2022年06月03日

プロが教えるワインの注ぎ方。スマートに注げるコツと注がれる際のマナーとは?

ワインを注ぐとき、プロのようなワインの注ぎ方をしてみたいと思ったことはありませんか?こぼしてしまったり、注ぎすぎてしまったりなど、素敵にカッコよく注ぐのは意外とむずかしいですよね。この記事では、ワインの注ぎ方が上手になる方法やコツ、注ぐときのマナーなどソムリエが詳しくご紹介していきます。コツを掴めば、あなたもスマートにワインを注ぐことができますよ。

ワインの注ぎ方が上手になる方法は?

ソムリエがワインを注ぐ
iStock.com/IL21

ワインを注ぐとき、注ぎ方のマナーやコツを知っておくとプロのように注ぐことができます。注ぐ量、ボトルの持ち方など、それぞれポイントを押さえているとよりおいしくワインを飲むことができるのです。また、ワインもスティルワイン(泡の入っていないタイプ)とスパークリングワインでは注ぎ方も変わってきます。以下では、注ぎ方や注がれているときのマナーまで、詳しくご紹介していきますね。

注ぎ方のマナー

1. エチケット(ラベル)を上にする

ソムリエがワインを注ぐ
iStock.com/Artit_Wongpradu

ワインラベルというのは、ワインの顔です。ラベルが下を向いていたり、斜めになっていたりしてよく見えないのは、ワインにもお客さまにも失礼にあたります。注いでいる方に、ラベルがしっかり見えるように注ぐのが、マナーのひとつでもあります。注ぐときは、ワインラベルが上になるように持ってみましょう。

2. 注ぎすぎない

白ワインが注がれる
iStock.com/Berezko

ワインは多く注ぎすぎると、スワリング(ワインをグラスの中で回すこと)ができなかったり、こぼしてしまったりすることがあります。したがって、ワイングラスの1/3程度まで注ぐとお覚えておきましょう。また、はじめて注ぐグラスは、どのくらいが1/3くらいなのかわからない場合がありますよね。そんなときは、一気に入れるのではなく、少なめに一度入れてみましょう。注いだグラスを見て、明らかに少ないようだったら注ぎ足してあげましょう。

3. 飲み口に注ぎ口をつけない

注ぎ終わりにワインが垂れないように、飲み口に注ぎ口をつけてしまう方がいます。これは、見た目もあまりよくなく、グラスにヒビや傷などができてしまう可能性があるためやめましょう。液垂れが不安なら、トーションや布巾などで注ぎ終わったボトルを拭うのがいいですよ。スマートにきれいに注ぐためには、注ぎ口とグラスの間隔は、最低でも1cm以上はあけることをおすすめします。

4. レストランでは、手酌はしない

高級レストランでボトルでワインを注文したときは、ソムリエやホールスタッフが注いでくれることが一般的です。同席の方のワイングラスが空いていても、自ら注ぐのはやめましょう。グラスが空いてしまった場合は、ソムリエやスタッフに注いでもらうように促すのがいいですよ。アイコンタクトを取るのがいいでしょう。しかし、ワインを提供しているレストラン全てで、スタッフがワインを注いでくれるわけではありません。お店の雰囲気に合わせて自ら相手に注ぐ場合もあるので、臨機応変に対応していきましょう。また、手酌は基本的にはマナーとしてあまりよくないので、しないようにしましょう。

注ぎ方のコツ

1. ラベルに手がかからないように持つ

赤ワインを注ぐ人
iStock.com/IL21

ボトルは、ラベルに手がかからないように持つのがスマートでカッコいい持ち方です。片手で、ボトルの下の方を持つのがおすすめ。しかし、手の小さい方や握力の弱い方は、ボトルの下の方を持つのが難しい場合があります。そのような場合は、ラベルの真上を握るように持ってみましょう。そのときに、なるべくラベルに手ががかぶらないようにするといいですよ。両手で持つ方ことも、マナー違反ではありません。しかし、プロのようにカッコよく注ぎたいときは、片手で注いでみましょう。

2. やさしく、ゆっくり注ぐ

ワインは繊細なお酒です。ボトボトと勢いよくグラスに注ぐと、泡がたってしまったり、澱(ポリフェノールやタンパク質などの塊)がグラスにたくさん入ってしまったり、味わいの変化や見た目にもあまりよくありません。ワインを注ぐときに音のマナーはありませんが、やさしくゆっくりと音が立たないように注ぎましょう。スパークリングではないワインが、泡がたってしまうのは絶対ダメというわけではありません。しかし、やさしくゆっくりと注いで泡が出ないよう注げるようにチャレンジしてみましょう。

3. 空気に触れるように注ぐ

デキャンタを使う人
iStock.com/photographer

ワインは、空気に触れることで香りや味わいが開きます。なるべく空気が触れるように注いでみましょう。先述したように、やさしくゆっくりと注ぎながら、ボトルの注ぎ口とグラスの飲み口の間隔を広げてみるといいですよ。注ぎはじめは、グラス近くからスタートして、徐々に間隔を開けると失敗なくできます。必ずやらなければいけないわけではないので、ワインをこぼしてしまう心配や不安がある方はやる必要はありませんよ。

4. ひねりながら注ぎ切る

ワインを注ぐ
iStock.com/amadea

ワインを注ぐときに嫌なことのひとつとして挙げられるのは、ワインが垂れてしまうことです。液垂れをしないで注ぐには、ワインボトルを内側に回しながら液体をひねり切り、注ぎ口が縦になるように持ち上げるという手順です。そして持ち上げたときに、清潔な布で注ぎ口を拭きあげます。このようにすることで、テーブルクロスが汚れたり、洋服にワインがこぼれたりということはなくなります。慣れが必要な方法なので、何度もチャレンジしてみましょう。また、上記の画像のように液垂れ防止の道具を使うのもひとつの手です。自宅で気軽に飲むなら、道具を使って液垂れの心配なく注ぐのもいいでしょう。

5. 注ぎ足すタイミングは、相手の飲むスピードを観察

ワインを注ぐタイミングは難しいもの。ビールや日本酒は、相手が飲みきってから注ぐ場合が多いですよね。ワインでは、フランス式とイギリス式でタイミングが違います。フランス式は、ワインが少なくなってきたとき(飲み切る前)、イギリス式は、グラスが空になってたとき(飲みきった後)と分かれているのです。日本では、どちらでもマナー違反ではありませんので、相手の飲むスピードを観察しながら注いでいきましょう。

 スパークリングワインの注ぎ方

スパークリングワインが注がれる
iStock.com/maruco

スパークリングワインは、スティルワイン(泡のないワイン)と注ぎ方が少し変わります。注ぐときに泡立たってしまうので、一度で注ぎ切るのではなく、2、3回程度に分けて注ぎましょう。一度目は、泡が多く立ってしまう場合が多いので、グラスから溢れてしまわないように1/4程度注ぎ、泡が落ち着くのを待つのがいいですよ。2度目は泡が立たないように、やさしくゆっくりと注ぎましょう。もし、2度注いだ時点で少し量が少ない場合は、3度目を注いでみるといいですよ。

注ぐ量は、スティルワインよりも少し多い、グラスの1/4程度まで注いでも大丈夫です。また注ぐときに泡立ちが多い場合は、スパークリングワイン自体の温度が高いことが原因かもしれません。しっかり冷やしてからやさしく注ぐと、上手に注ぐことができますよ。

注がれる際のマナー

1. グラスを持ち上げない

ビールや日本酒などは、グラスを両手で持って、注いでもらいますよね。しかし、ワインはグラスを持たないのがマナーです。グラスをテーブルの上の置いて、そのまま注ぎ終わるのを待ちましょう。注いでくれた方には、会釈をしたり、軽く「ありがとう」と伝えたりするのがいいですよ。

2. 注いでいるところをじっと見ない

赤ワインがグラスに注がれる
iStock.com/debyaho

注がれているところをずっと見られると、たとえプロが注いでいても緊張してしまいます。注がれているときは、ワングラスを見るのではなく、なるべく同席している方と話をしていたり、食事を進めていたりするほうがいいですよ。ワイングラスを見て待っているよりは、ずっとスマートな対応です。

3. いらないときは、飲み口に手をかざす

「ワインはもういらないな」というときに、ソムリエやホールスタッフが注ごうとしているときありますよね。断れなくて、注がれてしまったことはないでしょうか。そんなときは、グラスの飲み口に軽く手をかざしてください。そうすることで、注ごうとしているほうは「もういらないんだな」とわかってくれます。またそのときに、「大丈夫です」や「ありがとうございます」などとひと言かけると、好印象でスマートです。

ワインの注ぎ方は、コツを掴めばカッコよくできる

この記事では、ワインを上手に注ぐコツをいろいろとご紹介してきました。注ぐ量や注ぐスピード、ひねるように注ぎ切るなど、ポイントを押さえておくと、美しくきれいにプロのようにワインをサービスできます。また、注ぐ相手にワインラベルが見えるようにするのも大事なところです。ワインラベルはワインの顔なので、注ぐ相手に見えせてあげてくださいね。このようなコツは、一度や二度試しただけでは上手になりません。日頃ワインを飲むときに、意識しながら注いでみてくださいね。

私が執筆しました!

YURI
ソムリエ・チーズプロフェッショナル / YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
【ブログ】ソムリエールYURIのちょこっとMEMO
【twitter】https://twitter.com/YURI06927640
【instagram】https://www.instagram.com/yuri.winetocheese

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