
2022年11月16日
ワインにはさまざまな魅力がありますが、ラベルもそのひとつです。たかがラベル、されどラベル。むしろラベルは、ワインの顔といっても過言ではありません。ラベルデザインには、造り手の哲学や美意識が反映されます。時にはラベルからワインの印象を読みとることだってできます。殺風景な部屋で飲む紅茶よりも優美な絵画を眺めながら飲む紅茶の方が味わい深く感じるように、こだわりのラベルを眺めながらいただくワインは格別です。最近ではワインを “ジャケ買い” する人も増えていると聞きます。数多あるワインの中から1本を選ぶ決め手になるのは、案外ラベルデザインだったりするものです。
しかし、当たり前ですがラベルはボトルにぴったりと糊付けされています。飲み終わったら宿主のガラス瓶とともに資源ゴミに出されてしまう運命です。心を撃ち抜かれ、半ば “恋” にも似た気持ちで手に取ったラベルだってあるでしょうに……それじゃあ、あまりにももったいない!
ということで、今回はワインを飲み終わったあとのラベルの保管方法について。「ワインのジャケ買いは好きだけど、ラベルの保管はまだ試したことがない」という方は、今日から一緒にラベルの保管にチャレンジしましょう!
ラベルを保管するために最も重要なのは、ラベルをはがさなければならないということです。できることならボトルごと並べて保管しておきたいところですが、残念ながら空間は有限です。ボトルはホコリがたまってしまうから手入れも大変だし、何よりリサイクル可能な貴重な資源ですからね。ラベル保管の第一歩はラベルをはがすこと。とにもかくにも、そこから始まります。
世の中には実にさまざまな便利グッズが出回っていますが、ワインのラベルをはがすための専用シールもちゃんと用意されています。例えばWINEXのワインラベルレコーダー。仕組みは簡単で、ワインラベルの上から透明のシールを貼り付けてよくこすり、ラベル表面がシール側にしっかりとくっついたところで “はがしとる” というもの。商品ページをご覧になるとおわかりになるかと思いますが、ラベルを綺麗にはがすのではなく、あくまで印刷された表面部分を強粘着のシールで “はがしとる” 商品です。はがしたシールを台紙に戻せば、ビニールコーティングされた状態でラベル表面のデザインを綺麗に保管することができます。
WINEX ワインラベルレコーダー (12枚入) ZW500NS
しかし! しかしです。何を隠そう、超がつくほど不器用な私はこういったラベルはがし専用のシールで、綺麗にラベルをはがしとれた経験がいまだかつてありません……。クチコミでは「綺麗にはがせた!」という声が多いので、商品が悪いわけではなさそうです。それはわかっているのですが……こすり方が悪いのか、はがし方が悪いのか、何度やってもうまくいきません。お気に入りのラベルを何枚か犠牲にしたあと、不器用な私には向かないんだと泣く泣く諦めました。
でも悲嘆に暮れるのはまだ早いです。方法は他にもあります。
ラベルはがしシールと相性が悪い人だって少しの工夫と根気さえ発揮できれば、まあまあ綺麗にラベルをはがすことができます。メジャーな方法は二つ! 「水につける」か「温風を当てる」かです。
冷蔵庫で冷やしたワインを飲んでいたらボトルに結露が発生し、ラベルがしわしわになった経験がある方も多いのではないでしょうか。このように、ワインラベルの糊付けに使われる糊の種類によっては、水にとけてはがれやすくなるのです。史上最大のワイン偽造事件を取り扱ったドキュメンタリー映画「すっぱいブドウ」の中でも、ワインの偽造をたくらむ犯人が高級ワインのボトルを水にひたしてラベルをはがそうとしていた現場が映し出されていました。「水につける」は昔から使われてきた、ラベルはがしの王道 というわけです。
コツは、水につけてふやけたところで取り出し、そのままよく乾燥させること。無理にはがそうとするとビリッと破れてしまいます。水につけては乾燥させ……をくり返すと、あるタイミングでペリっとはがれてくれます。ただし、糊によっては水にとけない場合があったり、はがれたとしても印刷面がぼろぼろになってしまったり……といったデメリットもあるので注意が必要です。
ドライヤーで温風をあて、糊が柔らかくなったら少しずつ根気強くはがしていく方法です。この方法がもっとも成功率が高いと感じています。どんな糊でも割と失敗なくはがせるので、個人的には一番オススメです。コツは、横着せずに着実に進めること。少しずつ温風をあて、少しずつはがす。糊はすぐに固まってしまうので、少しずつ進めることが本当に大事です。欲張らずに、コツコツと……! ドライヤーの温風でボトルが熱くなることがあるので、火傷には十分注意してください。また、ラベルが燃えてしまう危険もゼロではないので、温度が上がりすぎないよう十分距離をとって風を当てるようにしてください。
うまくラベルをはがすことができたら、あとは適切に保管するだけ! いつでも好きな時に見返してお気に入りのワインの味を懐かしむことができるように、ファイリングしておきましょう。
ラベルはがしシールをうまく扱える方には専用のバインダーが用意されています。例えば、上でも紹介したWINEXの商品はリーズナブルでオススメです。シールを使ってラベルをはがしたらそのまま台紙に貼り付けてバインダーにファイリングできます。台紙にワインの名前や飲んだ日付、価格などの情報を書いておけるのも便利です。
専用のラベルバインダーも良さそうだけど……はがしたラベルをもっと自由に肩肘はらずにぺたぺた貼り付けたい! という方には、マルマンのスケッチブック(クロッキー帳)がオススメ。最近はお洒落なデザインが増えてラベルの形やサイズも多様化していますから、一定の規格にそって管理するよりも遊び心をもって自由に管理した方がしっくりくるんです。私はマルマンのスケッチブックのMサイズ(型番:SM-02)を使っています。罫線や枠線のない真っ白で大きなページが、どんな形、サイズのラベルでも寛容に受け入れてくれますよ。
実際に貼り付けるとこんな感じ! ほら、サイズも形もバラバラでしょ。ラベルですらないものもありますが、こういう形状でも自由な発送でぺたぺた貼り付けられるのが真っ白なスケッチブックのいいところ! もちろん余白にメモを書き込むのもありです。私はめんどくさがりなので何も書かない主義ですが……笑。
さて、ここまで「ラベルをはがす」→「ファイリングして保管する」という流れで話してきました。しかし、中には “はがせないラベル” もありますよね。具体的には次のようなケースです。
1. どんなに頑張ってもラベルが綺麗にはがせない or ボトルに直接柄が印刷されているワイン
2. お店やワイン会で出会ったため、ラベルをお持ち帰りできないワイン
3. 思い出深くてボトルごと保存しておきたいワイン
特に2のケースが多いと思います。自分用に買ってしまえばいいのですが、レアなワインだったり価格が高かったり……いろいろな事情でそういうわけにもいかないケースってありますよね。とりあえずスマホでボトルの写真をとって良しとしがちですが、せっかくならラベルコレクションに加えたいじゃないですか。
そんな時私は、こんな風に解決しています。写真右下にご注目。
そう、チェキ(ポラロイド写真)! チェキじゃなくてもいいんですけど、チェキだとさっと印刷できるし余白にメモを書き込めるし、メリットが多いのでチェキを使っています。
「チェキを持ち歩くの、大変じゃない……?」と思われるかもしれません。私が使っているのは印刷機能だけ(カメラ機能なし)の「チェキ スマホプリンター」です。スマホとBluetoothで接続して、カメラロールの写真をチェキのフィルムに印刷できるという商品。スマホでパシャパシャ撮っておいて、後からフィルムに焼き付けてラベルコレクションに追加する……という流れです。忘れたくない思い出のワインをラベルコレクションに追加することで大きな満足感が得られます。ちょっと割高ですが、オススメです。
富士フイルム チェキ スマホプリンター instax mini Link2
今回はワインラベルの保管方法について、グッズや私が実践しているやり方を紹介しました。参考になりましたでしょうか。ラベルを見返すと「こんなワイン飲んだな〜!」と思い出すきっかけにもなり、そのワインの最新ヴィンテージを探してもう一度買ってみる……なんてアクションにつながることもあります。そうやってワインの楽しみが広がっていくのって、とても素敵なことですよね。皆さんもぜひ、ご自身と相性のいい方法でラベルと向き合ってみてください。
吉田すだち ワインを愛するイラストレーター
都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定
ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi