2022年06月29日

【活用のすゝめ】気象庁の2週間気温予報

皆様、こんにちは。ワインインポーターの大野みさきです。梅雨の時期は、雨、雨、雨で湿気が凄いのなんの。窓を開けた瞬間、不快指数100%の湿度を感じます。ワイナリーが、収穫期の次に忙しい時期がこの6月です。

そんな気候とは真逆で、降雨量が少なく湿度が低い環境が、ぶどう栽培に向いています。案の定、湿度が高いとベト病を引き起こし、それが畑でパンデミックとなるのです。雨露が葉っぱから葉っぱを伝い、感染が広がっていきます。たった1枚の葉っぱでも、ベト病を発見したら一刻を争います。雨など降ろうものなら、それこそぶどう畑が壊滅的な状態になるため、早急な対処が求められます。そのため草刈りやボルドー液の散布など、この時期のワイナリーは大忙しです。 その他、褐斑(かっぱん)病、晩腐病、クワゴマダラヒトリ、カンザワハダニ、チャノキイロアザミウマ、アカガネサルハムシなどの病害虫とも戦っています。

2週間気温予報

天気にシビアで、猛烈に忙しいヴィニュロンたちが、こぞって参考にしているのが、「2週間気温予報」です。文字通り2週間先まで全国各地の気温の推移を見通せます。エリアごとに8日先から12日先を中心とした各日の5日間平均が出され、最高気温、最低気温、平均気温が毎日発表されます。

今回は大阪管区気象台と環境農林水産総合研究所から直伝の、最新の気象技術とぶどう栽培への応用をご紹介しましょう。「えっ、ワイナリーや農家じゃないから関係ないよ」と思われた方も、私たちの生活に活かせる部分もあるので必読ですよ!

気象と農業は切っても切り離せません。ぶどうを含めた果樹は、「この物件は日当たりが悪いから引っ越そう」などできるはずもありません。ひとたび植えたら入居しっぱなしの永年性作物です。また、一年性作物のように種を撒く時期を変えるといった対処もできません。年中ダイレクトに地球温暖化の影響を受けます。もちろん降雨量や日照量などの自然的要因もありますが、直に気温とリンクしやすいのが農業です。 気温が高いと発芽や開花も早まります。19632015年までの52年間で、平均気温が約2℃上昇しています。大阪で栽培面積80%を誇るデラウェアの場合、23月の平均気温に上昇がみられたため、この半世紀で発芽が1週間も早まっています。また5月の気温上昇に影響し、満開日も1週間ほど早まっています。着色期の6月下旬から8月の気温上昇で、アントシアニンなどの色素の合成が阻害され、果皮の色が薄くなっている傾向にあります。着色不良の対処策としては、樹皮を環状に剥いで(環状はく皮)、光合成産物を根ではなく果実に促すようにします。

植物の発育は気温と日長に左右されるので、おおよその発育の予測が可能です。しかし、温暖化により年次変動が激しく、今までの経験が通用しないとも言われています。そんな中、2週間気温予測を使えば、農作業計画が立てやすくなります。農作物の冷害、高温障害、病害虫の対策などはもちろんのこと、収穫の作業予測をして人員の確保ができます。

活用方法

これを私たちに当てはめたら、「2週間先までグズつく天気だからアウトドアは控えよう」「もうしばらく気温が低いので衣替えは待とう」「除湿器がフル稼働の前にフィルターを掃除しておこう」「来週末は肌寒くなりそうだからすっきり白ワインは少なめに用意しよう」「収穫期が全日晴天に恵まれるから今年はグレートヴィンテージになるに違いない、ワインを注文しよう」など様々な分野で応用できます。 ワイナリーや農家さん以外でも、家庭菜園をされている方、ヴィンテージおたくのワイン愛好家、2週間気温予報はアイデア次第で活用できそうな予感です。ぜひ気象庁のHPをチェックしてみて下さい。それでは皆様、ごきげんよう!

気象庁が発表する2週間気温予報
https://www.data.jma.go.jp/cpd/twoweek/


365wine 大野みさき

ANA国際線CA7年の在職中にワインに魅せられ、その後は渡仏しワインの勉強をする。2014年に帰国し、翌月にワイン輸入会社365wine株式会社を設立。365(毎日)ワインを楽しんでもらいたいという想いからの社名。スロヴェニアワイン専門のインポーター。現在はママさんスタッフを含め3名で、買い付けから輸入販売、全国の業務店営業やイベントで、スロヴェニアの魅力を各地に広める活動をする。「貴方と大切な方の毎日を笑顔にします!」をモットーに、一緒に働いてくれる仲間を募集中!
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