
2022年11月16日
皆様、こんにちは。インポーターの大野みさきです。
日中はぽかぽかと暖かい日が続いていますね。大手家電メーカーによると、5月と6月の時期に「あるもの」が年間で最も売れるそうです。そのあるものとは、ずばりワインセラーです。
気温の上がらない冬場は、なんとかやり過ごせました。しかし、着ているものが1枚、1枚と軽くなってゆく中、徐々に常温ワインが気がかりとなり、夏を迎えるまでに安全地帯を確保しようと思う人が出はじめるのが、ちょうど今の時期らしいのです。
ワインの保管に力を入れたいのであれば、ワインセラーを購入すれば手っ取り早く解決できます。今日は以上です。となってしまっては、上手な保管方法の伝授もへったくれもありません。クレームが殺到しそうなので続けましょう。今、怯えながらこの記事を書いています。
ファンヴィーノ 12本用ワインセラー
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おまけに価格が比較できたり、破格の中古品が掘り出し物であったりと、思い立ったら僅か3分で、スマートフォンから買い物ができてしまう大変便利な世の中です。だからワインセラーを買って下さい!笑
くどい人は嫌われそうなので、そろそろ本題に参りましょう。今回はワインセラーを所有していない一般家庭での最適な保管方法をお伝えします。既に持っている方も保管の基礎は学べると思います。
1. 温度15℃前後、温度差に注意!
2. 湿度65%前後、横に!
3. 暗所
4. 振動なし
5. 無臭
プライオリティの高い順に並べています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 温度15℃前後、温度差に注意!
保管温度が高いと熱劣化の原因になります。逆に低すぎても望ましい熟成が見込めません。キンキンに冷えた状態で数ヶ月も放置すれば、それはワインにとって過度なストレスとなります。
15℃前後が理想ですが、万が一温度が20℃であっても、温度差があるよりは20℃ならずっと20℃と一定を保った方がマシです。例えば、昼間20℃で夜間10℃に下がる変動がNGとなります。
温度差は大敵なのです。何故ならば、物質は温めると膨張し、冷やすと縮む性質があります。温度差があればワインもボトル内の空気も膨張と収縮を繰り返します。天然コルクを通して毎日ワインがため息をついているイメージです。それが半年、1年分と想像してみて下さい。ワインへのダメージは計り知れません。昼と夜の温度差の少ない場所(±1~2℃)を守って下さいね。
2. 湿度65%前後、横に!
湿度が低いとコルクの乾燥を招きます。ワインにとってコルクは命、品質の生命線です。
コルクが乾くとボトルと栓の間にほんの僅かな隙間が生まれ、酸化やブショネ(TCA)を誘発する、酸素、雑菌、カビなどの混入を許します。湿度は65%前後でワインボトルを横に倒して保管することを推奨します。
自社では注文されたワインを梱包する際、横に寝かせるか、スクリューキャップ仕様のボトル以外は、上下逆さまで梱包します。それは常にコルクが湿っている状態を保つためです。コルクが乾燥すると抜栓しにくいだけでなく、劣化の原因を作ります。
反対に湿度が高すぎると、今度はカビが生えます。黒カビは問題ありませんが、青カビはブショネを引き起こす原因のひとつです。湿度は65%前後に調整して、必ずコルクが湿っている状態をキープして下さい。
3. 暗所
光劣化という言葉もあるぐらいですから、ワインは光でもダメージを受けます。
ロゼワインと一部の白ワイン以外は、透明瓶ではなく、茶色や深みどり色の遮光瓶が使われている理由は、光によって品質に影響が出るからです。とは言っても、遮光瓶だからと安心してはなりません。新聞紙でカバーするなどして直射日光だけでなく、蛍光灯の光も避けて下さい。
4. 振動なし
生きているワインは、ボトル内で物質がくっついたり離れたりと、絶えず変化する非常にデリケートなものです。振動が伝わると大小に関係なくストレスを受け、ワインのコンディションが悪くなります。
動かしたワインは最低でも3日、できれば3週間程度、休ませた方が良いというのは、振動を受けたワインを落ちつかせて、リカバリーするためです。極力、振動は避けて、もし与えてしまった場合は、暫く休ませて下さい。
5. 無臭
強い香りのモノの隣に置くと、匂い移りがします。キムチと同居は絶対におやめ下さい。ワインの美味しさが損なわれてしまいます。
さて、「これらが網羅された場所はあるの?」と思いますよね。
北向きの部屋の押し入れなど、夏を迎えなければ、ある程度は耐えられそうです。「冷蔵庫はダメなの?」と質問を頂きそうですが、ここまで読み進めてこの問いをしようものなら、もう一度、最初から読み直して下さい。冷蔵庫はまるっと当てはまるからです。冷えすぎ、湿度が低すぎ、横収納はできたとしても、開けるたびに光にさらされます。24時間、絶え間なく微振動あり、何度もドアの開閉で衝撃を受けます。また、温度変化や食品の匂い移りも懸念されます。
しかし、真夏の避難場所として冷蔵庫は有効です。
日本の常温で夏を越すことは、ワインや生産者への冒とくです。何卒お控え下さい。数枚重ねた新聞紙に1本ずつ包んで野菜室に入れておけば、冷気からも多少は守れます。冷蔵庫避難は床下収納よりもずっと安全です。
ただし、これが半年~1年と長期間になると、それはワインにとって快適な環境とは言えません。飲む数時間前にスパークリングワインや白ワインの冷却が目的なら問題はありません。冷蔵庫を使って良いのは、避難時と冷却時だけです。
最適な保管かがわからなくなったら、蔵元のセラーを思い浮かべてみて下さい。
誕生してから親元を離れるまで、ヒンヤリ、ジメッと、暗く静かで、黒カビの匂いのする空間です。そこに樽ごと、あるいは数千万本のボトルが横に寝かされた状態で積まれています。人間には決して居心地が良いとは言えませんが、ワインにとっては天国です。
保管の5つのポイントと真夏の避難場所をお話しました。
数年~数十年熟成させてワインを飲みたいと考えておられる方は、悪いことは言いません。もういい加減にワインセラーを買って下さい。
清く正しく保管して、想い入れのあるワインも、そうでないワインもベストコンディションで頂きましょう。どうぞ最高の状態で、最高の仲間と楽しんで下さい。生産者から託されたワインを守るために、ここまでお伝えできればインポーター冥利ですわ。
それでは皆様、ごきげんよう!
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◎2020年4月23日(木)~5月6日(水・祝)※終了しました
365wine 大野みさき
スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。
【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
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