2021年11月24日

ホリデーシーズンに試したい! ワインとチョコレートのマリアージュ

すっかり冬の気配が近づいてきました。お店や観光地にクリスマスカラーが溢れる “ホリデーシーズン” の到来! 陽気な音楽にキラキラした飾りつけ、そして甘くとろけるスイーツたちが普段よりも一段と魅力的に感じられる季節です。

ワイン好きとしては、「赤ワインはお肉、白ワインは魚」という王道の組み合わせから一歩抜け出て、この時期ならではの美味しいスイーツとワインを組み合わせてマリアージュを堪能したいところです。しかし「甘いもの×ワイン」の組み合わせはなかなか難しく、雑にペアリングすると台無しになりかねません。でも、だからといってあきらめるのは早計! ペアリングの流儀を知れば幸せなマリアージュを体験できます。

今回は特に「ワインに合わせたいホリデー・スイーツ」としてチョコレートにフォーカス! 「甘いもの×ワイン」のペアリングで注意するべきポイントをおさえつつ、ワインとチョコレートのマリアージュについて考えてみます。クリスマスパーティや贈り物にぴったりな、ワインに合わせて欲しいおすすめチョコレートもご紹介します。

「甘いもの×ワイン」が難しいわけ

ワインには様々な “味わい” が含まれています。白ワインなら「酸味」、赤ワインなら「渋み」。「シュール・リー」という製法で造られる甲州種の日本ワインや瓶内二次発酵で造られるシャンパーニュにはたくさんの「旨み」、スイスの白ワインやシャブリには豊かな「ミネラル感」を感じます。そしてどのワインにも、程度の差はあれ「甘味」が含まれています。

ペアリングの鉄則は「同じ要素をあわせる」こと! それにのっとると、甘味を含むワインとスイーツは合わせやすそうに思えます。しかし、一般的に辛口ワインに含まれる甘味はとても繊細で、糖分の多いスイーツを食べた後にワインを口に含むと、ワインの甘味以外の要素(酸味や苦味)が必要以上に際立ってしまい、とげとげした味わいに感じられてしまうのです。ショートケーキの生クリームをなめた後にイチゴを口に入れると、とても酸っぱく感じることがありますよね、あれと同じです。「甘いもの×ワイン」を上手に楽しむには、お互いの糖度を意識して組み合わせる必要があります。

「チョコレート×ワイン」ペアリングの流儀

ここで今日の主役、チョコレートの登場です。チョコレートも甘くて美味しいスイーツなのでワインとのペアリングは難しそうですが、実際どうなのでしょうか。

香りで結ばれたワインとチョコレート

甘いチョコレートを雑にワインに合わせてしまうと、ワインの良さを打ち消してトゲトゲした印象を強調してしまいかねません。もうひとつ注目したいのは「ポリフェノール」です。ポリフェノールはチョコレートに含まれる成分で、渋みや苦味を感じさせます。ポリフェノールが豊富なチョコレートは渋みの少ないフレッシュな白ワインには合わせにくいといわれます。一方、渋みのある赤ワインに合わせやすいというのが通説です。ただ「ポリフェノールとタンニンの量のバランスが崩れると、渋みよりも苦味を強調してしまう」という説もあります。渋みのバランスもまた、チョコレートとワインのペアリングに重要なポイントなのです。

一方、ワインとチョコレートには大きな共通点があります。それは “香り” です。カカオマスやココアバター、ミルク、ナッツ、ベリーやオレンジ……チョコレートの材料に起因する香り成分は、ワインにも感じることができます。そのため、しばしば「ワインとチョコレートは相性がいい」と言われます。「香り」という共通点でかたく結ばれている両者。甘味と渋みのバランスをクリアすれば極上のマリアージュを感じられる可能性がぐんと高まります。

「チョコレート×ワイン」の基本流儀

テッパンと呼ばれる組み合わせは、「甘口ワイン×チョコレート」です。チョコに勝るとも劣らない糖度の甘口ワインであれば、チョコ側の甘味にまけることなくポテンシャルを発揮してくれます。貴腐ワインやアイスワインなどの「デザートワイン」や、糖度の高い “ドルチェ” スタイルのランブルスコなど、チョコレートに合わせやすい甘口ワインはたくさんあります。

難しいのは辛口ワイン。やはりどうしても糖度の面でチョコレートに負けがちです。解決策として提案するのは「香りの絆を強調して甘味の障害を乗り越えよう作戦」。ナッツやオレンジピールなど、ワインとの間をつなぐ橋渡し的食材が多めに含まれているタイプのチョコレートを選ぶのがよいでしょう。

ワインに合わせて楽しみたい、おすすめチョコレート

「マリアージュを楽しめるちょうどいいチョコレートはないだろうか」と探していたところ、まさにぴったりなワインのためのチョコレートを見つけました。その名もmariageさんの「ショコラグラス」。なんとチョコレートでできたカップにワインを入れて飲む……という、ワイン好きなら試さずにはいられない商品です。チョコレート好きな私もこのスタイルは初めて。早速お取り寄せして試してみることに。

パッケージを開けると、とってもキュートなチョコレートたちがお出迎え。ひとつひとつショコラティエールが手作りで作っているそうです。この模様、どうやって描いているのでしょう……高級感があって、クリスマスパーティの席にあったら場が華やぎそうです。今回はビターチョコホワイトチョコルビーチョコの三種類のテイストが入っているセットをチョイス。ひとつあたりのサイズはお猪口〜ショットグラスくらいです。

用意したお酒は写真左から……(1)スーパーマーケットで買えるドイツ産シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール種)のプチプラ赤ワイン「アルデ・ゴット」、(2)3,000円台で買えるプチプラシャンパーニュ「デクロ・フレール」、(3)ラム酒「キャプテン・モルガン」、(4)ポートワイン「サンデマン」、の4銘柄です。マリアージュの真価を感じるためにプチプララインを揃えてみました。

ショコラグラスを試してみて「良いな」と思ったのは、チョコレートが少しずつ溶けるので甘味がガツンと主張しすぎない点です。グラス状のチョコに直接お酒を注いで飲むスタイルなので、口をつけた部分のチョコが少しずつ溶けてほんのり味わいがプラスされていきます。また飲んでいる最中にお酒の香りとチョコの香りがちょうどよく混ざり合って、香りのマリアージュを楽しむことができます。普通にチョコを食べるのに比べて、お酒とのマリアージュを存分に楽しめるよう設計されているなと感じました。

マリアージュ1:ビターチョコ × ポートワイン or ラム酒

甘味を抑えたビターチョコには、デザートのように甘いポートワインがベストマッチ。レーズンとチョコを一緒に食べたような感覚で、とてもいいデザートになります。ラム酒を組み合わせるとウィスキーボンボンのような味わいに。個人的にはポートワインとの組み合わせの方が好きです(やっぱりワイン贔屓になってしまいがち)。

マリアージュ2:ルビーチョコ × シャンパーニュ

ほんのりベリーの風味がするルビーチョコには、骨格のしっかりしたシャンパーニュを! 用意したデクロ・フレールはピノ・ノワール種とシャルドネ種、ムニエ種をブランドしたバランスのいいタイプで、酸味と甘味のバランスがチョコから感じるベリーのニュアンスによく合うと感じました。チョコレートに合わせるなら、酸味の強いシャルドネ種100%のシャンパーニュよりブレンドされているタイプの方がおすすめです。

マリアージュ3:ホワイトチョコ × ピノ・ノワール

一番感動したのは、ホワイトチョコとドイツ産シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール種)の赤ワインとの組み合わせです。酸味が強めでベリー系の香りが印象的なワインなのに、ホワイトチョコと合わせることで、まるで豊かなヴァニラの樽香を放つカリフォルニアのピノ・ノワールのような味わいに大変身! ワインだけで楽しむ時と全然違う風味を感じることができ、まさに一石二鳥な体験でした。かなりおすすめです。

ショコラグラス 販売サイト

最後に

ワインとチョコレートのマリアージュ、いかがでしたでしょうか。ぜひこの機会に試してみてくださいね! また、「シャンパーニュ×マカロン」など、試してみるととても美味しくて楽しいスイーツとワインの組み合わせは他にもたくさんあります。ご家族やご友人といろいろな組み合わせにチャレンジして、新たなマリアージュの扉を開いてみるのも楽しいですよ。

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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