2022年07月13日

お祭りワインだけじゃない!ボジョレーの真髄!

皆様、こんにちは。インポーターの大野みさきです。ぶどう畑では例年より早い開花と結実を迎えました。そう言っている間に収穫&新酒の時期ですね。新酒とくればボジョレー地区の“ボジョレー・ヌーボー″が有名です。毎年11月の第3木曜に解禁され、お祭りワインとして親しまれています。「ワインはそんなに飲まないけれどヌーボーならある!」という方もおられるぐらい日本では人気です。しかし、ボジョレー・ワインがヌーボーしか知らないなんてもったいないです。72日~4日にはボジョレー地区のワイナリーが集い、“ボジョノミー/Beaujonomie(ボジョレー×ガストロノミー造語)”というお祭りも開催されました。今まさに盛り上がりを見せているエリアです。今日は知られざるボジョレーの魅力をご紹介しましょう。

ボジョレーについて

歴史

ボジョレーは、古い起源を持つワイン産地です。その昔はガリア人が住み、ぶどう栽培を行っていました。1世紀にはローマ軍が侵攻した為「ジュリエナ/Juliénas」、「ブルイィ/Brouilly」、「フルーリー/Fleurie」など地名の語源にその名残があります。10世紀には安定した国土となり、ボジョレーと呼ばれるようになりました。「ボジョレー」という名は、ボージュ伯爵が15世紀まで治めていた町の名前、“ボージュ/Beaujeu” に由来しています。そして1937年には原産地呼称であるAOCボジョレーが誕生します。

地理

地理的には、ローヌ県とソーヌ・エ・ロワール県に跨っています。リヨンの北からマコンの南に広がる14,500haのぶどう畑には、12AOCがあります。2,000軒以上のワイナリー、9軒の協同組合、200軒のネゴシアンが展開しています。栽培比率は、赤95%  ロゼ3%  2%の割合です。黒ぶどうが98%と完全に赤ワインの名産地です(白ぶどうではシャルドネを栽培)。黒ぶどうではボジョレーの代名詞とも言える、ガメイが植わっています。そう、ボジョレーと言えばガメイです。その正式名称は、「ガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブラン/ Gamay noir à jus blanc」その名を初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。そして驚くのはここからです。世界に植わっているガメイ30,000haのおおよそ半分がボジョレー産です。 “Beaujolais = Gamay” その中にはクロ・ド・タールよりも高価な畑も存在するというからビックリです!

ボジョレー12のAOC

AOC

村数

栽培面積(ha)

標高(m)

土壌

ワインの特徴

ボジョレー/Beaujolais

72

3,930

332

 

石灰石22%、山麗の丘と古い沖積21%、花崗岩とケイ質の岩17%、粘土18%

爽やか、引き締まるような

ボジョレー・ヴィラージュ/ Beaujolais Villages

38

3,900

332

花崗岩とケイ質の岩52%、山麗の丘と古い沖積土25%

円みがある、ストラクチャーのある、飲みやすい

ブルイイ/Brouilly

6

1,200

290

花崗岩とケイ質の岩45%、山麗の丘と古い沖積土35%

円みがある、滑らか、果実味が豊か

シェナ/Chénas

1(シャペル・ド・ギンシェシェナ)

250

260

花崗岩とケイ質の岩49%、山麗の丘と古い沖積土48%

ストラクチャーのある、コクのある、絹のような

シルーブル/Chiroubles

10以上

320

410

花崗岩

爽やか、ブーケが豊か、喉越しが良い

コート・ド・ブルイイ/Côte de Brouilly

10以上

320

300

花崗岩、ケイ質火山岩、青い火山岩、堆積物、沖積土

豊潤で繊細、たくましい、コクのある

フルーリー/Fleurie

10以上

830

340

花崗岩90%

輝きがある、フルーティーで繊細

ジュリエナ/Juliénas

1(ジュリエナス)

570

330

青い火山岩と片岩44%、山麗の丘と古い沖積土31%

フレッシュ、肉付きの良い、表情豊か

モルゴン/Morgon

10以上

1,100

310

花崗岩、沖積土、青い火山岩

コクがあり濃厚、肉付きの良いワイン

ムーラン・ナヴァン/Moulin-à-vent

71

640

255

花崗岩、粘土

エレガントで複雑、力強い

レニエ/Régnié

10以上

390

320

花崗岩、沖積土

爽やかでイキイキとした、バランスの良い

サン・タムール/Saint-Amour

10以上

330

335

花崗岩、ケイ質火山岩、青い火山岩、沖積土

フルーティ、口当たりが柔らかい、調和のとれた

ボジョレーのワイン

ボジョレー・ワイン委員会輸出市場を担当するカロリーヌ・サントヨさんによると、ボジョレーはナチュラルワインを牽引するエリアで、若者がワイナリーをはじめやすい環境が整っているそうです。確かに「マセラシオンカルボニック(MC)」の技術が、世界トップレベルであるボジョレーは、自然派ワインのメッカでもあり、数々の優良生産者を輩出しています。もちろん伝統やルールも大切ですが、続々と造り手が参入するわけですから、新しい風がワイン業界に入ってきます。この風はボジョレーのワイン業界全体に良い影響を及ぼします。
また、ボジョレーではサステイナブルへの取り組みも盛んで、1989年には政府の主導による決定を待つよりも早く、ぶどう木を研究し、後世に残していく持続可能な手法を定めました。現在はワイナリーが一丸となり、“アグロエコロジー”に取り組んでいます。自然を保護しながら環境、経済、社会面で高い実績を上げる生産システムです。ぶどうを守り、ワイナリーにおける、生物多様性の維持を促進します。化学物質を控え、土・水・命を守り、美しい自然を取り戻す活動に励んでいます。

食事とボジョレーワイン

今回はフレンチのフルコースに合わせ、5種類のボジョレーを頂きました。なんと5種類中、4種類が赤ワインです。食中酒としての赤ワインは如何なものか。結論から言って、ボジョレーの赤ワインは食事との相性が最高!!赤ですが全く食事の邪魔をしないのです。むしろ調和の取れた素晴らしいマリアージュを見せてくれました。

1.Vignerons des Pierres Dorées Terra lconia 2020

AOCボジョレー
グレープフルーツが香る爽やかなシャルドネ。ボジョレーで白ワインは2%の生産なのでとてもレアです。

2.Maison Jean Loron Rift69 2020

OCボジョレー・ヴィラージュ
MC、亜硫酸フリー。異なった断層、リフトが複雑なワイン。ガメイの鉄分の豊かさが初鰹の血合とも◎、MCと油の親和性も申し分ないです。

3.Anthony Thevenet 2018

AOCシェナ
オーガニックでMC、エレガントなスミレ香水のアロマ。味わいは落ち着いているので、やや香りとのギャップあり!合わせたお料理は鮎ソテーバジルソース。クセのある濃い味わいの鮎には、逆に白ワインはNG。鮎はガメイで決まり!

4.Laurence & Rémi Dufaitre 2016

AOCジュリエナ
ザ・ナチュラルワイン。天然酵母、コンクリでセミMC。人為的な介入を控えたワイン。エキス分が濃厚で1番好み☆

5.Jean-Claude Lapalu Vieilles Vignes 2018

AOCブルイイ
オーガニックでMC、亜硫酸フリー。複雑でずっと香っていたい。酸が豊かで滑らかな果実感。攻めた造り手、官能的で余韻も長くクオリティもすこぶる高い。私たちが飲みたいのは、まさにこのワインです!

最後に

世界のワインの動向は “ライト繊細です。それに沿って互いに高め合うのがボジョレーです。食中に楽しまない理由はありません。またクオリティにも感嘆しました。MCの産地なので、全房発酵圧搾するスタイルが主流です。「鮮やかな外観」、「味わいはフルーティ」、「シルクの滑らかさ」、「ジューシーで瑞々しい口当り」、それはもう身体に染み込む旨さです。“MC ×ガメイ”は、醸造と品種の選ばれし組合せです。MCで丁寧に作られたワインは本当に美味しいのです!大量生産して納期に間に合わせて造ったヌーボーの味わいだけしか知らないのは損です。是非、ヌーボー以外のボジョレーを飲んで頂きたいです。そしてボジョレーを新発見して下さいね。それでは、ごきげんよう。


365wine 大野みさき

ANA国際線CA7年の在職中にワインに魅せられ、その後は渡仏しワインの勉強をする。2014年に帰国し、翌月にワイン輸入会社365wine株式会社を設立。365(毎日)ワインを楽しんでもらいたいという想いからの社名。スロヴェニアワイン専門のインポーター。現在はママさんスタッフを含め3名で、買い付けから輸入販売、全国の業務店営業やイベントで、スロヴェニアの魅力を各地に広める活動をする。「貴方と大切な方の毎日を笑顔にします!」をモットーに、一緒に働いてくれる仲間を募集中!
【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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