
2021年02月15日
皆様こんにちは、インポーター365wineの大野みさきです。 昨今、若者の間では空前のナチュラルワインブームです。彼らにとってのナチュラルワインとは?どんな子がどんなワインをどのように楽しむのか。今日はこの流行の背景を探っていきましょう。
今回お話を伺ったのは、東京のナチュラルワインとオーガニック食材のお店、essentia(エッセンティア)のオーナーのユキトさんです。ユキトさんは元々、食に興味がありホンモノで美味しい食材を追求し続けたところ、今や店内には生産者こだわりの逸品が、ところ狭しと並ぶようになったのだとか。そんな食通でもあり、ナチュラルワインにも精通しているユキトさんを取材しました。
「ここ4年でワイン購入層の変化をとても感じています。20代前半の若い女性がワインを買いに来ます。最年少は卒業間近の大学生、またアラサーの方がおひとりでワインの試飲会などに来られます。以前はなかったことですね」と、ユキトさんは言います。
どんな方が来店されるのか伺うと、「そこそこ経済的に不自由していない大学生が、自分の頃では考えられなかったような良店に足を運びます。本質的に質が高くて良質で、その結果、美味しいものにお金を使う傾向です。彼らはフォロワー1万人を超えるインフルエンサーであったりもして、影響力を持ちつつ食への意識も非常に高いです」とのこと。なるほど、飲み食いの質に、価値をおいている子達ですね。
次に最近のナチュラルワインブームのきっかけを伺うと、「デジタルネイティブではありませんが、ナチュールネイティブのような、自分が飲んできたワインを知ってか知らずか、“ナチュールから入りました”という方が多いですね。また、以前と比べてナチュールを扱う飲食店が増えてきたこともあり、接する機会が大幅に増えたこともブームを後押ししているように思います。そして、何よりも絶大な影響があるのがInstagramです。最近の若者はFacebookを使っていません。彼らの情報源はTVやGoogleなどの検索エンジンでもなく、もっぱらInstagramです。写真や動画が並ぶプラットフォームは、わかりやすくて、ワインも見つけやすいです。インフルエンサーの影響もあって、そこで見つけた“良いもの”を追いかけているイメージです。自身の体験とか印象に残ったワインで、「これ、ください」 とスマホの写真を見せてくる子が多いです」というのです。へえ~、ナチュラルワイン世代の誕生は、レストランなどの提供場所の増加も追い風となっていて、ブームはごく自然な流れのようですね。
そして、「ナチュラルワインにはオリジナリティあふれるエチケット(ラベル)が多く、それこそ見た目で気に入って、ジャケ買いされる方も多いです。彼らはクラッシックな造り手だからとか、金賞を受賞したとか、お偉いさんの評論家が高得点を付けたとかは関係ありません。デザイン性のあるオシャレなワインを自身の感性やセンスに従って選んでいます。繰り返しSNSで見ているので、ダミアン、レ・コステ、ラ・カステッラーダなども、彼らは既に知っていますよ」とも仰っていました。とても自由で素直なワイン選びですね。私がそれらの生産者を知ったのは30代前半だったのにー!
「若者はどんなタイプのワインを好まれますか?」との問いには、「彼女らは“飲みやすさ”と言いますが、スムーズな飲み心地のものが多いかもしれません。フルボディなどの重いワインではなく、ましてや伝統やブランドでもありません。堅苦しくないワインを好みます。そんなワインは専門知識不要で、仲間とフレンドリーに飲めます。Instagramのストーリーでよく見かけるのが、友人とワインやおつまみを持ち寄って楽しんでいるシーン、食とワインを一緒に楽しむというコロナ禍においての家飲み需要ですね。そんな若い子の楽しみ方がSNSで拡散され、今や家飲みが日常となり、そこに流行がかけ算となって、今だかつてないほどの広がりを見せています。ワインと食を楽しむことが身近になりました。ワインショップやレストランもそこに連動している感じです」と。そんな飲み心地が重視の新世代。気軽なワインで楽しそうにしている投稿が出てきたら、思わず “いいね” を押してしまいますね。
ユキトさんに今、若者に飲んでもらいたい、おすすめナチュラルワイン3本を選んで頂きました。若者は、「これ知ってる~」で買う世代です。例えば、イタリアはエミリア・ロマーニャ州の微発泡ワイン【イル・ファルネートのフリザン・ビアンコやシャンドン・ビアンコ】は、現在、若者に圧倒的な支持を集めているそう。店頭に並べると即売り切れる人気ぶりなのだとか。このワインのコスパには、おそらくどのワインも勝てないであろう最強のワイン!モジャ頭のポップなエチケットは、一度見たら忘れないであろうインパクトもあり、SNSでは確実に映えます。もはや既知の存在なので、そうではない、まだ知名度はそんなにないけれど、ぜひ押さえておいて欲しいワインを選んで頂きました。
■ポルタ デル ヴェント ヴォリア・オレンジ2021
3,200円(3,520円)
ワイナリー名、“ポルタ デル ヴェント”は風の扉の意。シチリアのビオディナミワイン。カタラット、グリッロを軽く醸しているオレンジの微発泡ワイン。透明な泡は飲み慣れているので敢えてオレンジの泡をすすめる。果実味が豊か。食事と合わせる幅も広く、白身肉のポークやチキンなど脂を使ったお肉ともよく合う!エチケットはゴブレ(株仕立て)のイメージ。
■マルコ コリッキオ デリカ ビアンコ2021
2,400円(2,640円)
所有畑1.5ha(生産本数6,000本)、 輸入されて1年足らずにも関わらず、即完売する大人気ワイン。醸し3日の優しい薄オレンジ。ローマ郊外ラツィオ州のマルヴァジア・プンティナータを使用。渋味はほぼ無い、深みや豊かさがある、白ワインよりのオレンジワイン。そこまでアロマティックではないので、和食との相性も良く、しみじみと旨いやつ。飲み疲れしないのも嬉しい。価格もお手頃なのでリピーターも多い。
■パラッツオ トロンコーニ WTF ロッソ ビオディナミコ
2,400円(2,640円)
こちらもローマ近郊で造られ、輸入がはじまったのも最近。薄旨と思いきや、程よいボディ感と果実味があって大満足の1本。レチナロ、ウリヴェッロ、シラーをブレンド。バランスも良く、コスパ最高!1Lボトルなのでチーズ、生ハム、唐揚げをつまみながらみんなでワイワイやりたいやつ。流行に敏感な若者もまだ知らないであろうとっておきのワイン。入手困難になる前に試したい。
ソニーやオムロンなど世界的な大企業の事例も掲載されている「実践パーパス経営」という書籍では、ナチュラルワインのインポーター・ヴィナイオータさんが「“造り手の想い“も輸入する」という経営スタンスが取り上げられたりする一方で、独自のセンスをもって、オリジナルグッズやファッションセンスなどを絡めたブランディングで若者を魅了するようなインポーターもいらっしゃるようです。造り手や輸入元の想いに共感したり、オリジナリティ溢れるセンスの良さに敏感に反応したりして、インポーターでワインを選ぶ若者もいるのだとか。輸入元としては嬉しい限りです。
今日は若者のナチュラルワインブームについてお送りしました。若者でない方も「ナチュールが飲みたい!」と思ってくださったら、私の思惑の通りです。それでは皆様、ごきげんよう!
365wine 大野みさき
元ANA国際線CA。7年の在職中にワインに魅せられ、その後は渡仏しワインの勉強をする。2014年に帰国し、翌月にワイン輸入会社365wine株式会社を設立。365日(毎日)ワインを楽しんでもらいたいという想いからの社名。スロヴェニアワイン専門のインポーター。現在はママさんスタッフを含め3名で、買い付けから輸入販売、全国の業務店営業やイベントで、スロヴェニアの魅力を各地に広める活動をする。「貴方と大切な方の毎日を笑顔にします!」をモットーに、一緒に働いてくれる仲間を募集中!
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