2021年12月15日

【インタビュー】SDGsとワイン造り。スロバキアのワイナリー「エレスコ(ELESKO)」

皆様、こんにちは。インポーターの大野みさきです。

人口比あたりEUワーストのコロナ感染者数を記録し、再びロックダウンとなったスロバキア。クリスマスマーケットの中止も余儀なくされ、ワインの消費にも影響が出るのではないか…と小耳にはさんだことは置いといて、今日は明るい話題で参りましょう。

最近の世界トピックである「SDGs(Sustainable Development Goalsの略)」。ワイン業界でも盛んで、SDGsに前向きな企業や団体、地域が増えています。

SDGsとは、直訳すると持続可能な開発目標です。

地球上の「誰一人も取り残さない(leave no one behind)」ことを誓い、2030年までに17個のゴール(目標)、および169個のターゲットを明確にしています。地球規模で物事を考え、各国と手を取り合って、人類の目標を達成していこうではありませんか。もはや国益が云々ではない、世界が一丸となって取り組むべき、最重要課題です!!

エシカルなワイン造りを営むスロバキアのワイナリー

さて、今日は自然保護や芸術振興に注力して、ワインツーリズムを提供する、エシカルなワイナリーをご紹介したいと思います。

舞台は東欧のスロバキア共和国

オーストリア、ハンガリー、チェコ、ポーランド、ウクライナの5ヶ国に囲まれた内陸国のスロバキア。ウイーンから45分ほど車を走らせると、さすが首都同士が世界一の近さであります!スロバキアの首都ブラチスラバに到着。その近郊、小カルパチア地方、モドラ地区でワイン造りを営むのが、エレスコ(ELESKO)ワイナリーです。

スロバキアワインインポーターをインタビュー

今回お話を伺ったのは、スロバキアワイン輸入元 plus wineの大野春美さんです。彼女はスロバキアワインに携わって丸10年、同国のワインや文化を広める活動が本国から認められ、日本人ではじめてスロバキアワインアンバサダーを授与されました。現在は前職での輸入経験を活かし独立。インポーターの最前線で、スロバキアの魅力を発信し続けています。

注目のワイナリー「エレスコ」

エレスコは設立2009年の新しいワイナリーですが、新旧の文化をとても大切にしています」と春美さん。ナチュラルワインの新しい波が来ようとも、品種やテロワールのキャラクターを守り、クラッシックなワインを手掛けます。自然の力、人間の直感を信じてビオディナミ農法も実践。

「エレスコのワインは、最初にスロバキアワインを知ってもらうのに最適です!スロバキアらしいワインを造ります


ぶどう畑の中心にある巨大な大理石は中世の城壁の一部。今やワイナリーのシンボルとなっています。

スロバキアのワイン造り

自然派ワインブームも後押しして、この45年でスロバキアワインを扱うインポーターが増えたと実感しているそう。彼らの大半が、亜硫酸が無添加(あるいは少量添加)のザ・ナチュラルワインを輸入しています。

そもそもスロバキアは、ドイツ~オーストリアに倣った、厳格なワイン法が制定されています。2009年からは原産地呼称保護ワイン(PDO)も設けられました。最高格付けであるDSCは、果汁の糖度により、さらに8等級に分類され、畑での栽培基準から、醸造における補糖と補酸も認められていません。冷涼地なのに補糖NGとは、何ともシビアな話!それこそ自然にも身体にもナチュラルでフレンドリーなワイン造りが、2500年の長きに渡って行われてきました。

また、かつては共産主義の国でした。ワイナリーとぶどう農園は国営で、質より量が重視されていた時代です。1993年にチェコスロバキアから分離して民主主義国家になっても、経済的には厳しい時期が続きます。ぶどう栽培とワイン造りが安定するのに15年の年月を要し、生産者の再興にかける熱意と努力で、今では品質も飛躍的に向上しました。

脱線してしまったので、ワイナリーに話を戻しましょう。エレスコがユニークだとされるのが、ワイナリーの敷地内に近代的な美術館(Zoya Museum)を持っているところです。美術館には世界の作品をはじめとし、米ポップアートの巨匠と称される、アンディ・ウォーホールの作品も展示されています。彼はスロバキアをルーツとしています。同国に関係するアーティストをリスペクトし、地方をアートや文化で盛り上げようと試みます。これもまた、持続可能な観光業のひとつです。

また、自然保護にも力を入れており、ワイナリーで広大な森林を所有し、森を管理し、そこに住む生き物を守る活動もしています。生物多様性の生態系を保ち、密猟や乱獲から野生動物を守り、繁殖と適切な狩猟を行います。森の恵みとなった鹿は、美術館に併設されたレストランで、同ワイナリーのワインと楽しむこともできます。未来に森林を残し、生物多様性を意識した畑作り、スロバキアの土着品種なども植える。これも持続可能な社会への取り組みに繋がります。

スロバキアワイン「エレスコ」の味わい

今回は3種類のスロバキアワインを試してみました。

エレスコのカジュアルライン、愛のMarinaマリーナワインです。
このシリーズは全12種類あります。スロバキアの詩人アンドレイ・スラドウコヴィッチが、1846年に発表した、愛する女性と祖国への愛を綴った詩集 “Marina”に敬意を表し作られています。マリーナは世界最長のポエムとして、ギネスに認定。エチケットには、詩の一節と、そこからインスパイアされたデザインがあしらわれています。


ELESKO マリーナパーラヴァ

参考小売価格 1,790円(1,969円)

彼らは1つのグラスで蜂蜜を分け合う

パーラヴァ(ゲヴュルツトラミネール×ミュラー・トゥルガウ)を使用。 男性客からは「ギャップ萌えした」との声も。ゲヴュルツ由来のアロマティックさ、洋梨、パイナップル、パッションフルーツの香り。芳香性があるのにドライな印象。残糖分のおかげで丸みを帯びた酸。スロバキアのワイン産地全体が、仏ロワールと同等の緯度だけあって、酸が豊かで繊細で控えめな感じ。シンプルな味わいなので飽きが来ない。デイリーでゴクゴク飲みたいワイン!


ELESKO マリーナフランコフカ・モドラ
参考小売価格 1,650円(税込1,815円)

愛はこの地球上に天国を創造した

フランコフカ・モドラ(=ブラウフレンキッシュ)は、スロバキアを代表する黒ぶどう。女帝マリア・テレジア(マリー・アントワネットの母君)がこよなく愛した品種としても有名。甘酸っぱい木苺の香りとオリエンタルスパイスのニュアンス。口当たりはライトで飲みやすい。酸は程よくあって、タンニンは軽やかで優しい。まるで上質なガメイを飲んでいるかのよう。


ELESKO マリーナデュナイ

1,790円(1,969円)

私たちの心は重なり共に鼓動している

デュナイ( (マスカット・ブシェ×オポルト) × スヴァトヴァヴリンツケ)は、1950年代に交配研究され、寒さに耐えられる黒ぶどうとして誕生。ドイツではザンクトローレンと呼ばれている品種。カシス、ブルーベリー、イチゴ、ドライイチジクなどの様々な黒系&赤系果実が入り混じる。酸が豊かで、ヤマ・ソーヴィニョンのような野性味も感じられる。アフターにしっかりとタンニンを残す、ボリューム感のある赤ワイン。

最後に

今日はスロバキアのエシカルなワイナリーをご紹介しました。かけがえのない地球で暮らし続けられる、ワインを造り/飲み続けられる。身近にできることから、ワイン文化を守っていこうじゃありませんか。それでは皆様、ごきげんよう!

plus wineのHPワインは全国の酒販店で発売中。

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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