2022年05月02日

ソムリエが教える料理用ワインの選び方。飲むワインとはどう違う?

洋食のレシピを見ると、赤ワインや白ワインが材料に載っていることがあります。みなさんは、料理用に使うワインと通常の飲むワインは分けていますか?それとも同じものを使っていますか?この記事では、ワインのプロであるソムリエ目線で、料理用のワインの選び方や特徴をご紹介していきます。また、ワインと相性のいい料理もおすすめしているので、ぜひ作ってみてくださいね。

料理用のワインの選び方

白ワインを鍋に注ぐ人
iStock.com/LanaStock

洋食を作る際に登場する料理用のワイン。これはどんなものを選べばいいのでしょうか?じつはワインならなんでもいいんです。スーパーやコンビニで買える1,000円以下の安いワインでも大丈夫。

また料理に合わせようとして買っていたワインや、開封してから時間が経ってしまった飲みかけのワインなど、家にあるものでもじゅうぶん対応できます。家に使えるワインがあるなら、わざわざ料理用のワインを買う必要もありません。

料理用ワインを選ぶときの注意点

ワインは産地やブドウ品種で味わいが変わります。果実味やフルーティーさを料理に加えたくない場合は、チリやアメリカ、オーストラリアなどの「ニューワールド」と呼ばれる産地のワインを選ぶのはやめましょう。価格が安いニューワールドのワインは、果実味豊かでフルーティーな飲みやすいものが多くあります。料理に使用すると、ワインの風味が影響するのでやや甘味を強く感じることが。甘味を抑えたい場合は、気をつけて選びましょう。

そして、ワインは風味が命。量をあまり使わないなら、フルボトル(750ml通常の大きさ)のサイズではなく、小さいサイズを購入し使い切るのがおすすめです。残しておいても、1週間程度で風味が落ちてしまいます。あまりワインを料理に使わない方は、小さいサイズを選んでみましょう。洋食をよく作り、ワインも日常的に飲まれる方は、ボックスワインもおすすめですよ。

南仏料理を作る場合は南仏のワインを、イタリア北部の料理を作るならイタリア北部のワインを使うなど、料理用ワインを少しこだわるとプロの味に近づきます。ぜひ試してみてくださいね。

通常のワインとの違い

スーパーで見かける紙パックの「料理用ワイン」というものがあります。低価格で量が多いところが特徴と感じられますが、通常のワインと内容が少し違うんです。料理用ワインとして販売している商品は、お肉を柔らかくしたり、お魚の臭みを取ったりなど、料理を作りやすくしてくれる作用を持つ成分をワインに添加しています。通常のワインのようにブドウ品種やヴィンテージにこだわりなく作れるため、量が多く安いものができるのです。

通常のワインを料理用ワインとして選ぶのがむずかしい場合は、「料理用ワイン」を選んでみるのいいですよ。料理用として作られたワインなので、独特な風味や渋味などがおだやかで使いやすいワインが多いです。

料理用の赤ワインの特徴

鍋の赤ワインが注がれる
iStock.com/fermate

料理に赤ワインを使用すると、お肉を柔らかくしたり、臭みを取ったりすることができます。また赤ワインの果実味や渋味がコクや旨味になり、料理の味わいに奥行きをプラスさせてくれますよ。赤ワインの種類によっては渋味が強いもの、果実味が豊かなものなど味わいがそれぞれ違うので、料理によって合わせて使ってみましょう。大人っぽい深みのあるビーフシチューなら、果実味より渋味のある赤ワインを選ぶといいですよ。

相性のいい料理

料理用赤ワインを使用するとよりおいしくなる料理は、肉の煮込み料理(ミートソース、ビーフシチュー、トリッパなど)がおすすめです。ステーキのソースに使うと、赤ワインの作用でよりコクが出ておいしくなりますよ。お魚料理というよりは、しっかりした味わいのお肉料理に使用するほうが味わいが増します。

料理用の白ワインの特徴

ムール貝の白ワイン蒸しと白ワインポテトがテーブルに並ぶ
iStock.com/AnnaPustynnikova

料理に白ワインを使用すると、いやな臭みを取ったり、コクをプラスしてくれたりしてくれます。またさわやかな風味や酸味を料理に加えることもできますよ。白ワインにも味わいの特徴があります。さっぱりした料理なら酸味のキリッとした白ワインを合わせたり、バターを使った濃厚な料理なら樽の効いたどっしり系の白ワイン。作りたい料理の特性に合わせて選ぶと、グッと完成度が高まります。

相性のいい料理

料理用白ワインを使用するとよりおいしくなる料理は、魚介のパスタ、魚介の煮込み(アクアパッツァ、ブイヤベースなど)、ムール貝の白ワイン蒸し、あさりの酒蒸しなどがおすすめです。白ワインを使うことで、魚介の臭みを取り、さらに旨味やコクが増しますよ。

料理用ワインの保存方法

開いたワインボトルがワインクーラーに入る
iStock.com/BrasilNut1

ワインは常温で保存すると劣化するスピードが早くなります。コルクやスクリューキャップを締め、なるべくなら赤ワインも白ワインも冷蔵庫で保存しましょう。また紙パックの料理用ワインは常温保存も可能ですが、より風味を保ちたい場合は、冷蔵庫保存をおすすめします。開封後も保存が可能といっても、風味は徐々に落ちていきます。どちらのタイプの料理用ワインも、なるべく早く使い切りましょう。

赤ワインや白ワインが余っても、料理用ワインとして使おう!

レシピを見ていて、材料にワインと出てくると「買いに行かないと」と思われる方もいると思います。しかし料理用ワインをわざわざ買うのではなく、一緒に飲むときのワインを使ったり、余ってしまったワインを入れてみたり、料理にだけ使うワインを買うのではなく工夫してみましょう。通常のワインのほうがコクや風味が豊かな場合もあります。「料理に合った産地のワインを使ってみる」「ワインの味わいで料理の風味を決める」など料理用ワインにこだわることで、料理もより楽しくなります。ぜひいろいろなワインで料理を作ってみてくださいね。

私が執筆しました!

YURI
ソムリエ・チーズプロフェッショナル / YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
【ブログ】ソムリエールYURIのちょこっとMEMO
【twitter】https://twitter.com/YURI06927640
【instagram】https://www.instagram.com/yuri.winetocheese

この記事をSNSでシェアする