
2022年10月01日
スパークリングワインは、スティルワイン(発砲なしのワイン)より開け方がむずかしいです。とくに、開けたら吹きこぼれてしまったという方は、多いのではないでしょうか。この記事では、スパークリングワインの基本的な開ける手順、開けるときのポイント、失敗してしまったときの対処法などを、ソムリエが詳しくご紹介していきます。スマートにかっこよくスパークリングワインを開けてみましょう。
スパークリングワインを上手に開けるコツは、温度、開け方、扱い方法など、さまざまな面で気を使わないといけません。また、ポンと大きく音がなってしまうのは、マナーとしては良くないことなんですよ。大きな音を立てず、拭きこぼすこともなく、上手にスパークリングワインを開けてみましょう。以下では、ソムリエが詳しく開け方をご紹介していますよ。
準備するものは、ナフキン、グラスのみです。ナフキンは、ワインボトルにかぶせて半分くらいまで覆えるような大きさがおすすめですよ。小さすぎると、手が滑ってしまい危険です。グラスは、もし吹きこぼれてしまったときに、すぐ注げるように側に用意しておきましょう。もし不安な方は、料理で使うボールを用意していてもいいかもしてませんね。
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Swanson – Studio 101 West Photography
スパークリングワインを開けるときは、「しっかり冷えていること」「衝撃を与えない、必要以上に振動を与えないこと」「恐れず勇気を持って開けること」の3つです。
冷えていることで、泡の吹きこぼれがある程度抑えられます。10度以下に冷えていると安心ですが、ワインセラーの適温である13度前後でも上手に開ければ吹きこぼれを防げますよ。
冷蔵庫から出すときは、ゆっくり静かに出しましょう。炭酸飲料と同様で、振動を与えることで吹きこぼれることが多くなります。なるべく衝撃や振動を与えないようにしましょう。事前に、冷蔵庫で冷やす場合は、寝かせるのではなくドアポケットで冷やすのがおすすめです。しかし、ドアポケットで冷やす場合は、ドア開閉時の振動に気をつけること、温度が高いので冷やす場合は少し長い時間冷やしましょう。
スパークリングワインのポンという音や、突然コルクが上がって来る感覚が怖い方もいると思います。しかし、そこは恐れず勇気を持って、吹きこぼれてもいいやくらいの気持ちで開けてみましょう。私の見解ですが、怖いなと思っている人ほど、失敗してしまう確率が上がる気がします。勇気を持って開けてみましょう!
ボトルをテーブルにおいて片手で固定し、反対の手でキャップシールを剥がしましょう。そのときに、なるべくボトルを動かさずに、自分の手でボトル近くを動かすようにするといいですよ。キャップシールは、下の部分は、剥がさず、上の部分だけを取り除きましょう。
キャップシールの下に隠れている、ワイヤーを緩めます。やさしく振動を与えないように、素早く緩めてください。ワイヤーを緩めた瞬間に、コルクが上がってきてしまうこともあるので、コルクの上部を押さえるように注意しましょう。
緩めたあとは、ワイヤーを外しても、そのまま付けていてもいいです。基本的には、ワイヤーを付けたまま開ける方法がスタンダードですが、ワイヤーが手にくい込んで痛い方や、開けるのに慣れていない方は外してもかまいません。しかし、ワイヤーを外す場合はナフキンをすぐボトルにかけ、コルクが上がってこないように押さえましょう。
コルクの上からナフキンをかけ、利き手をコルクの上部を押さえるようにボトルの口部分を手全体でおおい押さえます。反対の手は、ボトルの底を持ちます。回す部分は、コルクではなく、ボトルの底部分です。そのとき、ボトルを少し傾けていると開けやすいですよ。
回すときは、一気にではなく、ゆっくり落ち着いて回してきましょう。コルクが上がってきたら、コルクを上に持ち上げるのではなく、横に倒すようにして(奥に倒すようなイメージ)ガスを少しずつボトル内から逃していきましょう。こうすることで、ポンではなく「スーッ」という音とともに、スパークリングワインが開封できます。開けるときに、コルク部分を回してしまうと、一気にコルクが上がってきてしまい、吹きこぼれることがあるので注意しましょう。
スーッときれいに開いても、泡が吹きこぼれてしまうことはありますね。ひとつの原因に、傾けていたボトルをすぐ垂直に立ててしまうことがあげられます。開栓後は、ボトルが傾いているはず。そして、注ぎ口部分から煙のようなものが出ていることがあります。この煙が落ち着くまで、傾けたままにしておくことがポイントです。落ち着いたら、ボトルをテーブルに置き、ナフキンで注ぎ口を拭き上げて終了です。
スティルワイン(発泡していないワイン)を開けるとき、コルクが折れてしまった、ということあると思います。スパークリングワインもまれに、コルクが折れてしまうことがあるんです。原因は、コルク不良、冷蔵庫で長期間冷やしたことでコルクが乾燥した、開けるとき力が強すぎたなど、さまざまな理由が考えられます。
折れてしまったときは、ソムリエナイフでスティルワインと同様に開栓しましょう。折れたところに、ソムリエナイフのスクリューを挿して開けるだけです。しかし、スパークリングワインなので、ポンという音や吹きこぼれてしまうことはあります。もし、吹きこぼれが不安な方はシンクの中や、吹きこぼれても大丈夫なところで開けるといいですよ。
スパークリングワインを開けるときは、少し怖いなと思う方も多いと思います。実際に、私も最初は開けるのが怖かったです。しかし、ポイントとコツを掴んで、何度も開けていくうちに慣れてきました。手の小さい方は、ボトルを持つのも滑って怖いという方も。そんなときは、遠慮せず近くに開けてくれる人がいる場合は、開けてもらいましょうね。ポンと鳴らさず、吹きこぼれないように、丁寧にかっこよくスパークリングワインを開けてみましょう。
ソムリエ・チーズプロフェッショナル /
YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
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