麗な泡立ちとふんわりと広がるトースト香。下手なシャンパーニュより、よっぽど美味しい!仏ジュラ地方のゼロワンヌ(メイリス・ベルナール)の手掛ける3本もピュアでめちゃくちゃ美味しいのだとか。

幅広く受け入れられるのは「クラフトビール」

そして、ひときわエチケット(ラベル)が目を引くのが、クラフトビールです。頃末商店では昨年より販売がスタートしました。当初クラフトビールは、ショットバー向けに造られたものでしたが、近頃は日本酒やワインを扱う酒屋に、置いてあることも珍しくありません。「ハードリカーはハードリカー、自然派ワインは自然派ワインで、かつては別々のお客様が好んでいました。そのどちらにも当てはまる中間的な存在がクラフトビールです」と頃末さんは語ります。

「自宅に100本以上のウイスキーを並べるマニアックな方は、元からクラフトビールを飲まれていた方も多く、ウイスキー畑にもクラフトビールは受け入れられています。スタウトビールには樽を使ったものもあり、樽感はスコッチウイスキーと通じるところがあるようです。ナチュラルワイン通には、クラフトビールも酵母感が残っている、と説明すれば喜んで試してくれます。味わいがワインのようなクラフトビールも出てきていて、クラフトビールがワインに近づいている印象ですね」

クラフトビールの魅力

ビールの賞味期限は大体3ヶ月。クラフトビールだと、価格は600円ぐらいから2,000円、なかには5,000円越えをするワイン顔負けの熟成タイプもあります。両者には共通点が数多く存在するので、ワイン畑にクラフトビールが進出するのは、難しいことではありません。

また、ウイスキーは蒸留酒なので熟成に10年、20年と時間を要します。ワインはヴィンテージ毎に1年です。クラフトビールは同じブリュワリーでも23週間の生産ロット毎に味わいが変化するので、僅か1ヶ月で次の作品が楽しめるのです。

そのため、頃末商店でも常時100種類のクラフトビールがありますが、そのうち2030種類は週替わりです。替わり映えするショーケースは、眺めるだけでも面白そうです。定番ビールもありますが、大半が一期一会。次はどの子に出会えるかのワクワク感が満載です!

ここが面白い!クラフトビール

頃末さん
クラフトビールでは、ランビック(自然発酵のベルギービール)やサワービール(非発泡でスムージーのようにドロドロ)は底なしですが、原料はモルト、ホップ、酵母なので、ある程度、振れ幅は決まっています。一方で、ワインには枠がなく、終わりがありません。もはや底なしですよ

石原さん
なかでも東欧、北欧は熱い!旨いやつが多い。世の中には美味しいお酒が沢山ありますから、良質なものを選んで欲しいですね。アルコールを嗜む文化も築いていきたいです。食とお酒が美味しい、もうそれだけで幸せじゃないですか

マンパワー不足を補い、業務店向けの試飲会を開催、加工肉店の「ふじお商店」とお酒のアテを開発、音楽や大学を絡めてイベント、今後ますます勢いを見せてくれそうな酒屋です。

■頃末さんおすすめ!クラフトビール初心者にまずはコレ!


Y.MARKETルプリンネクター 税込660

苦みがあってシャープな口当たりのWest Coast IPA(クリアIPA)と比べて、New England IPAは、オーツ麦が入っているので、苦みがマイルドでまろやかな濁り系、非常に飲みやすいのだとか。レクチャーの通り、1杯目は上半分をそっとグラスに注ぎます。

とろみのあるテクスチャーにフルーティーな香りが広がり、飲む前から小躍りしてしまいそう。お味は、ザ・ピーチネクター。豊潤さと複雑さを兼ね備え、優しい酸味、その後に押し寄せる苦味が心地良い~2杯目は底に沈殿しているオロオロを軽く振って攪拌させてから注ぎます。ネクター感が強く、味わいもさらに豊かになりました。飽きの来ない変化が飲み手を魅了し続けるビールに、夢見心地にうっとりです。これぞクラフトビールの醍醐味!旨い!!

おいしく楽しくお酒が飲めるお店

また、頃末商店では600種のハードリカーの試飲ができ(100円~/10ml)、量り売りでの購入もできます。若者が試せるようにと価格にも配慮しています。ワインやクラフトビールも然り、購入前に少量が試せるので失敗もありません。ウイスキー好き、自然派ワイン好き、そしてクラフトビール好きも、週末の楽しみ選びに、足を運んでみてはいかがでしょうか。

それでは皆様、ごきげんよう!

頃末商店のサイトはこちら

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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