2022年01月05日

ワインと相性ばっちり! バルサミコ酢でイタリアンちらし寿司パーティ

新年あけましておめでとうございます。今年もめいっぱいワインを楽しむ年にしていきましょう! ワインをキッカケにして食を楽しみ尽くすこと……それがワイン好きな私たちのミッションです。

新しい年が始まったので、ご自宅で新年会を開く方も多いのではないでしょうか。そんなときに重宝するメニューといえば、ちらし寿司! 簡単に作れて見た目も華やか、色々な食材をバランスよく盛り付ければ味わいのバラエティも楽しめます。今回は「ワインをキッカケにして食を楽しみ尽くす」というミッションを遂行するため、ワインに寄り添うとっておきのちらし寿司を作ってみたいと思います。題して「イタリアンちらし寿司」。ワイン初心者でも失敗しにくい “ワイン界の陽キャ” ことイタリアワインにフォーカスし、ぜひとも試してほしいちらし寿司レシピをご紹介します。

用意するのは……(1)ワインに合う酢飯、(2)ワインに合う具材、(3)主役のイタリアワイン……の3点です。

ワインに合う酢飯といえば…バルサミコ酢!

イタリアワインに合わせるなら、バルサミコ酢を使って酢飯を作るべし。「どうしてバルサミコ酢? 黒いから酢飯には向かないんじゃ……価格も高いし、難しそう。」そう思う方もいらっしゃるかもしれません。実はバルサミコ酢にもワイン同様、黒いお酢と白いお酢があります。価格もリーズナブルなものから高級なものまで、さまざまです。なぜそのような違いが生まれるのかというと……。

黒いバルサミコと白いバルサミコの謎

バルサミコ酢とは、ブドウから造られるイタリアのお酢のこと。原産地は「ボロネーゼ」で有名なボローニャを有する、イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州です。原料が同じなので、ワインとの相性は抜群だと言われています。イタリア語の「バルサミコ」は「芳香性がある」という意味。一般的な穀物酢にくらべて、香り豊かで味わい深いのが特徴です。

原料にはさまざまな品種のブドウが使われます。メジャーなのは白ブドウのトレッビアーノ種と黒ブドウのランブルスコ種。これらの果汁を煮詰めて濃縮したあと、木樽に入れて長期間熟成させます。最初は大きな樽を使い、自然蒸発で量が減ったら小さな樽に移し替え……それを何度も繰り返すうちに徐々に香味豊かなバルサミコ酢へと変化していくのです。

おおざっぱにいうと、黒ブドウの濃縮果汁を使えば黒いバルサミコ酢になり、白ブドウの濃縮果汁だけを使えば白いバルサミコ酢になるというわけです。香りや色みが異なるので、料理にあわせてチョイスするのがおすすめです。

高級なバルサミコとカジュアルなバルサミコの謎

木樽での熟成期間に上限はなく、イタリアのD.O.P.制度(原産地呼称保護制度)に認定されるには最低12年の熟成を行わなければなりません。それより1ランク下のI.G.P制度(地理的表示保護制度)に認定されるには最低2〜6年の熟成が必要となります。この熟成期間の違い(認定制度の違い)が価格に影響してきます。D.O.P制度に認定されているバルサミコ酢は100mlで10,000円近くする超高級調味料です。

さらに、生粋のバルサミコ酢にワインビネガーをブレンドして造られるものもあります。どちらかというとこちらの方が、日本の一般家庭に馴染みのあるタイプでしょう。ワインビネガーもバルサミコ酢と同じく、ブドウを原料にして造られるお酢です。バルサミコ酢が加熱・濃縮したブドウ果汁を使うのに対し、ワインビネガーは一度発酵させてワインの状態にしてから酢酸菌を入れて造られます。製造の手間・コストを考えると、バルサミコ酢の方が高級です。

最終的にブレンドするワインビネガーの比率が価格に影響します。手間ひまかかったバルサミコ酢の純度が高いほど高級……というわけですね。普段の食事にカジュアルに取り入れるならば、比較的熟成期間が短く、ワインビネガーのブレンド比率が高めのものを選ぶのが良いでしょう。

イタリアンちらし寿司のメイン具材

酢飯の上にのせる具材に抜擢するのは、イタリアの “生ハム” こと「プロシュート」です。お寿司に生ハムは邪道……なんてことはありません! なんといっても今回は、ワインを楽しむイタリアンちらし寿司なのですから。

プロシュートは厳密にいうと生ハムではありません。生ハムとは低温燻製した豚肉を指す言葉。対するプロシュートは燻製さずに熟成・乾燥させたものです。燻製したものとは違いソフトな食感で、豚肉本来の旨味を味わうことができます。個人的には、燻製した生ハム(スペインのハモンセラーノなど)は赤ワインに、プロシュートは白ワインによく合うと感じます。そう、今回主役に選んだワインは白ワインなのです。

主役のワインはイタリアン “干潟” ワイン

チョイスしたのはこちらのワイン。

ボルトルッソ・ソーヴィニヨン

イタリア北東部のフリウリ・ヴェネチア・ジューリア州のワイナリー、ボルトルッソが手がける白ワインです。このワイン、ただ者ではありません。なんと原料ブドウの畑が「干潟(ひがた)」にあるというのです。干潟と聞くと、ヌメっとした泥の中をくねくね動くムツゴロウを連想する方も少なくないはず。干潮時に姿をあらわし満潮時には海に沈む砂地、そんな干潟にブドウ畑……想像しにくいですよね。

干潟といっても、ボルトルッソのブドウ畑は海に沈む土地ではありません。もともと海だった場所が堆積した砂などによって外海と分離され湖になり、湖面にできたいくつかの砂州の上にブドウ畑が設けられています。「な〜んだ」とがっかりされるかもしれませんが、あなどるなかれ。世界一海に近いブドウ畑といっても過言ではないほどの立地で、その光景を目にしたら「こんなところでブドウが育つとは!」と感心すること間違いなしです。百聞は一見にしかず、ぜひワイナリー公式サイトをのぞいてみてください。

Vini BOTTOLOSSO 

昔海だった土壌=干潟土壌で育ったブドウには、旨味成分やミネラルが豊富に含まれているといいます。ソーヴィニヨン・ブランらしいハーブのような青々とした香りとグレープフルーツのような爽やかさ、ほんのり甘味を感じるさらっとした口当たりが海辺の街を連想させます。バルサミコ酢を使った酢飯のちらし寿司にぴったりの白ワインです。

イタリアンちらし寿司レシピ

最後に、ワインを楽しむためのイタリアンちらし寿司レシピをご紹介します。ぜひワインをご用意のうえ、お試しください。

プロシュートちらし寿司

【1】炊いた白米3合に対してホワイト・バルサミコ酢100〜150ml、砂糖大さじ1、塩小さじ1、白胡麻適量をまぶしてよく混ぜる(白胡麻の代わりにチアシード・えごま・アマニなどのスーパーフードトッピングをかけるとより洋風になり、食感も楽しめます)
【2】粗熱をとった1を器に盛り付け、プロシュート、アボカド、ブロッコリースプラウト、とびっこを盛り付ける
【3】マヨネーズ、ブラックペッパー、粉チーズで味付けをして完成! お好みで少量のブラック・バルサミコ酢をかけても美味しいですよ。


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

この記事をSNSでシェアする