2022年01月19日

エレガント系赤ワイン好きは注目!東欧ワインのブドウ品種「ブラウフレンキッシュ」

皆様、こんにちは。インポーターの大野みさきです。

突然ですが、貴方の好きなぶどう品種は何ですか?

カベルネソーヴィニョンやシャルドネなどのメジャーな国際品種を挙げる方もいれば、グレーラ/Glera(かつては伊プロセッコのシノニムでしたが、プロセッコがワインの名称となったため、グレーラが品種名として定着)などの、マイナーな土着品種を挙げる方も、いるのではないでしょうか。

好きな品種がいくつかあるのは、産地や生産者で違いを試してみても面白いし、スマートなワイン選びにおいても、きっと役立つのではないかと思います。

さて、今日はクールクライメイト好きや、東欧ワイン好きには、是非とも押さえて頂きたい品種、「ブラウフレンキッシュ/Blaufränkisch」をご紹介しましょう。

ブラウフレンキッシュのプロフィール

個人的には第2のピノノワールと称し、凛とした真っすぐさと、時おり見せるチャーミングさには、もはやゾッコンです。

かつては白ワインが大半を占めた冷涼地でも、昨今は温暖化の影響を受けて、ブラウフレンキッシュもメキメキと、その頭角を現してきました。

原産地と現在の生産地

代表的な産地として、真っ先に上がるのがオーストリアスロヴェニア

原産国も今やスロヴェニアのシュタイエルスカ地方(オーストリアのシュタイアーマルクの南)ですが、1918年にオーストリア=ハンガリー帝国が崩壊するまでは、シュタイエルスカはシュタイアーマルクの一部でした。その後、旧ユーゴスラヴィア、スロヴェニアと国こそ変貌を遂げましたが、同エリアでは8世紀ごろから、ずっと伝承され続けてきた 『伝統品種』 です。

オーストリアでは別名フランコヴカ/Frankovka、とも言われ、全体では7%のシェアですが、黒ぶどうでは2番目に栽培面積を誇ります。スロヴェニアではモドラ フランキニャ/Modra Frankinja(モドラ=青い)と呼ばれ、全体では5%のシェアで、黒ぶどうでは4番目に広く栽培されています。

ブラウフレンキッシュを片親に持つ、ツヴァイゲルト、ブラウブウルガー、レースラー、ラタイなど、数多くの品種が存在することからも、同エリアには欠かせないぶどうであることが伺えます。

また、晩熟のぶどうなので十分な日照量が必要ですが、寒さに強く、酸性からアルカリ性まで幅広い土壌に対応します。

ドイツ(レンベルガー)、アメリカ(レンバーガー)、ハンガリー(ケークフランコッシュ)、イタリア(フランコニアネーラ)、クロアチア、セルビア、チェコ(フランコフカ)、スロバキア(フランコフカモドラ)、ルーマニア(ブルグンドマーレ)、ブルガリアなど中欧・東欧の各所で栽培されています。

その名の意味

ブラウ フレンキッシュ=青(紺) フランク王国の

フランク王国のシャルルマーニュ大帝(=カール大帝)は、クオリティの高いぶどうに、“フレンキッシュ(=フランク王国の)”の名を使用することを許可していました。

“ブラウ”はドイツ語で青(藍)の意味です。ワインの外観からも、タンニンが豊富であることが見て取れます。青みを帯びた黒い色調です。

ブラウフレンキッシュの味わいをレポート!

それでは、実際にテイスティングしてみましょう。


MAROF MACKOVCI ANNA 2016
※今春、365wineに入荷予定(価格未定)

オーストリアとハンガリーからほどない、スロヴェニアのゴリチコリージョン産のブラウフレンキッシュ

ブルーベリー、ブラックベリー、ブラックチェリー、カシスなどの熟した果実のアロマ。更にスワリングで香りが大きく広がります。

一口飲んでみると、まず酸が清々しくピュアな印象です。そしてタンニンもしっかりとあるので、酸とのバランスも上手に取れています。5年の熟成を経て現われた、ベルベットのような滑らかなテクスチャーには、もうウットリ!僅かなスパイシーさ、上品な樽感、余韻にはココアや旨味を感じます。

長期熟成に耐え得る、偉大なポテンシャルを秘めています。力強くも繊細、まるで凛としたピノノワールのような優雅なイメージに、大満足の1本です。

あなたもぜひ味わってみて

今日はブラウフレンキッシュの魅力をお伝えしました。

レストランのワインリストやワインショップで見つけたら、「ああ、フランク王国の青ね」 と呟き、注文、または手に取って下さったら嬉しいです。それをきっかけに、虜となるのも大歓迎です。

それでは皆様、ごきげんよう!

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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