
2022年10月01日
スクリューキャップのワインといえば、早飲みタイプのワインやお値打ちワインといった印象があるかもしれません。今ではワイン新興国のみならず、フランスの名門ワイナリーでも採用されるケースが増え、その認識は覆されつつあります。この記事では、スクリューキャップのメリットや意外と知られていない正しい開け方についてご紹介します。
ワインを密閉するための栓で、ネジ式金属製キャップのことをスクリューキャップといいます。側面にミシン目があり、ネジが切ってあるのが特徴です。仕組みはシンプルで、キャップとボトル双方のネジ山がかみ合うことで、しっかり閉めることができます。
ワインオープナーが不要で、開栓が容易。ワインを飲み残した場合でもワインストッパーを使う必要がなく、はずしたスクリューキャップで再栓が可能です。また、酸素透過量がごくわずかなため品質を維持しやすく、コルク栓特有のブショネと呼ばれるコルク臭が発生することもありません。
コルク栓は、伝統的にコルク樫の木の皮からつくられます。コルク栓のワインを保存する際は、コルクの乾燥を防ぐため寝かせた状態で保存するのが基本ですが、スクリューキャップの場合は立てた状態で長期保存が可能。また、コルク栓のように、抜栓の途中でコルクが割れたり、ボトルの中にコルク片が落ちてしまったりといった心配も無用です。
スクリューキャップが初めてガラスのボトルに導入されたのは、1926年のこと。1960年代になると密封性の高いスクリューキャップが開発されるようになり、ワインボトルの栓として使われるようになったのは1970年以降です。
特に、スクリューキャップの開発・普及に力を注いだのは、オーストラリアやニュージーランドといったワイン新興国。ワインの栓といえばコルクが主流です。が、ポルトガルや地中海沿岸地域で生産されていた良質なコルクの大半は輸出先が決まっており、ワイン造りが遅かった新興国では入手しずらかったことも理由です。
そのため、コルク栓の代用としてスクリューキャップの開発が進み、現在ニュージーランドでは99%以上のワインにスクリューキャップが採用されています。さまざまなメリットがあるスクリューキャップの評判はヨーロッパにも伝わり、伝統あるフランスのブルゴーニュやボルドーの名門ワイナリーでも導入するケースが増えています。
スクリューキャップは開け方が簡単。とはいっても、キャップの上のほうだけを回すのはNGです。意外と知られていませんが、スクリューキャップには正しい開け方があります。この機会に、3つのステップを覚えておきましょう。
一方の手でキャップのミシン目より下の部分を握り、逆の手でボトルの底部分をもちます。
キャップ部分をもつ手を固定しながら、底部分をおさえたほうの手でボトルを時計回りに回します。
カチッと音がしたらミシン目が切れた合図。キャップを反時計回りに回すと開栓できます。
※ミシン目に手をかけてしまうと、ケガをする恐れがあるのでご注意ください。
スクリューキャップが空回りして開かない……。そんなときはショックのあまり、ハサミやナイフを使って開けようとしがちですが、開かない場合は無理に道具を使って開けようとせず、輸入元や購入店に問い合わせてみるのがおすすめです。ぜひ、スクリューキャップの正しい開け方をマスターしてくださいね。
鮮やかな手つきでコルクを抜栓するのも素敵ですが、回して開け閉めできるスクリューキャップのワインはやっぱり便利。手軽に楽しみたい家飲み用はもちろん、ワインオープナーがあるかどうかわからない友人宅に持ち込む場合などにも重宝します。スクリューキャップを採用するワインは増加傾向にあり、上手に活用して楽しんでくださいね。