
2022年10月01日
ワインセラーがない場合、ワインの状態を気にして冷蔵庫に入れてしまうことないでしょうか。ワインを冷蔵庫に入れては絶対ダメ!ということはありません。しかし、注意しなければいけない点があるんです。この記事では、ワインを冷蔵庫で保存してはいけない理由、ワインを保存するときのポイント、保存する際の注意点などをソムリエがご紹介していきます。ワインを上手に保存して、おいしく飲みましょう。
ワインを購入したけどすぐ飲まないときや、プレゼントに頂いたけどまだ飲んでないワインなど、保管場所に困ることありますよね。暑さにワインは弱いということを知っている方は、冷蔵庫にいれておけば安心と思う方も多いのではないでしょうか。
実は、ワインを冷蔵庫で長期間保存することは、おすすめしていません。理由は、冷えすぎてしまうことと、乾燥してしまうこと、振動が伝わることがあげられますよ。ワインは冷えすぎると、熟成がストップしていまいます。そしてコルクで栓をされているワインは、コルクが乾燥してしまい劣化が早まってしまうことも、ワインに振動が伝わることで劣化の原因にもなることがあるのです。
しかし、全てのワインが冷蔵庫で保存してはいけないというわけではありません。たとえば、長期間保存するのではなくすぐ飲むデイリーワインの場合、コルク栓ではなくスクリューキャップタイプ栓の場合などです。また、白やロゼは飲む直前にしっかり冷やすこともありますよね。赤ワインもものによっては、軽く冷やす場合があります。このように、長期間保存するワインでなければ、冷蔵庫保存も可能となるんですよ。
ワインは、とくに熱に弱いお酒です。そのため、常温で保存しておくと部屋の温度によっては、吹きこぼれたり、熱で劣化しワインがおいしくなくなってしまうことがあります。これらを防ぐために、ある程度の温度で保存することが重要になるのです。最適な保存方法は、ワインセラーになります。
基本的にワインセラーは、温度だけでなく湿度の管理もしてくれるものです。したがって、コルク栓が乾燥してしまい劣化につながることが少なくなります。また、ワインは振動や光にも弱いので、開閉の少なく暗いワインセラーは最適です。温度、湿度、振動、光などのワインに対する外敵を防ぐことで、おいしい状態で熟成ができますよ。
また熟成するためのワインだけでなく、デイリーワインもワインセラーでゆっくり眠るだけで、ワインが落ち着きおいしくなることもあるんです。このように、ワインにとって最適な保管場所は、やはりワインセラーが一番ということになります。
ワインは温度と湿度によっては、劣化のスピードを上げてしまいます。ワインセラーがない場合は、日の当たらない場所でなるべく温度変化が少ない場所で保管しましょう。たとえば、流し台の下、納戸、食品倉庫、地下室などでも温度、湿度が安定しているならばいいと思いますよ。しかし、そのような保管場所が見つからない場合は、野菜室がおすすめです。野菜室は、冷蔵庫よりも温度は高く、湿度もあります。新聞紙でワインを包み、湿度と温度を保ってあげて寝かしてあげるといいですよ。しかし、振動が伝わってしまうので、ドアの開閉には気をつけましょう。
ワインは、コルクの小さな穴から空気を吸い呼吸をしています。ワインは、呼吸をすることで、いい熟成ができるのです。したがって、ワインの側に香りが強いものがあると、ワインにその香りが移ってしまうことがあります。上記で、ご紹介した保管場所でも地下室のカビっぽい香り、防虫剤や湿気取り、芳香剤などの香り、強い食品の香りなどが近くにある場合は臭いがつかないように気をつけましょう。また、野菜室で保管する場合も、ニンニクやニラなど野菜や果物などの強い香りがあるものは近づけないように工夫したほうがいいですよ。
真夏の不在時だと、部屋の温度が30度以上になっていることもあると思います。また雪が降り積もる地域では、氷点下になってしまいワインが凍ってしまうことも。もしも保管場所が見つからない場合は、一時的に冷蔵庫に保管することも可能です。しかしその場合は、長期熟成を考えてではなく、すぐ飲むワインにしましょう。
白、ロゼワインはそのまま飲んでもいいですが、赤ワインは飲むときに、風味をしっかり楽しむために、温度を少し上げてから飲んでくださいね。もし数ヶ月以上保存したい場合は、ワインセラーの購入も検討してみるのもおすすめです。最近では、価格帯も1万円以下のものもあるので、気軽にワインを長期熟成できますね。
ワインは、「温度」「湿度」「光」「振動」「近くの香り」を注意して保管しましょう。とくに、温度、湿度、近くの香りはワインを飲めなくなるまでワインを劣化させれる場合があるので、気をつけることが必要です。ワインを開けたときに、残念な気持ちにならないように、おいしく飲むためにも保管場所を考えてあげましょう。
開封後のワインは、一度空気がワイン全体に入っているため、劣化のスピードが早くなります。そのため、劣化を止めるために冷蔵庫に保存しましょう。コルクやワインストッパーなどを使用し、再栓してくださいね。冷蔵庫に保存したからといって、劣化が止まるわけではありません。ワインのタイプにもよりますが、開栓後は、2日〜最低でも1週間くらいで飲み切ることをおすすめします。また、よりよい状態で保管したい場合は、ワイン内にある空気を抜き取るヴァキュバンやガス注入などの道具を使用することで、劣化のスピードがさらに遅くなりますよ。試してみてくださいね。
ワインを冷蔵庫で保存することは、絶対ダメというわけではありません。冷蔵庫で保存すると、熟成がストップしてしまう、コルクの乾燥、振動が伝わる、などのデメリットがあるので注意が必要です。すぐ飲む予定があるワインなら、冷蔵庫保存もいいですよ。しかし、長期熟成を少しでも考えているなら、ワインセラーで大事に保管してあげてください。おいしくワインを飲むために、少しだけ気を使ってあげてください。少しでもワインがおいしい状態で飲めると、幸せも倍増ですよ。
ソムリエ・チーズプロフェッショナル /
YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
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