2021年11月24日

【インタビュー】“安いし旨い”も続々誕生!?日本ワイン事情

皆様、こんにちは。インポーターの大野みさきです。

最近の日本はワイナリーの建設ラッシュです。国税庁によると、ここ10年で国内の醸造所は1.5倍に増加しています。その数にして400軒をオーバー!!品質も軒並み上がり、かつての低迷はどこへ、その人気に拍車がかかります。

その中でも注目されているのが、安旨ワイン。「美味しい日本ワインは価格が高い!」 と言われていたのも、過去の話となりそうな予感。

今回お話を伺ったのは、岐阜県海津町にある「水谷酒店」の水谷昌貴さんです。

水谷さんによると、安旨ワインの先がけかもしれないと漠然と感じるのは、「ヒトミワイナリー」の存在です。滋賀で30年も前から、安くて美味しいワインを造り続けています。

自社農園もあるのですが、ぶどう栽培から手掛けると、どうしてもコスト高になってしまうので、買いぶどうも取り入れてワインを造ります。量を仕入れて1本当たりのコストを下げる工夫をしています。(1,870円~)

小売価格を抑えたワイン造りにチャレンジするワイナリー

サラリーマンから醸造家に転身を遂げた、北海道のドメーヌ・ユイ登醸造の当主も、当時は34,000円の価格帯に、手を出し辛かった経験がありました。もっとお値打ちで、かつ美味しいワインが造れるのではないかという感覚があり、ワイン造りの道に足を踏み入れます。彼らのように、価格を抑えた安旨ワイン造りにチャレンジする者も出てきました。

例えば北海道では、他の地域よりも安価で、上物と土地(畑を含む場合もあり)がセットで手に入るので、スタート時のランニングコストが抑えられます。初期費用が少なくて済むのは、ワイナリーをはじめやすい条件のひとつでもあります。

熱狂的なファンを持つドメーヌ・タカヒコ(北海道)は、2020年にコペンハーゲンのレストラン 「noma」 のワインリストにオンリストされ、日本ワインが世界から注目されます。そんな彼も、同様の条件ではじめました。このように、古い倉庫を改装して醸造所にしたり、施設は必要最小限に止めたりして、畑やぶどうに投資する造り手も増えてきました。

断熱効果のある軟石を用いて醸造所を建てた某ワイナリー(北海道)は、建設費に1億円かけました。発売当初はワインに5,000円越えの値付けをしていましたが、ローン返済後は3,000円台に価格が下がったと言います。設備投資分が上代価格に乗るため、ワインに若干の割高感があります。

ワイン造りは儲かりそう&お洒落なイメージで、建物や設備にお金をかける生産者もいます。また、スタートアップ時は、酒造免許を取得しているワイナリーに委託醸造するケースも多く、その場合は委託製造費の1,500円/本 がワイン代に上乗せされます。

ブドウ品種は日本の土地に適したものを

「サントリー山崎が海外マーケットで大成功した事例もあるので、高品質な日本ワインが世界に認められ、脚光を浴びる可能性も十分にあります」と水谷さん。日本に多いヴィティス・ラブルスカ系の品種(北アメリカ原産の食用のぶどう品種。例えばキャンベルアリー、ナイアガラ、マスカットベーリーAなど)は、かつてはフォクシーフレーバー(ぶどうジュースやキャンディのような香り)が強いので、ヨーロッパでは長らく下火でした。

しかし、最近ではラブルスカも見直されており、輸出に力を入れているワイナリー(三重)も出てきています。海外でブレイクし、逆輸入で日本においても人気に拍車がかかることも考えられます。これから少子化が加速する日本では、どうしても市場の縮小は余儀なくされるので、マーケットを海外に向けるのは得策だと私も思います。

また、ラブルスカは日本の土地に適したぶどう品種なので、日本人とも相性が良く、ボルドー産のカベルネソーヴィニヨンを和食と合わせるより、食中の油の量を抑えたあっさりした食事には、マスカットベーリーAの軽さの方が、馴染みが良いそうです。日本男児にやまとなでしこ、日本人には日本のものがフィーリングもしっくり来るイメージですね!

ポイントはやっぱり「コストパーフォーマンス」

「単純に価格が安いワインは数多くありますが、味(品質)に対して価格が安いのは魅力です」

コスパが良いのは嬉しいことですね。その上、造り手たちのナチュラルワインへのアプローチも盛んです。日本ワインの品質がアップした理由のひとつとして、大手ワイナリーが手掛ける、いわゆるお土産物のワインは、昔はワイナリーのオーナーと醸造者が違いました。

ところが時代は変わり、ワイン経験の多いオーナーたちは、海外のグランヴァンもナチュラルワインも好んで飲んできましたし、好きで飲む人なので、ワイン愛好家が造り手に回った時、自分の理想に近い、本当に美味しいワインが出来上がります。

これからは大手ワイナリーと小規模ワイナリーの二極化が進むのではないかと予想します。ワイン造りに携わる人員も少なく、職人気質なひとりワイナリーが増え、そんな個人生産者の台頭により、今よりも予約販売&受注製造が多くなりそうです。

アズッカ エ アズッコ(愛知)は、リリースと同時に数万本のワインが予約で完売する人気ぶりです。販売に注力しなくてよいので、本来生産者が力を入れるべき畑やワイン造りに集中できます。そうすると、さらに品質がアップし、もっともっと売れるという良いループが生まれます。畑も自分たちが面倒みきれる範囲を担い、製造量を決めることによって単価アップも期待できます。

人気の生産者の安旨ワインは、転売されることも多々ありますが、定価以上の評価をされているという点では、それぐらい価値のあるもので、魅力的なのでないかと水谷さんは語ります。

最後に

今日は安旨ワインについてお送りしました。安くて美味しいワインが日本でも続々と誕生する時代となりました。世界に誇れるメイドインジャパン、日本ワインがパリスの審判のように、世界にデビューする日もそう遠くはないのではないでしょうか。それでは皆様、ごきげんよう!

■おすすめのワイナリー

ベルウッドヴィンヤード(山形)はじめて5年ぐらいの若いワイナリーで、2,000円台のワインが勢ぞろい。

ナゴミヴィンヤーズ(長野) 広告が控えめなので目立ってこそいないが、変なことにお金をかけないのが◎

ラヴェルヴィーニュ(山梨) 銀座のソムリエが仏ボルドー大学で醸造学を勉強。働きながらワイナリーをする。

ドメーヌ長谷(長野)小規模ワイナリー。ランニングコストを抑えて、安くて良いものを生み出す。

山田堂(北海道)ドメーヌ・タカヒコで修業。世界のトップワインに引けを取らない、とても素晴らしいロゼワインを造る。

■水谷酒店


「お酒を楽しむ専門店」をモットーに、 お客さまの楽しいを一番に!

水谷酒店 HP

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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