2022年10月01日

ボジョレーヌーヴォーも値上げ?価格高騰の理由を解説

さまざまな商品の値上げが相次ぐなか、2022年11月に解禁となるボジョレーヌーヴォーの値上げも各社から発表されています。この記事では、2022年のボジョレーヌーヴォーの価格に関する大手輸入販売業者の動向や、ボジョレーヌーヴォーの値上げの原因を解説します。

2022年のボジョレーヌーヴォーは軒並み値上げ

ショップに並ぶワインボトル
iStock.com/Nadya So

2022年は、食品をはじめとする多くの商品・サービスで値上げラッシュが巻き起こっています。11月の解禁が待望されるボジョレーヌーヴォーも、例外ではありません。2022年に販売するボジョレーヌーヴォーの値上げを、すでに公表している輸入販売業者もあります。ここからは、大手輸入販売業者が2022年に販売するボジョレーヌーヴォーの価格動向を見ていきましょう。

サントリーは過去26年間のうち最高価格に

サントリーは2022年に販売するボジョレーヌーヴォーの小売価格について、昨年の1.3~2.2倍になることを発表しました。具体的には「ジョルジュ デュブッフ ヌーヴォー 2022 セレクション ド デュブッフ」のフルボトル(750ml)が昨年の2,728円から3,850円に、ハーフボトル(375ml)は1,430円から3,080円に値上げされます。同社が取り扱うボジョレーヌーヴォーとしては過去26年間でもっとも高価格となるそうで、1,000円台から3,000円台への大幅な値上げに、思わず目を見張ります。

しかしサントリーは、値上げの波を甘んじて受け入れているわけではありません。ボジョレーヌーヴォーのアイテム数を絞り込むことで製造効率を高める、一部商品にガラス製の瓶よりも軽いペットボトルを採用するなどの策を講じて、可能なかぎり価格を引き下げる努力をしています。

キリンビールは安定供給を最優先に

キリンビールから販売されるボジョレーヌーヴォーの価格は、フルボトルで昨年の2,120円から4,310円の約2倍に引き上げられます。生産・輸送体制を整え、商品の安定供給を最優先するため、同社は販売するボジョレーヌーヴォーを「アルベール・ビショー」のフルボトルとハーフボトルの2アイテムに限定しました。航空運賃の高騰を考慮し、どちらの商品もペットボトル容器で販売します。

2022年のボジョレーヌーヴォーを取り扱わない業者も

大量にワインを仕入れる大手企業であれば、包材の変更やアイテム数の削減である程度価格をおさえることができるでしょう。しかし小規模のワイン輸入卸売業者のなかには、値上げに抵抗できず、2022年のボジョレーヌーヴォーの販売をやむなく中止するところもあります。

一般的なワインは船便で日本へ輸入されますが、ボジョレーヌーヴォーに限っては解禁日当日に消費者の手に渡るよう、例年航空便で輸入されています。しかし今年は航空便での安定した輸送が保証できず、解禁日に販売できないリスクがあるのです。さらに価格が高くなりすぎて適正価格で提供できない、販売数の伸びが期待できない、といった点も販売中止の理由に挙げられます。

ボジョレーヌーヴォーが値上げされる理由

木樽の上に置かれたブドウと赤ワインが入ったふたつのワイングラス
iStock.com/Rostislav_Sedlacek

ボジョレーヌーヴォーの値上げには、さまざまな要因がからんでいます。昨今の日本をにぎわせている円安の影響はもちろん、現地の生産者価格が上昇して、商品そのものの値段が上がっていることも要因に挙げられるでしょう。しかしもっとも大きな理由は、ロシアのウクライナ侵攻にあると考えられます。

ウクライナ侵攻の影響

2022年2月末にロシアによるウクライナ侵攻がはじまり、一般の航空機によるロシア上空の飛行が制限されました。日本とヨーロッパを結ぶ空路はロシア上空を横断するルートが最短ですが、ロシア上空を迂回する必要が出てきたのです。航空機の飛行時間が延びるため、必要な燃料の量が増えます。ただでさえ原油高により値上がりしている燃料費が、迂回分もプラスされて運賃にのせられてしまうのです。

航空機内により多くの燃料を積むスペースを確保するには、貨物の搭載量を減らさざるを得えません。一度の飛行で運べる貨物の量が限られてしまうことに加え、迂回ルートは便を減らして運行されており、多量の貨物を輸送することが難しくなっているのです。

包材の供給が不足

瓶やキャップといった包材の供給が間に合っていないことも、ボジョレーヌーヴォーの値上げに関係しています。包材の製造に必要な原油の価格が上がっていることが、包材不足の原因です。脱炭素化の動きや、コロナショックからの景気回復により原油の需要が急増したことなどが、原油高の原因と考えられています。

さらに、ウクライナ侵攻が原油高に拍車をかけます。各国から経済制裁を受けて、世界的産油国であるロシアが原油の供給を止めるかもしれないという不安感が、原油価格の高騰を後押ししているのです。

ボジョレーヌーヴォーの値上げは回避できない?

包装資材に包まれた赤ワインのボトル
iStock.com/Tverdohlib

世界情勢に原因が見られるボジョレーヌーヴォーの値上げは、もはや回避する手段がないように思えます。しかし、空路ではなく海路を利用することで、値上げの影響を最小限に食い止めようとしている企業があります。

サッポロビールは、ボジョレーヌーヴォー商品として取り扱う8アイテムのうち高価格帯となる2アイテムは、航空運賃の上昇を回避するため船便で輸入することを決定しています。そのため該当する2アイテムの発売は、2023年1月下旬となる見込みです。同社は2022年のボジョレーヌーヴォーの値段をオープン価格としているため、どの程度値上げをおさえられるかは不明です。フレッシュな味わいが特徴のボジョレヌーヴォーにもかかわらず、発売が2ヶ月先になってしまいますが、この状況ではやむを得ないと言えるでしょう。

ボジョレーヌーヴォーの値上げ回避はむずかしい

赤ワインが入ったワイングラスを当てて乾杯する
iStock.com/globalmoments

企業努力はうかがえるものの、各社から販売される2022年のボジョレーヌーヴォーの値上げは避けられません。今年は、ボジョレーヌーヴォーを手放しに楽しむことはむずかしそうです。しかし生産者が心を込めて作り、輸入業者ができる限りコストをおさえて日本へ持ち込んだボジョレーヌーヴォーです。一度でもよいので、味わいを確かめてみてはいかがでしょうか。


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