
2022年10月01日
イタリアには、数々の名門であるワイナリーがワインを造り続けています。そのなかでもこの記事では、革命を起こしたワイナリーでもある「ルーチェ」を詳しくご紹介します。ラベルも独創的で、味わいもすばらしく、一度飲んだら忘れられないワインになること間違いなしです。ぜひ、ルーチェのワインをじっくり味わってみてください。
ルーチェは、イタリア・中部に位置するトスカーナ州で造られています。正式名称は、「テヌータ・ルーチェ」。ブドウ品種は、主にサンジョヴェーゼやメルロを手掛け、とくに赤ワインの生産者として有名です。ルーチェが造り出すワインは「スーパータスカン」と呼ばれ、イタリアンワインのなかでも憧れのワインとされています。
またスーパータスカンと呼ばれるワインは、フランス・ボルドー地方で生産の多いカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロを主体とするものが多いなか、ルーチェは異例のサンジョベーゼ主体のものを造り上げ、歴史に名を残しています。
ルーチェは、1995年に設立。イタリア・トスカーナ州の名門「マルケージ・ディ・フレスコバルディ」ヴィットリオ・フレスコバルディ氏とアメリカ・カルフォルニア州で手がける「オーパス・ワン」を造り上げたことでも有名なロバート・モンダヴィ氏がタッグを組んで設立したワイナリーです。
ワイン専門誌では、数々の受賞歴と高評価をたたきだし、ワインラバーのなかでも、すぐ有名なワイナリーに成長しました。創立当初からカステルジョコンドと同じ敷地内でワインを製造していましたが、2018年にはルーチェ専用のワイナリーをオープンさせています。
ルーチェのワインは、ふくよかな風味と重厚感、そして繊細でやわらかな酸味を楽しめる味わいが多いです。とくに、果実味の華やかさと柔らかなタンニンが絶妙なバランス。パワフルで飲みごたえのある力強さもありますが、果実味が豊かなので、とても飲みやすいです。また、長期熟成をすることもできるので、じっくり時間をかけて楽しめるワインでもありますよ。
ルーチェの栽培地域は、モンタルチーノの南西にあり、標高が350〜420mと最も高い場所のひとつにあります。畑の上下で、土の質が変わり、それぞれに適したいい土壌になっているのです。畑の上部には、サンジョベーゼが植えられ、下部にはメルロが植えられていますよ。
また南側にブドウ畑が面しているため、果実はじっくりと熟成していきます。夜は冷涼な風が吹くことで、ブドウ本来のアロマがより複雑になり、風味豊かなブドウが造られるのです。
テヌータ・ルーチェのフラッグシップキュヴェでもある「ルーチェ」。ブドウ品種は、サンジョベーゼとメルロをほぼ同量で造れます。色合いは、濃く見るからに濃厚なワインです。濃縮されたブラックチェリーやブラックベリーの果実味、バニラやチョコレートのような甘いニュアンスを感じられる味わいです。渋味はありますが、果実味がしっかりあるので、渋味がまろやかに感じられます。長期熟成にもばっちり耐えられる、パワフルかつチャーミングな赤ワインです。
「ルチェンテ」は、ルーチェのセカンドラベルのようなイメージです。ブドウ品種も同様、メルロとサンジョベーゼ。ルーチェのワインに使われるブドウよりも、若木を使って造っているのでフレッシュ感やジューシー感も楽しめます。丸みを帯びた渋味と、ブラックベリーやプラムなどの甘味と酸味がバランスよく味わえます。ルーチェよりも価格帯も安く、熟成を待たずに早飲みできるので、ルーチェ最初の一本としてもおすすめです。
スタイリッシュでインパクトのあるラベルが印象的な、テヌータ・ルーチェが手がける「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」。モンタルチーノのサンジョベーゼを100%使用した、イタリアの伝統的な一本です。ブラックチェリーやブラックベリー、干しブドウのような旨味の詰まった味わい、そしてスミレを思い浮かべるような繊細でエレガントな風味が絶品。熟成させることで、さらにきれいな風味に、華麗な女王さまのようなワインに変身します。
ルーチェのワインは、香りがとてもエレガントで華やかです。大きめのグラスに注いで、スワリング(グラスを回す)しながら香りと味わいを存分に楽しんでみましょう。また、大きめのグラスに入れることで、空気に触れる面積が多くなるので、風味がさらに開きおいしくなりますよ。
ルーチェのワインは、長期熟成にも耐えられるしっかりとしたワインです。したがって、じっくり時間をかけて飲むことをおすすめします。例えば、一晩で飲んでしまうのではなく、2、3日かけて飲むのもおすすめ。人数が多い場合やその日のうちに飲んでしまう場合は、飲む1時間前くらいには抜栓し空気にワインを触れさせておくのもいいですよ。ワインを開かせ、ゆっくりじっくり飲みましょう。
赤ワインは、常温で飲むほうがいいと言われることがあります。しかし、ワインそれぞれに適温があるんです。ルーチェのワインは、サンジョベーゼやメルロのブドウ品種を使用しています。また、味わいも濃厚で深みのあるタイプです。したがって15〜20度程度に軽く冷やして飲むのがおすすめですよ。冷やしすぎてしまうと、香りや味わいが出なくなるので、注意しましょう。
トリッパとは、イタリア中部の伝統的な料理です。牛の胃袋をトマトで煮込んだ、イタリアのトラットリアでは定番のメニュー。正式名称は、「トリッパ・アッラ・フィオレンティーナ」と呼ばれています。お店によっては、パルミジャーノ・レッジャーノ(チーズ)を削りかけたり、バジルを散らしたりもしますよ。ルーチェのワインは、果実味が華やかなのでトマトソースによく合います。また牛の胃袋やトマトの旨味が、ワインの渋味を柔らかくしてくれますよ。
ルーチェのワインは、深みがありパワフルな味わいもあるので、Tボーンステーキがおすすめです。Tボーンステーキは、脂の旨味をしっかり楽しめるサーロインと緻密な肉の旨味を楽しめるヒレが同時に楽しめます。イタリア中部でも、郷土料理として「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」というステーキがあり、赤ワインと一緒によく食べられています。ジューシーな肉の脂の旨味と甘味が、ルーチェの複雑で繊細なタンニンをまろやかにし、味わいをよりおいしくしてくれますよ。
イタリアでよく食べられるチーズとして、ペコリーノというチーズがあります。牛乳ではなく、羊乳から造られミルクの甘味と濃厚な旨味、そしてやや塩分が強いのが特徴です。ルーチェが造られるトスカーナ州では、「ペコリーノ・トスカーノ」というチーズも作れています。同じ産地のワインと食材は、とても相性がよいです。チーズのマイルドでコクのある風味が、ワインにさらに味わいをのせてくれ、相乗効果で単体で飲むよりおいしくなりますよ。
ルーチェは、イタリア・トスカーナ州を代表するワイナリーです。どのワインも果実味を楽しめながら、深みと凝縮した旨味を味わえます。さらに、ルーチェの歴史やブドウに対する情熱などを学んでから飲むと、よりおいしく味わえますよ。そして、飲み方や相性のいい料理を実践することで、何倍もルーチェの良さを感じられます。飲んだことない方も、何度か飲んだことある方もルーチェを飲んで、トスカーナ州の風を感じてみてくださいね。
ソムリエ・チーズプロフェッショナル /
YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
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