
2022年11月16日
皆様こんにちは、インポーターの大野みさきです。突然ですが、プレゼントに貰って嬉しいものは何ですか?自分ではなかなか買わない高級なタオルとかも嬉しいですが、私は“ワイングラス”です。“ぶどう品種ごとにワイングラスも存在する”と言われるほど、種類も豊富です。ワインを楽しむツールでグラスが最も重要!と言っても過言ではありません。酒器の中でもワイングラスは、他に類を見ない奥深さを兼ね備えています。
ワイン好きの間では使用頻度が高く、デイリーユースしている方も多いのではないでしょうか。使えば使うほど破損も多く、私は毎月のように割っています。だから、プレゼントで頂けるのは大変有難いです。何脚あっても困らない、本当に重宝するものです。先日、RIEDELのパフォーマンスシリーズのシャンパーニュグラスを頂いたので、早速使ってみました。
言わずと知れたリーデル社は、オーストリアの名門ワイングラスカンパニーです。作曲家モーツアルトの生誕1756年に創業し、現在は11代目という老舗です。同じワインでも異なる形状のグラスで飲むと、香りや味わいの印象が違うという点に着目し、様々なぶどう品種の個性に合わせた、機能的なグラスを開発しています。その数は160種類以上!多すぎるので、シリーズ化されています。そんな同社の異なったシリーズの、シャンパーニュグラス3脚を比較試飲しました。まずは、それぞれのグラスの形状から見ていきましょう。
375ml 2脚入り 9,900円
細いステムと大きく安定した台座。そして驚くほどの軽さ!ボールの下部はフルートグラスのカーブに似ています。中央部分に丸みを持たせ、まるでフルートグラスと白ワイングラスを合体させたようなフォルムです。光学効果を取り入れ、見た目の美しさの追求だけでなく、グラスの内側がドレープカーテンのように波打っています。そうすることによって、グラス内部の表面積が拡大し、余すところなく “香る” 設計になっています。
230ml 2脚入り 9,900円
お馴染みのフルートグラスです。縦長でシャープでありながらも、ややボールに膨らみを持たせています。緩やかなラウンドさもあります。
445ml 2脚入り 11,000円
甲州などの白ワイングラスとしても大活躍する大振りの卵型ボール。シャンパーニュを白ワイングラスで楽しむという近年のトレンドが反映されています。全体的に丸いフォルムなのが特徴です。この膨らみによってワインと空気の接触面積や、香りを留める空間の容量は大きくなり複雑さが増します。機能的、そして見事な曲線美です!
■本日のワイン Champagne Baron Albert セレスト・エイメ ハーモニー ブリュットNV 2,600円
今回使用したワインは、セレスト・エイメの辛口シャンパーニュです。シャルドネ、ピノノワール、ピノムニエがブレンドされた、シンプルなタイプです。青りんごや洋梨などの木成りの果実、ミント、蜜っぽさ、熟成香も僅かにあります。樽香はゼロなので、やや低めの温度からスタートするのが良さそうです。それでは、それぞれをテイスティングしていきましょう。
泡の立ち上がりが、細めのコルドン1本と繊細で実に優雅です。今回のグラスの中で最も美しい外観です。アロマはフルーツ香が強く、その持続性にも長けていました。香りからの味わいは、酸味と甘味のバランスがとても良いです。グラスがワインを上品にまとめ上げ、安価なシャンパーニュが高貴さを醸し出していました。フルートグラスと白ワイングラスの良いところ取りです! ※コルドンはフランス語で紐の意。
コルドンは2~3本に増え、やや幅広で珠数玉となって上昇しています。フルートグラスだけあってキレイな泡が楽しめますね。他の2脚と比べると内部が狭まっているので、アルコールなどの刺激が顕著に感じられました。香りを楽しむならフルートグラスは不向きだと感じました。一方で味わいは、甘味よりもストレートに豊かな酸味を感じます。同じワインでもシャープで、すっきりとしたドライな印象を受けました。
コルドンは太く乱れ、残念ながら泡の立ち上がりは、パフォーマンスやヴィノムに比べたら、そんなに美しくありません。ボールが大きく膨らんでいるので、フルーツ香は強く感じられますが、その反面液面がワイドで揮発するのが早く、持続性はパフォーマンスには及びませんでした。味わいは酸が丸みを帯びて甘味が感じられます。総合的に丸く優しいニュアンスです。
今回のシャンパーニュは1種類、しかも温度も冷蔵庫から出して直後の10℃のみの限定的ですが、この中ではパフォーマンスグラスが、1番このシャンパーニュの魅力を引き出しているように思いました。
「ワイングラスを制する者がワインを制する」これは私の口癖です。選ぶグラスによってワインの楽しみが無限に広がります。皆様もお気に入りのグラスを見つけて下さいね。それでは、ごきげんよう!
365wine 大野みさき
スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。
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