2021年12月22日

【甲州、マスカット・ベーリーA、山幸】OIV(国際ブドウ・ワイン機構)登録の日本のブドウ品種を知ろう!

皆様こんにちは、インポーターの大野みさきです。

現在、我が国では、約400軒ものワイナリーが建立され、ジャパニーズワイン業界は、空前の盛り上がりを見せています。日本ワインにスポットが当たる兆しとなったのは、2010年甲州のOIV(国際ブドウ・ワイン機構)登録です。その後、2013年にはマスカット・ベーリーA、昨年の202012月には北海道の山幸(やまさち)がOIVの仲間入りを果たしました。

日本ワインにおける「OIV」

そのような経緯があり、山梨で「OIV登録品種サミット(第1回)」が開催されました。先ずは、OIVとは何か?について押さえておきましょう。

OIVってなに?

OIVとは国際ブドウ・ワイン機構のことで、Organisation Internationale de la Vigne et Vin(英:International Organisation of Vine and Wine)を略し、OIVと言います。

19世紀末のフィロキセラの被害とその後の世界恐慌から、ワイン業界を救うべく結成されたのがOIVです。1924年の設立当初(機構名は変更)は、EUの主要ワイン生産国の6ヶ国からスタートし、現在は48ヶ国が加盟しています。(日本は未加盟なので加盟に向けて動いている模様)

フランスのパリを拠点に、ぶどうやワインに関するデーターベースの収集とその統計情報の提供、ぶどう栽培と醸造において技術的、および科学的な側面からの研究と支援を行っています。近年では世界基準のワイン推進のためにマーケティングも担っています。法の強制力こそありませんが、規範の整備役としてワイン造りをバックアップしているので、ワイナリーにとっても必要不可欠な存在です。

OIVに登録されている日本のぶどう品種

驚くのは品種のリスト化を徹底しており、OIVに加盟、非加盟に関係なく、その数なんと5000種以上です。そこにオンリストされるということは、日本固有のぶどう品種、ひいては日本ワインが海外で評価を獲得したという証です。登録により日本ワインが世界へアピールされ、ブランディング価値の向上にも繋がります。

世界から注目されている日本の3つの品種についてご紹介しましょう。

1. 甲州(2010年登録)
2. マスカット・ベーリーA(2013年登録)
3. 山幸 (2020年12月登録)

甲州


iStock.com/Geobacillus

先ずは甲州です。
甲州は日本ワイン史そのものと言っても過言ではないほど付き合いも長い品種。特徴がないのが特徴と言われるように、スパークリングワイン、ライトな白、芳醇な白、オレンジワインとその多様性から、目指すスタイルによって栽培や醸造を自由にアレンジできる品種です。

「軟水で育った食材と、日本ワインの相性は良いと思います。和食に限らずフレンチやイタリアンでも基本的には日本の食材を使っているので、軟水同士で仕上がっています。日本ワインは、ウォータリーワインと揶揄されることもありますが、カルフォルニアにはまずないタイプで、日本に行ったら甲州を飲んでみよう。山梨の食と地ワインを試してみようと思ってくれたら嬉しいです」と農業のプロフェッショナルであるアイ・ヴェインズ(株)代表の池川仁さんは語ります。 

マスカット・ベーリーA


写真提供:domaine tetta / photo:Eiji Honda

続いてはマスカット・ベーリーAです。岩の原葡萄園で栽培技師長を務める、石崎泰裕さんの話では、「国税庁の2018年のデーターによると、マスカット・ベーリーA(略:MBA)は、日本で造られるワイン用の黒ぶどうとしては、栽培面積でナンバーワンを誇ります。白ぶどうでは甲州です。この2つはシェアもあり非常に重要な品種となります」

OIV登録は、マスカット・ベーリーA / Muscat Bailey Aでされており、日本語では若干の表記の違いがあるため、マスカット・ベーリA/マスカット・ベイリーA/マスカット・ベリーA でも申請中です。

「マスカット・ベーリーAは、味と香りの幅がありますので、好みの産地を探してみるのも面白いかもしれません。渋味が穏やかで香りも良いので、日本食の旨味や味噌や醤油などの発酵食品と合わせるのもおすすめ」

ワイン後進国の日本が認められたという誇らしい気持ちと、これからは世界基準を目指し、もっともっと日本ワインと日本食で盛り上がっていけたら素敵だと感じました。

山幸

最後は2020年にオンリストされた山幸。
聞きなれない品種ですよね。北海道池田町にある十勝ワイン(ぶどう・ぶどう酒研究所)で、長年に渡り研究開発に携わる東億さんは、山幸の魅力を解説します。

冷涼な北海道の気候の中でもとりわけ池田町は、ぶどう栽培の条件に置いて、大きなハンディキャップを背負っています。12月~3月は平均気温が氷点下となり、12月は最低気温がマイナス20度以下の極寒地です。その上、積雪量の少なさからぶどうは寒風に吹き付けられ、凍結と乾燥を繰り返し、挙句の果てには枯死します。仮に越冬できたとしても、春と秋のぶどう生育期の有効積算気温の低さから、栽培が非常に難しいエリアです。

そんな条件下でも研究を続け、幾度の凍害で生き残ったセイベル13053を清見と命名しました。清見は開花から90日で収穫が可能なので、生育期間の短い池田町に適した品種です。そして、その清見に寒さに強い山ぶどうを交配し、0.1%以下の確率で誕生したのが山幸です。

1978年に品種の開発をはじめ、198090年は生育調査、1995年に株を増やして醸造ワインへ、2006年には農水省に品種登録されました。耐凍性、耐寒性に優れマイナス31度でも冬期の枯死、凍害の心配はありません。気になる味わいは、野生味が豊かなのにエレガントな口当たりで、合わせるお料理はジビエなど、例えば鹿肉やジンギスカンがぴったりだそうな。

OIV登録品種サミットでのコメント(山幸について)

池川さん
「甲州やベーリーAの品質は安定し、クオリティを落とさず造ることができるようになりました。山幸のタフな特徴からして、もしかしたらラブルスカより優れているかもしれません。他の産地でも大いに可能性があるのではないかと思います」
池川 仁氏 ㈱アイ・ヴァインズ代表取締役

東さん
「耐凍性、耐寒性を求めて開発した品種ですが、日本全国で作ってほしいです。日本ワインの更なる発展になればと思います」と将来の展望を語りました。
東 億氏 池田町ブドウ・ブドウ(十勝ワイン) 酒研究所 研究開発係 係長

マスカット・ベーリーAをテイスティング


ベリーベリーベリー2020/福山わいん工房
200ml 6本セット 3,960(税込)

福山わいん工房 オンラインショップ

広島県福山市のワイナリー、福山わいん工房が手掛ける、微発泡のにごりワイン。同市でワイン用に栽培されたマスカット・ベーリーAを使用。この200mlのチビ瓶内で1ヶ月ほど二次発酵を施す。マキシロキャップを採用しているので、まるでオ○ナミンCを彷彿とさせる外観。「左手を腰に手を当て、瓶のままぐびっと飲んで下さい。軽く冷やしてシーフードや野菜、ライトな味付けのお肉がおすすめですよ」と当主の古川和秋さん。仄かにベリーのアロマが香り、軽くてジューシー、優しい口当たりのロゼ泡。アペリティフとして1杯頂くには丁度よいポーション。日本産の生ハムと合わせてみたい!

最後に

日本の固有品種が日本ワインの最大の魅力になり得ること。生産者や酒類総合研究所などの研究者のあくなきチャレンジによって、日本のぶどうが世界へ飛び立つ、ワイン最高峰の舞台に躍り出てくる日も、そう遠くはないのではないでしょうか。

それでは皆様、ごきげんよう!

OIV(国際ブドウ・ワイン機構) WEBサイト※英字表示のみ

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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