
2022年10月01日
ポメリーをワインショップやレストランで、見かけたことはないでしょうか?鮮やかなラベルもあり、印象的なシャンパーニュでもあります。この記事では、シャンパーニュの名門である「ポメリー」の歴史、特徴、おすすめ商品、合わせておいしい料理などをソムリエがご紹介していきますね。さまざまな商品を飲み比べると、さらに面白いですよ。
ポメリーは、シャンパーニュの中でも名門である老舗メゾンです。さまざまなラインナップがあり、価格帯も幅広く造られているので、親しみやすさと気品さを両方兼ね備えていますよ。シャンパーニュが甘口で造られることが主流だった時代に、ブリュット(辛口)タイプを造り出し、食中酒としても飲めるということを広めたことでも知られています。
またワイン業界では、ヴァランケン・ポメリー・ジャパンが主催するソムリエコンクールも有名。筆記試験、テイスティング、サービスなどを審査され、開催ごとに素晴らしいソムリエが、優勝・受賞に輝いていますよ。
マダム・ポメリーがアートへの関心が深かったことから、2003年からポメリーでは「エクスペリエンス・ポメリー」という現代美術の祭典を毎年開催しています。フランスだけでなく、世界中のアーティストの芸術作品が展示されていますよ。このようにポメリーは、シャンパーニュメゾンというだけでなく、ソムリエの育成や現代美術の発展などにも貢献している素晴らしいシャンパーニュメゾンなんです。
ポメリーは、1836年にフランス・シャンパーニュ地方ランスで誕生しました。初代当主であったルイ・アレクサンドル・ポメリーが20年醸造に携わり、その後マダム・ポメリーが跡を継いでいます。マダム・ポメリーは、その時代の流行りであった甘口タイプのシャンパーニュだけでなく、辛口タイプを世界ではじめて考案した伝説の造り手です。
現在では、「シーズナル」という季節ごと合わせたシャンパーニュや、「POP」というクオーターサイズ(200ml)と小さく、ストローや直接飲むために造られたやや辛口タイプの気軽に飲めるシャンパーニュなど、ポメリーらしさと現代らしさを兼ね備えられた商品を続々とリリースしています。
ポメリーの代名詞である味わいは、辛口のシャンパーニュ。使用ブドウ品種は、黒ブドウであるピノ・ノワール、ピノ・ムニエと、白ブドウであるシャルドネのブレンドで造られています。シャルドネの比率が多いものは、スッキリ爽やかに。黒ブドウが多いものは、コクや甘みを感じられるものも。基本的に食事に合わせやすい辛口タイプが多いので、料理にそっと寄り添うクセのやさしい味わいです。また、ロゼや甘口タイプの商品はやや黒ブドウが多いので、フルーティーな感をより楽しめますよ。
ポメリーの製法の特徴としては、カーヴへのこだわりです。マダム・ポメリーは、シャンパーニュの醸造や熟成には温度が大切だと気付き、116段の階段を降りた地下に、全長18km、地下30mのカーヴを造りました。そのカーヴは、ローマ時代の石灰岩で造られ、温度は10度に保たれています。このようにポメリーのシャンパーニュは、上質なシャンパーニュができる温度や湿度を保つカーヴ内で、丁寧に管理され造られているのです。また、2015年にはユネスコ世界文化遺産にも登録され、世界的に有名なカーヴになりました。
ポメリーの代表格である「ブリュット・ロワイヤル」。泡立ちがしっかりしているので、飲み後ごたえ喉越しが抜群です。また、柑橘系のスッキリ感とフローラルで華やかな香りのバランスが良く、クセがなく飲みやすいタイプ。和洋中とどんな料理に合わせやすく、食事を引き立たせてくれる、おいしくシャンパーニュですよ。
ロワイヤル・ブルースカイは、そのままだけでなく、カクテルのようにして飲むこともおすすめされている甘口タイプです。スッキリとしたドライな味わいが苦手な方に、ピッタリな一本。いちじくや焼き菓子、はちみつなど、甘味と香ばしさを感じられ、デザート一緒に食べてもおいしいですよ。フルーティーな果実味で、飲み口がやさしいシャンパーニュですが、甘いだけでなく、後味はスッキリなので食事に合わせてもおいしいですよ。
キュヴェ・ルイーズは、ポメリー社が手がける最高級キュヴェです。厳選された区画とブドウを使用し、熟成にも耐えられる素晴らしシャンパーニュです。シャルドネ主体ですが、ふくよかなコクと、ミネラル感、余韻の長さはさすがの一本。熟成年数が長い方が、酸味がまろやかになり、より旨味が増しますよ。味のしっかりした洋食はもちろんですが、シャンパーニュをより引き立てさせたい場合は、天ぷらや魚介のカルパッチョなどの、素材の味わいを楽しめる料理とマリアージュしてみるのもおすすめです。
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Swanson – Studio 101 West Photography
シャンパーニュは、温度で大きく味わいが変わる飲み物です。温度が冷えすぎていると風味が感じにくく、温度が上がりすぎていると甘味や雑味を強く感じたりしてしまいます。ポメリーがおすすめしている温度は、辛口タイプ8度、甘口タイプ4度、キュヴェ・プレステージタイプは12度です。
辛口タイプである8度は、冷蔵庫から出すとそのくらいの温度になります。したがって、おいしく飲みたい場合は冷蔵庫から出し入れしながら飲んでみましょう。ワインクーラーを使用する場合は、入れっぱなしではなく、出し入れしながら温度を調節するといいですよ。
甘口タイプである4度は、キンキンに冷えている温度になります。ワインクーラーにしっかり氷を入れ、冷やしながら飲みましょう。温度が上がってしまったら、大きめの氷を入れ飲んでもおいしいですよ。
キュヴェ・プレステージタイプとは、ヴィンテージが入っているシャンパーニュや最上級キュヴェなどのものを指します。このようなタイプは、風味をしっかり楽しめるように、開栓後は温度を上げて飲むのがおすすめです。ワインクーラーに入れっぱなしにせず、少し温度を上げ調節して飲んでみましょう。
シャンパーニュのグラスは、ワインのグラスと違い縦に長いものが主流です。縦に長いグラスは、泡立ちをきれいに見せてくれ、シャンパーニュの口当たりをよくしてくれます。おすすめのシャンパーニュグラスは、上記のグラスのように縦に長いですが、少し横の膨らみがあり、飲み口がすぼまっているタイプです。このようなグラスは、真っ直ぐなタイプより香りをさらに楽しむことができます。
キュヴェ・プレステージタイプやヴィンテージが入っているシャンパーニュは、スタンダードタイプよりも風味が複雑で華やかです。したがって、上記のようなボウル部分が少し膨らんでいるタイプのもので飲むのが、とくにおすすめですよ。
シャンパーニュと食事をどのように合わせるかで、マリアージュは決まってきます。ポメリーのシャンパーニュは、クセが強くないので、どのような料理にも合わせやすいのが特徴的です。しかし、シャンパーニュを引き立たせたい場合は、食事を選びましょう。たとえば、味わいの濃い料理やスパイシーな料理は、シャンパーニュの味わいが負けてしまいます。ポメリーに合う、そして、ポメリーの味わいを更に引き立たせる料理を選ぶといいですよ。以下で、相性にいい料理をご紹介していますので、合わせてみてくださいね。
フルーツは、シャンパーニュとの相性が抜群です。とくに、イチゴ、リンゴ、ブドウ、マスカット、グレープフルーツなどがおすすめです。ポメリーは、フルーティーでスッキリとした味わいなので、フルーツを合わせるとシャンパーニュの味わいがより引き立ちます。とくに、イチゴやリンゴの甘味と酸味はシャンパーニュの甘味をよりはっきりと楽しむことができますよ。シャンパーニュにフルーツ入れて、おしゃれに飲んでみるのもおすすめです。
クセが強くなくマイルドな味わいのチーズと、ポメリーのシャンパーニュは相性がいいです。とくにおすすめなのは。シャウルスという白カビチーズです。シャウルスは、シャンパーニュ地方で生産されており、風土が一緒なため相性も抜群。チーズのコク、旨味、塩味が、ポメリーのやさしい味わいと溶け合うことで、ミルクの甘味と白カビの奥深さがプラスされ、よりおいしく感じられます。そのままでもいいですし、クラッカーに乗せて食べると香ばしさも乗り、もっとおいしくなりおすすめですよ。
生ハムやサラミは、ギュッと詰まった旨味とコクのある塩味が特徴的なおつまみです。ミネラル感のあるポメリーのシャンパーニュに合わせると、生ハムやサラミの脂の旨味と塩味が口の中で溶け合い、何度もおかわりをしてしまいたい無限ループにハマります。また、シャンパーニュのフルーティーな果実の甘味もより引き立たせてくれますよ。脂の多い生ハムやサラミのほうが、ポメリーのシャンパーニュには相性がいいと思います。
ポメリーのシャンパーニュは、料理に合わせやすい商品が多いです。料理がメインな場合は、寄り添ってくれます。そして、シャンパーニュがメインの場合は、料理によって風味をひ立たせることができますよ。さまざまなラインナップがあり、気軽に飲めるものから一度飲めたら嬉しいと思うほど高級なものもあります。サイズの小さいタイプもあるので、シャンパーニュを少しだけ料理に合わせたいな、というときにでも思い出してみてくださいね。
※ 商品価格は、2022年8月20日時点での情報です。
ソムリエ・チーズプロフェッショナル /
YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
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