2022年09月14日

南アフリカワインの魅力~おすすめワイン2選~

皆様こんにちは、インポーター365wineの大野みさきです。いきなりですがクイズです。ヨーロッパとアジアの交易の中間地点に位置し、船乗りたちの食糧や物資の補給地として栄えてきた街はどこでしょう。その国では航海用にワイン産業やビール産業が発展しました。答えは「ケープタウン(南アフリカ)」です。今日は知られざる南アフリカワイン、その魅力をご紹介しましょう。

南アワインのスペシャリスト、“アフリカ―”の小泉俊幸さんにお話を伺いました。日本人の想像とは違って、良い意味でギャップのある南アフリカ。その良いところはワインを通じて広めたいと小泉さん。彼はITのエンジニアとして勤めていましたが、転職の合間にプライベートで南アへ渡航し、同国のワインが好きになりました。次の会社(自動車輸出販売会社)では、南部アフリカ地域の担当となり、「もう、これはご縁だ!」と感じるようになりました。2015年の退職後は、ウェブショップを立ち上げ、その後は東京日本橋に実店舗を展開、2018年には自社輸入にも手を広げました。販売だけでは飽き足らず、自社輸入までしてしまうという拘りよう。現在は7生産者の35アイテムを現地から引っ張ってきて、ショップには400種類以上のアフリカワインと輸入食品が並びます。

南アフリカ

「昔のイメージで白人が黒人を酷使しているのを想像される方もおられるかもしれませんが、今は是正されており、労働者にきちんと利益が還元されるような仕組みが整っています。南アフリカはフェアトレードワインに関しては世界一の国です。そしてフェアトレードはサスティナブルのひとつでもあります。自然環境と人的環境のうちフェアトレードは後者に当てはまります。またサスティナブルにおいては認証制度があります。クリアしたワインに対してはサスティナブルシールが貼られ、今や殆どのワインにこのシールが添付されています」と小泉さん。世界でも珍しく、認証を設けるまでのサスティナブルに徹底していることは素晴らしいと感じました。
その背景には少なくともアパルトヘイトをしていた歴史があります。1994年に撤廃されるまでは、各国から経済制裁を受けていました。もちろん、輸出もできない状況でした。アパルトヘイト全廃後は、輸出も解禁して人種差別やワインの現物支給(賃金が払われない)も廃止されました。そしてこの20年で輸出量も20倍に飛躍しました。

南アフリカと言えばシュナンブランです。かつては白ワイン用品種が80%を占めていましたが、アパルトヘイト撤廃後は、海外からの需要に伴い、赤ワイン用品種の比率が高くなりました。現在はおおよそ半々(僅かに白が優勢)で栽培されています。ワイン産業においての国際化も進み、近年ではカベルネソーヴィニョンや南ア独自のピノタージュ(ピノノワール×サンソ―)も有名です。
面積は日本の3倍弱ぐらいの南アフリカ。本州と同じぐらいの大きさである西ケープ州が最大のワイン産地となっており、おおよそ造り手の90%が集中しています。ワイナリーは539軒あり、小規模の生産者がワイナリーの設備を借りて、買いぶどうでワインを造るスタイルも盛んです。それらを合わせるとワイナリーの軒数は更に多くなるそう。
そして、ナンバーワンの栽培面積を誇るのはシュナンブランです。ひと口にシュナンブランと言っても多様性に富んでいて、酸が豊かなもの、甘味があるもの、樽熟成の有無、産地違いや、自然派、それこそトレンドのオレンジワインで造られたりもします。

コスパ最強と言われる南アワイン。物価も安く、港直結であることと、ヨーロッパからのルートより輸送コストが抑えられます。最近はかつての安価なワインより、中価格帯のワインの品質が見直されているそうです。日本の輸入数量は横ばいですが、単価は上がっているのだとか。アフリカ―のショップでも2,0003,000円のコスパ抜群のワインが主力です。それではお待たせしました。輸入元のおすすめワイン2選をいただきます。

1.ザ・フレッジ フックスティーン シュナンブラン 2018

¥2,530(税込)

アフリカーで見る

醸造設備を持たないワイナリーFLEDGEの白ワイン。夫がぶどうを買い付けて、妻が醸造するスタイルを取っています。クリアな外観からは柑橘やシーブリーズが香ります。乾いたテトラポットなどの石や岩に太陽が当たったようなニュアンスで、比較的、強い香りです。味わいは極ドライで甘味はなく、鉱物の力強さが感じられます。アフターには焼きナスにレモンを絞ったような、樽由来の何とも言えない芳ばしさがあります。十分な飲み応えのミディアムボディ。オーソドックスな南アのシュナンブランではありませんが、やみつきになりそうな予感です。

2.ボスマン アッパー・ヘメル・アン・アールド ピノノワール 2020

¥2,805(税込)

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みんな大好きピノです。こちらも明るく太陽のイメージです。スミレとハーブ、はじける黒系果実、インク、甘美さ漂うパワフルな香りです。やや酸は強いですが、アルコールのボリュームと果実味が上手く調和しています。「カルフォルニアワインとフランスワインの中間スタイルで、果実味がしっかりあるが、カルフォルニアのようにそこまでパンチはなく、フランスのように軽すぎない」 と小泉さんが仰せられる通り、南アワインの特徴がはっきりと感じられるワインです。お色気ムンムンのセクシー系でも、清楚なお上品系でもなく、元気いっぱいハツラツ系が醸し出す、健康美を感じました。少量で満足するのでゴクゴク飲むというより、一杯を噛みしめて堪能するのが良さそうです。

これからの南アフリカワイン

最近のトレンドでは、重くないスタイルのワインに需要があるそうです。昔は重めで造っていたグルナッシュやサンソ―などの赤ワインも、最近ではピノノワールのように軽やかに仕上げる傾向です。カリスマ生産者がライトなワインを提案したところ、他のワイナリーも追随しているのだとか。また、軽いスタイルで一躍有名になった造り手もいるとのこと。その他、気候変動で品種の多様化が進み、この10年で主要品種の中ではピノノワールとソーヴィニョンだけは、作付けが増えています。今までのメジャー品種ではなく、新しい品種を求め、新しいスタイルに挑戦する生産者も続々と出現しています。今後の南アが楽しみです!

今回は南アワインの“過去の歴史、現在とこれから”をお送りしました。進化し続ける南アワインに目が離せません!小泉さんの実店舗は、ワイン以外の食品も充実させ、アフリカ版のカルディを目指します。また、YouTubeではワインを通じて南アの魅力を発信されています。一度、ワインのアテに覗いてみてはいかがでしょうか。残暑が続きますが、良いワインライフをお楽しみ下さい。それでは皆様、ごきげんよう!

【YOUTUBE】ズボラ店主 – 小泉のワインと料理のペアリング劇場


365wine 大野みさき

ANA国際線CA7年の在職中にワインに魅せられ、その後は渡仏しワインの勉強をする。2014年に帰国し、翌月にワイン輸入会社365wine株式会社を設立。365(毎日)ワインを楽しんでもらいたいという想いからの社名。スロヴェニアワイン専門のインポーター。現在はママさんスタッフを含め3名で、買い付けから輸入販売、全国の業務店営業やイベントで、スロヴェニアの魅力を各地に広める活動をする。「貴方と大切な方の毎日を笑顔にします!」をモットーに、一緒に働いてくれる仲間を募集中!
【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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