2022年05月25日

バスケットボールにまつわるワイン

今年(2022年)の秋、映画「SLAM DUNK」(※1)が公開予定です。『SLAM DUNK』はもともと1990年から約6年間、集英社『週刊少年ジャンプ』で連載されていたスポーツ漫画です。不良少年「桜木花道」がバスケットボールと出会い数々の挑戦を経て成長する様子を描いた青春物語で、世代を超えて愛され続けています。作者の井上雄彦さんによる迫力のある絵が素晴らしく、特に試合中のカットはセリフがほとんどないにもかかわらず臨場感にあふれていて……最高です。

映画の公開を待ち焦がれながら過ごす中、バスケットボールにまつわる面白いワインに出会いました。スポーツとワインって意外と関係性が深いんですよね。引退した選手がワイン造りを手がけることも珍しくありません。今回ご紹介するワインは少し趣が異なりますが、バスケットボール愛が込められた興味深いワインです。ということで、日米の “バスケワイン” をそれぞれ1本ずつご紹介します。映画「SLAM DUNK」に想いを馳せつつ飲むのにピッタリな “バスケワイン” 。 “スラダン” 世代の方もそうでない方も、ぜひチェックしてみてください。

※1)2022年5月現在、映画の正式タイトルは未定。(公式サイト:https://slamdunk-movie.jp/index.html

1. マイケル・ジョーダンのスラムダンクみたいなカリフォルニアワイン

最初にご紹介するのはカリフォルニアの赤ワインです。

スラム・ダンク レッドワイン カリフォルニア(2019)

ご覧の通り、なんとワイン名が「SLAM DUNK」! ということは、映画「SLAM DUNK」とコラボしたワイン……ではありません。「SLAM DUNK(スラムダンク)」はもともとバスケットボール用語。このワインは「スラムダンク」というプレイをイメージした味わいのワインです。

スラムダンクとは:バスケットボールのショットのひとつ。プレイヤーがジャンプしてバスケットリングより高い位置までボールを運び、片手または両手でボールを直接バスケットに押し込んで得点するプレイのこと。

造り手はアメリカのベテランワインメーカー、デヴィッド・グリーン氏とメイヤン・コスチスキー氏。「マイケル・ジョーダンのスラムダンクみたいな凄いワインを造りたい」という想いにかられて試行錯誤した結果生み出した自信作とのこと。実際にバスケットボールの試合で「スラムダンク」を目の当たりにすると、その迫力と爽快感に鳥肌が立ちます。ましてや “バスケの神様” とまで呼ばれるマイケル・ジョーダンのスラムダンクとなると、凄いなんて言葉では足りなさそうです。いったいどんなワインに仕上がっているのかというと……。

アルコール度数14.8%。しっかりとした骨格のストロングボディから織りなされる味わいは迫力満点。まるでジャムのように濃厚です。一方でスミレの花のような甘く繊細なニュアンス、キツすぎない木樽の香ばしさが感じられ、どことなくアーティスティックな雰囲気も漂っています。体と体がぶつかり合うバスケットコートの中で、超プロ級の選手が織りなす迫力と芸術性を兼ね備えたダンクシュート……そんな光景をイメージしながら飲むとしっくりくるようなこないような。グリーン氏とコスチスキー氏いわく、「マイケル・ジョーダンのスラムダンクみたいな凄いワイン」とは「日々の生活の中で “決めた!” と思える瞬間と同じ感動を覚えるワイン」なのだそう。言いたいことはなんとなくわかります。皆さんはどうでしょう? 気になる方はぜひお試しください。

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「ラストダンス」という、Netflixで配信されているアメリカのドキュメンタリー番組があります。番組ではNBAチーム「シカゴブルズ」でのマイケル・ジョーダンの最終シーズンに焦点を当てながら、彼のキャリアを描き出しています。ワイン「SLAM DUNK」の造り手の二人は「ラストダンス」のマイケル・ジョーダンに感銘を受けてワイン造りを進めたのだとか。Netflixの「ラストダンス」を観ると、よりワインを深く味わえるかもしれません。

このワインに合わせるなら、ハンバーガーがおすすめ! ジューシーなパテととろけるチーズ、フレッシュなトマトが挟まったシンプルなチーズバーガーと相性ばっちりです。ワイン「SLAM DUNK」片手にハンバーガーをほおばりながら自宅でバスケ観戦を決めこむ休日なんて、いかがでしょう。

2. Bリーグチームとコラボした、渋谷発の日本ワイン

次にご紹介するのは、日本のプロバスケットボールチームとコラボした日本ワインです。

渋谷ワイナリー東京×サンロッカーズ渋谷コラボワイン「SUN」

流行の発信地、渋谷にある「渋谷ワイナリー」とBリーグチーム「サンロッカーズ渋谷」のコラボワイン。非常に美しいビタミンカラーのオレンジワインです。サンロッカーズ渋谷をイメージしたカラーなのだとか。原料のブドウは日本が誇る国際品種、甲州種。白ワイン用のブドウですが、醸造方法次第でこんなにも鮮やかで美しいオレンジワインに仕上がるのですね。眺めているだけで食欲が湧いてきます。

渋谷という大都会でワインが造られているのも面白いですよね。渋谷ワイナリーは2020年にオープンしたばかりの新しいワイナリーです。江東区にある “下町ワイナリー” こと「深川ワイナリー」さんの姉妹ワイナリーとのこと。山梨などの他県から仕入れたブドウを渋谷MIYASHITA PARKにある施設で醸造しています。レストランが併設されていて、お料理に合わせてワインを試飲できます。都内在住のワイン愛好家にとって気軽に足を運ぶことができる都会派ワイナリーは最高の癒しスポット。

さて、コラボワイン「SUN」ですが、柑橘っぽいフレッシュな酸味と “醸し” の結果溶け出したふくよかな旨味のバランスがほどよく、疲れた体に染み入る味わいに仕上がっています。印象はスペインの白ワインに似ています。情熱の国の太陽を思わせる、爽やか&アクティブなワインです。伊達に「SUN」と名付けられてはいませんね。

サンロッカーズ渋谷のチーム名には「“太陽(リング)を揺らす”激しいダンクを狙い打つ集団」という意味がこめられているそうです(公式サイト参照)。チーム名からもワイン名からもワインの色合いからも、ポジティブな躍動感を感じます。前向きな気持ちになりたい時にぴったりなワインかもしれません。

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このワインに合わせるなら、麻婆豆腐がおすすめ! 山椒がピリリときいた甘辛麻婆豆腐に、フレッシュな「SUN」の旨味たっぷりな味わいがよくマッチします。ワインを辛い料理に合わせるのはやや難しいといわれますが、このワインなら大丈夫。割と甘味も感じられるので、トッポギなどの甘辛韓国料理のお供にもうってつけです。お試しあれ。

最後に

Amazonなどのストリーミングサービスを利用すれば、日本のプロバスケットリーグ(Bリーグ)の試合を自宅で観戦することができます。この機会に “バスケワイン” を用意して、バスケ観戦をしてみてはいかがでしょうか。そして来るべき映画「SLAM DUNK」の公開をワクワクしながら待ちましょう。


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi

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