2022年03月16日

【実験してみた】激安ワインが割り箸でグレードアップ!?

皆様こんにちは、インポーターの大野みさきです。

NHKの情報番組「あさイチ」の21日の放送では、【激安ワインが割り箸でグレードアップ】というタイトルでやっていました。赤ワインに割り箸を浸したら、コンビニの300円ワインが、なんと最高で2,500円ぐらいに昇格するという、実に興味深い内容でした。

■オークチップの代わりに割り箸を使用

番組についてもう少し詳しく説明すると、番組では竹、杉、檜、アスペンの4種類の割り箸を折って、VTRでは10分、スタジオでは予め2時間ほど赤ワインに漬け込んだものを用意。そのビフォーアフターで、香りと味わいにどのような変化がもたらされるのか比較という面白いことをやっていたのです。

それは新世界の安価なワインに用いられるオークチップ(木片がワインにフレーバーを与える)と同じ原理です。ちなみに2006年からEUでもオークチップの使用が認められています。

■木の種類で変化を比較

分析&検証好きが試さないわけにはいきません。

早速、竹、杉、檜、アスペンの割り箸に加えて、白樺(しらかば)と松を血眼で探しました。アスペンはどうも聞きなれない名前ですが、別名ホワイトポプラ(和名:白楊)と言い、割り箸の原料でよく使われています。原料名に記載がない割り箸のほとんどが、MO(エムオー)と呼ばれるベトナムの材木(メーカーに問い合わせました)。最近あちらこちらで見かけるMO省いた、計6種の木材をワインに浸し、比較テイスティングです。

■割り箸のエシカルな耳より情報

その前に、割り箸はエコか?と思われた方に、ちょっとエシカルな耳より情報を・・・・

日本は国土の2/3を森林が占める「緑の国」です。1966年から2017年までの半世紀は、森林面積が横ばいでしたが、近年は過去に植えた人工林が成長し、年間1億㎥ほど森が増え続けています。ところが、活用できる森林資源があるにも関わらず、その利用が進んでいません。実際、2020年の木材自給率は40%にとどまっています。海外産の安価な木材が輸入され、国内林業の停滞がその背景にあります。よって適度な間伐がなされず、日光が入らないことによって草木の成長が妨げられ、土砂崩れなどの災害を引き起こす原因ともなっています。

そのため国産の木製品を上手く使うことで、健全な森が保護され、ひいては木材の価値も高まります。割り箸も産業資材として利用されない小径木や、建築の製材時に出る端材(木の外皮に近い部分)などを有効活用しているので、森林破壊が深刻な東南アジアを除き、国産材を積極的に使うことは、逆に森を守ることに繋がるのです。

■割り箸の種類

それでは本題に戻りましょう。まずは、材木ごとの割り箸の香り、そしてワインの香りと味わいを確認しました。

【竹】
竹林のすがすがしい木の香り。

【アスペン】
主にカナダのブリティッシュコロンビア州の森林に自生する針葉樹。白色が特徴。紙パルプ用の木材として利用され、ティッシュペーパーなどに加工される。香りは控えめな木の香りで杉香に近い感覚。

【白樺】
かつては長野を南限とする北日本一帯に自生していましたが、開発によって減少。今や北海道の山間部や十勝のみに。上品で香り高く、杉香に似ている。

【檜】
檜の香り成分には、天然の殺虫、防カビ、抗菌効果の強い物質が多く含まれている。まさしく檜の香り。香りは良いが控えめ。

【松】
エゾ松。ログハウスのような良い香り。この中では最も強く香る。

【杉】
吉野杉。典型的な杉の芳香

■サンタヘレナアルパカ2021


参考小売価格 税込550

輸入スティルワイン市場、売上金額No1を誇る、アルパカの赤ワイン。チリ産のカベルネソーヴィニョンとメルローのブレンド。ミディアムボディ。ブルーベリーやカシスなどのアロマ。

輸入元のコメントによると「チェリーのような果実味と柔らかな味わいが心地よい赤ワイン」「合う料理:ステーキ、焼き肉」。樽香は感じず、シンプルな香りと味わいが他を邪魔しないので、ノーマルワイン代表として検証にはぴったり!

割り箸を浸したワインの検証結果

■検証方法

割り箸を2cm幅にカットし、約30時間ワインに浸漬しました。その後、ワインからは下記のように、6通りの木材の香りと味わいが感じられました。余韻の長さは3段階で、★★★長い、☆☆☆短いと表現しています。

■「竹」の結果
竹やぶにいるような、すがすがしい香りが果実の香りの合間に見え隠れする。味わいも清涼ですっきりとしていて背筋が伸びる。
番組ではアスペンに比べると変化は少なく、薄っすら竹林の香り。ワインライターの葉山考太郎さんも、「香りが弱めで高級感がある。1,800円ぐらいの味」とコメント。
余韻の長さ ★★☆

■「アスペン」の結果
木工所で加工中のような2番目に強い香り。安っぽい木材を感じる。味わいはワースト。工業的な繊維工場のよう。味わいは飲み易くなった気がするが、酸化的な感じがして余韻が下品。番組では若い木の香り、樽香が強い。
葉山さんは、「バニラと鉛筆のような複雑な香りが加味され、1,500円ぐらいにグレードアップ」と。
余韻の長さ ☆☆☆

■「白樺」の結果
今回、最も強い香りが残る。「木樽で熟成したよ」の主張が激しい。酸化の香りもある。香り通りの味わいで、酸化のニュアンスがある。のっぺりして立体感に欠ける、安物ワインの印象。余韻はさらに安さを感じる。
余韻の長さ ☆☆☆

■「檜」の結果
春菊、山菜、檜風呂、タンスなどの香り。割り箸の香りは強くなかったが、ワインに浸漬後は強く香る。味わいも檜の味で品がある。
番組では、凄く上品な香りで好き。葉山さんは「樽香に一番近い、よくできたワイン味で、2,500円ぐらいの味」と高評価。
余韻の長さ ★★☆

■「松」の結果
ふわり上質で深みのある木の香り。味わいがこちらも松。新築の家や家具のイメージ。「新樽使ったよ」感があるので、浸漬を短くしたら風味が程よくなって良さそう。再チャレンジ要。
余韻の長さ ★★☆

■「杉」の結果
生きた草木のグリーンさ、やや安っぽい香り。今まで経験したことのない人参や葉物などの様々な野菜や土の味。アフターが心地よいベジタブル香。ユニークだけどまとまりがあって◎。
番組ではスーッと爽やかな香りで高そうなワイン。「控えめだけど後味に木の雰囲気で2,000円ぐらいの味」と葉山さん。
余韻の長さ ★★★

番組ではゲスト、ワイン通の稲垣吾郎さんが、元のワイン対して、「高級感はありませんが、フルーティーで飲みやすそうですね」と。アスペンのワインを香って、「あーそうですね、香りは違いますね。木の香りがします」檜のワインは、「あー凄い!檜が香りだけでも一番わかりますね。高級ワインに近いです。300円が2,500円とは凄いですね!」とコメントされていました。

今回の検証でわかったことは、漬け込むワインには、樽を使っていないステンレスタンク仕様のものか、使っていてもほとんど樽を感じないものをチョイスすると良いでしょう。オリジナルのワインに樽香が付いていたら、後から加味されたものか識別できなくなるからです。また、30時間の浸漬だと相当量の成分が抽出されてしまうので、数時間も浸せば十分です。

500円のワインは、割り箸を浸したところで、所詮価格通りのクオリティであることも変わらないので、淡い期待は持たないで下さい。しかし、竹と杉など2種類以上の木材を組み合わせて、自分好みにアッサンブラージュ(ブレンド)するのは面白そうです。

■最後に

今回は割り箸を用いて、日本で一番売れているワインのアルパカを6変化させました。この検証で1つ難儀だった点を挙げると、竹とアスペン以外の割り箸は、どこにでもあるわけではないので、通販でポチってその数300本!マイボトル、マイグラス、マイ箸を貫いていますが、日本の林業の活性化を願い、せっせと消費する毎日です。(実験してみたい!とご入用の方は大野まで直接DM下さい)

それでは皆様、ごきげんよう!

※本来の割り箸の用途とはかけ離れるので、お試しになられる際は自己責任でお願いします。木くずなども発生するので軍手を着用して折る、飲用するので目の詰まったフィルターでしっかりと濾すなど。

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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