2020年06月17日

【オンラインワイナリーツアーの魅力】山梨「くらむぼんワイン」最新ヴィンテージをシェフのレシピとともに味わう

数年前フランスを旅行した際、せっかくならばと現地のワイナリーを訪れました。そこで見たブドウ畑の美しさ、試食させてもらったブドウの甘さ、肌で感じた熟成庫の冷んやりとした空気、受付で爽やかに「ボンジュール!」と挨拶をしてくれた看板娘の笑顔…全てが今でも色あせず、それらを思い返しながら飲むワインは、ひと際おいしく感じられるのです。ワイン好きにとってワイナリーツアーとは、ワインを心ゆくまで堪能するための最高の調味料なのだと思います。

ただ、実際そう頻繁には出かけられません。海外はもちろんのこと、国内のワイナリーであっても都心から離れた場所にあることがほとんど。時間とお金に制限がなければいくらでも足を運べますが、現実はそうはいきません。さらに今年は新型コロナウイルスの影響で県をまたぐ移動が難しい状況に。ワイナリー側も一時的に見学ツアーを中止するケースが多いとのこと。ますますワイナリーツアーから足が遠ざかってしまっています。

しかし最近になって、一筋の光がさしこみました。それがオンラインワイナリーツアー!ワイナリーに行きたくてもいけない私たちにとって、まるで救世主のような存在です。今回は、オンラインワイナリーツアーの魅力をお伝えしつつ、実際に私が参加した山梨「くらむぼんワイン」のWinomyイベントについてレポートします。

オンラインワイナリーツアー3つの魅力

1. 自宅でくつろぎながら参加できる

手持ちのパソコンやタブレットに「Zoom」等のWeb会議ツールをインストールすれば、誰でも簡単に参加可能。移動の必要がないので時間も交通費も節約できます。県外への移動が難しい状況下でも全く問題なし!
※WinomyのオンラインイベントはZoomを利用

2. 生産者さんと双方向にコミュニケーションがとれる

ワイナリーからLIVE中継されるので、ワイナリーの方の声をリアルタイムに聞くことができます。こちら側からチャットを通じて質問をしたり感想を伝えたりすることも可能。それに対してワイナリー側から返事をもらうこともできます。

3. 自分のペースでワインを味わいながら見学できる

予めワインが自宅に届きます。飲むタイミングやペースは自分次第。イベント中は真剣に話を聞いて終了後にゆっくりワインを楽しむのも良いし、ほろ酔い気分でリラックスしながら見学するのもあり。つい飲みすぎてしまっても、自宅なので安心です。
※イベントによっては自分でワインを用意するケースもあり

オンラインワイナリーツアーで気になるワイナリーに出会ったら、将来時間ができた時、実際にそのワイナリーを訪問する楽しみも増えますよね。

山梨「くらむぼんワイン」オンラインワイナリーツアー

それでは、私が実際に参加したオンラインワイナリーツアーについてレポートします。今回参加したのは、山梨県は勝沼町祝地区にある「くらむぼんワイン」さんのイベントです。かかった費用は5,500円。ツアー参加費と2本分のワイン代に加え、消費税と送料も含まれている金額なので、かなりリーズナブル

届いた2本のワイン

左から)
あじろん(やや辛口)2019
主に山梨県で栽培されているブドウ品種「アジロンダック」を使った赤ワインです。ラベルのイラストはワインの味わいをイメージして描きおこしたのだそうです。このラベルのあじろんは現在ワイナリー現地販売のみとのこと。希少価値の高いボトルをゲットできました。

N甲州 2019
くらむぼんワインさんのフラッグシップシリーズの最新ヴィンテージです。イベント当時はまだ未販売。市場に出回るよりも一足早く味わうことができました(現在はくらむぼんワインのオンラインショップ等で購入可能)。

オリジナルのマリアージュレシピ

今回、ワインと一緒に“マリアージュレシピ”が同封されていました。東京、広尾にある一軒家レストラン「広尾ぺりかん」の佐野シェフが、くらむぼんワインとのマリアージュを研究して作ったオリジナルレシピ。イベントにはシェフも登場し、お話してくださるとのこと。期待に胸が高鳴ります。


当日は届いたワインを抜栓してスタンバイ。マリアージュレシピの料理を用意した方も多くいたようです。私はとりあえずワインだけ、お料理はイベント終了後に作ってその日のディナーとして楽しむ計画にしました。

用意ができたらパソコンでZoomを立ち上げ、いよいよツアーに参加です。

オンラインワイナリーツアー開幕!

導入

まずは参加者全員で乾杯タイム!離れていても一体感を感じる素敵な瞬間です。
※もちろん、ワインを飲まなくてもOK。雰囲気だけを味わうのも楽しいものです。

続いて、事務局からのアンケート。Zoomを使ったイベントでは、パソコンやタブレットの画面上で簡単にアンケートが取れます。今回は「くらむぼんワインを飲んだことはありますか?」というアンケートに対し、「はい」と「いいえ」がちょうど半々くらいに分かれました。くらむぼんワインのファンという方もいれば、初めて飲んでみるという方もいる状況。

いろいろな立場の方が参加していることがわかると、なんだかホッとしますよね。かくゆう私も実は初体験組。くらむぼんワイン初心者として参加させていただきました。

オーナーによるワイナリー紹介

お次は、オーナーの野沢たかひこさんによるワイナリー紹介です。まずはブドウ畑から中継。シャルドネの畑とカベルネ・ソーヴィニヨンの畑を見学させていただきました。ブドウ品種によって葉の形や樹勢に違いがあることを自分の目で確かめながら、野沢さんのお話に耳を傾けます。

当日、頭上は曇り空でしたが、生き生きと芽吹くブドウの樹からはとても力強いエネルギーを感じ、観ている私たちの心は非常に晴れやか。まるで現地で深呼吸をしているような、おだやかな心地良さに包まれました。

次に案内されたのは、樽貯蔵庫。熟成タイプのワインを木樽で発酵させている場所です。室内は少し暗く静謐で、画面越しにワインの呼吸が伝わってくるかのよう。フレンチオーク樽で50樽ほど安置されているそうです。

途中Zoomのチャット機能で「アメリカンオークではなくフレンチオークを使うのはなぜか」という質問がとぶと、野沢さんから「フレンチオークは樽特有の香りが控えめで繊細な日本ワインとの相性がよく、バランスよく樽の風味をつけることができるのです」と回答が。こういうやり取りをリアルタイムで見るのも、オンラインワイナリーツアーの醍醐味です。

お次は地下セラー。100年ほど前に手掘りで造られた、歴史ある施設なのだとか。温度管理は特にしていないにもかかわらず、室温は1年を通して10〜20度でほぼ安定しており、昔はブドウの貯蔵に使われていたそうです。海外のカーヴを彷彿とさせるロマンチックな場所でした。

その後、ワイン造りの歴史資料やコルクの型抜き機が展示されているサロンコーナーを見学しつつ、築130年にもなる日本家屋の母屋へ移動。和の趣きが心を和ませてくれます。こちらの御座敷で、野沢さんによるワインテイスティングを拝聴しました。

オーナーによるワインテイスティング

あじろん(やや辛口)2019
● 醸しを短めにしてフレッシュさを楽しめるように仕上げた1本
● ボンボン飴のような心はずむ甘い香りが特徴的
● 酸もバランスよくきいており、甘すぎずにやや辛口に仕上がっている

N甲州2019
● 柚子やカボス等の柑橘系のニュアンスを感じる
● スキンコンタクト後にフレンチオーク樽で発酵させており、樽由来の香りも感じられる
● 旨味もしっかりと感じられ、心地よく長い余韻が特徴的

ワイナリーオーナー直々のテイスティングコメントを聴きながらそのワインを飲むというのは、なんとも贅沢です。

シェフによるマリアージュレシピ解説

ここでバトンは、マリアージュレシピを考案した佐野シェフへ。ワインに同封されていたレシピを眺めながら、シェフの解説に耳を傾けます。プロ直伝のアドバイスを聞き、調理のモチベーションがグッと高まりました。実際に作ってみた様子は後ほど…。

質疑応答タイム

一通り見学と解説が終わったら、質疑応答へ。事務局から質問がある人へマイクが渡され、実際にオーナーやシェフと会話をしながらお話を聞くことができます。声を出すのはちょっと…という場合はチャットで質問を送る形でもOK。ここでは恥ずかしがらず、思いきって質問を投げかけるのが楽しむコツです。オーナーとシェフは、どんな質問に対しても丁寧にこたえてくださいました。

ちなみに、今回はオーナーの野沢さんから参加者に対して逆質問が!「今回のツアーの感想などをぜひ聞かせて欲しい!」というオーダーに、参加者の皆さんがマイクをオンにしてこたえていました。これぞ双方向コミュニケーション!イベントなとても和やかな雰囲気で幕を下ろしました。

最後にワインボトルを掲げて記念撮影(スクリーンショット)!楽しそうな雰囲気、伝わりますか?

マリアージュレシピ実践

オンラインワイナリーツアーはこれにて終了ですが、最後に、今回のマリアージュレシピを実際に作ってみた様子をご紹介します。レシピは「あじろん」用と「N甲州」用の2種類が用意されていたので、二晩に分けて作ってみました。

第一夜:N甲州×カルパッチョ

盛り付けセンスが壊滅的ですが…味は最高に光っていました。N甲州との相性も抜群。N甲州の柑橘系のニュアンスに、柚子胡椒、ピンクグレープフルーツがよくあいます。旨味の豊かなワインなので、ただのカルパッチョではなく昆布締め風。家庭で昆布締めは少し手間がかかるので、塩昆布で代用。さすがシェフ、素晴らしいアイディアです。

第二夜:あじろん×ハンバーグ

前日の反省を生かし、少し盛り付けに気をつかってみました。あじろんはオーナーのテイスティングコメント通り、とても軽やかな甘い香りが特徴的。私は味わいにも豊かな甘みを感じました。対するハンバーグのソースはバルサミコ酢×赤ワイン×カシスリキュール。豊かな酸味の中にほんのり甘さを称える絶品ソースです。このソースとあじろんの相性がバッチリで、まさにマリアージュ。あまりの美味しさに翌日も同じメニューを楽しんだことはここだけの話…。

最後に

実際のツアー時間は1時間半ほど。そこにギュッと濃い内容が詰まっていて、あっという間でした。しかしせわしない印象はなく、ワインを愉しみながら終始リラックスして参加することができました。イベント終了後のマリアージュレシピ実践の時間も非常に楽しく、想像以上に堪能することができたのでした。皆さんもぜひ、次回のWinomyオンラインワイナリーツアーに参加してみてくださいね!

 


吉田すだち ワインを愛するイラストレーター

都内在住の、ワインを愛するイラストレーター。日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート。ワインが主役のイラストをSNSで発信中!趣味は都内の美味しいワイン&料理の探索(オススメワイン、レストラン情報募集中)。2匹の愛する猫たちに囲まれながら、猫アレルギーが発覚!?鼻づまりと格闘しつつ、美味しいワインに舌鼓を打つ毎日をおくっている。
【HP】https://yoshidasudachi.com/
【instagram】https://www.instagram.com/yoshidasudachi/

お店の情報

広尾 ぺりかん

広尾のはずれにある小さな隠れ家レストラン。店内はキャンドルの光が揺れる優しい空間。ワイン好きのオーナーシェフになんでも相談しながら、お好きなワインを持ち込んでお楽しみください。

  • 東京都渋谷区恵比寿2-22-10 広尾リバーサイドGアネックス
  • お電話:050-1709-2152

店舗ページはこちら

 


■山梨・勝沼「くらむぼんワイン」


■7月開催のWinomyオンラインイベント
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