2020年07月15日(水)

インポーターが明かす!「ワインの価格」はどうやってきまるのか?高いワインと安いワインは何が違う?

皆様、こんにちは。インポーターの大野みさきです。

今日は、気になるが誰も教えてくれない、インポーターは絶対に明かさないワインのプライスについてです。各社は手の内を見せたりしませんから、そりゃそうです。題しましてインポーターの赤裸々、告白!知られざるワインの裏側~価格編~でございます。

編と言うからにはシリーズ化の予感がします。偽装工作、隠ぺい、高級ワインの盗難ハチの巣パレット、輸入できなかったワインの末路など、ちょっと怖いお話もありますが、週刊誌のタイトルを飾りそうで、書きながら妙に心がざわつきました。
はい、気を取り直して目次は次の通りです。

目次
– ワインの価格はこのようにして決定する!
– 高級ワインの原価はいくら?
– 万円以上のワインは買うべきでない理由
– 当たりワインが続出するのは〇〇円台

私は輸入元でワインを販売する立場ですが、消費者の皆様が本当に飲みたいものを、自らの力で賢く選べるよう、そのお手伝いができればと考えています。価格を理解することは良いワインライフに繋がるのではないでしょうか。知っているのと知らないのとでは、ワイン選びは雲泥の差です。洗いざらい正直にお伝えするので、最後までお付き合い頂ければと思います。

ワインの価格はこのようにして決定する!

日本で販売されているワインの価格がどの様にして決定するか見ていきましょう。

上代価格、いわゆるメーカー希望小売価格が設定されるのですが、そのおおもとは現地価格からはじまります。

インポーターが直接メーカー(ワイン生産者)と取引をしている場合を考えてみます。「インコタームズ2020」という世界共通の貿易の取引条件によって、ベースとなるワインの価格が変わってきます。
※エクスポーター、ネゴシアン、商社が入ればマージンが発生する

「インコタームズ2020」には、EXW(ExWorks、現地倉庫前渡価格)、FCA(運送人渡価格)、FAS(輸出港船側渡価格)、FOB(本船積込渡価格)、CFR(海上運賃込価格)、CIF(運賃保険料込価格)など11種類の条件が定められています。

「次回の輸入もFOBで行きましょう」こんな具合で輸出者(ワイン生産者)と輸入者(インポーター)の間ではこれは共通の認識です。お互いに請け負うコストと責任の転換点を決めておきます。

一般的にヨーロッパのメーカーはEXWを基本としています。つまり生産者がインポーターに表示している価格は、蔵元においての引き渡し価格で、引き取り車両への積み込みや輸出通関も行いません。インポーターは現地輸送、輸出通関、海上輸送、輸入通関、国内輸送、保険料などのコストとリスクを負担します。

EXW価格は、実質のワイン代ということになります。例を見ていきましょう。

■1本あたりの計算シミュレーション(例)
 EXW価格 1ユーロ
+現地輸送費 10円
+輸出通関費 9円
+海上輸送費 45円
+輸入通関費 11円
+国内輸送費 5円
+海上保険料 3円
+酒税 60円
+消費税 10円
+地方消費税 3円
――――――――――
 インポーターの原価 281円
+インポーターの販売利益 409円
→上代価格 690円 に決定!

ざっくりとした数字ですが、EUから20Fリーファーコンテナにフル搭載した場合を仮定してみました。

1ユーロは125円に換算しています。生産者には現地通貨で支払い、以下は日本の海貨業者に円建て払いをした場合を想定して、EXW価格だけユーロ表記にしています。輸出入通関費にその他の諸費用をもろもろ入れています。

シーズン、距離、船社などによっても価格は異なります。あくまでも上記はシミュレーションとお考え下さい。

とは言ってもEXW価格1ユーロのワインに20Fリーファーコンテナを使うインポーターは、ほぼ皆無だと仮定すると、40Fドライコンテナ使用の場合、原価は格段に安くなるとイメージできます。

販売利益の他に別途ピッキング料、梱包料、送料、倉庫保管料などを上乗せするインポーターもいます。ワインのクオリティと価格のバランス、希少価値、看板ワインとしての広告など各々のワインが担う役割を考慮すると価格の設定はそう易々と簡単なものではなく、インポーターにとっては永遠の課題と言えるでしょう。

高級ワインの原価はいくら?

憧れのワインの原価など知りたくない!と言われそうですが、ワイドショーが好きならワインのゴシップネタにも耳を傾けて下さい。

10年以上前に百貨店にて6,000円で購入したカロンセギュール2007が、今や3倍の18,000円に高騰しています。価格の上下は需要&供給バランスに起因しますが、ワインの世界はそれこそ青天井だと実感しました。

とは言っても、数万円、数十万円もするどんな高級ワインでも、生産者サイドでの原価は、およそ1,500~2,000円と言われています。えっ、マジですか?と聞こえてきたので、その内訳を詳しく説明しましょう。

生産者の元でかかるコストは概ね次の通りです。

・借地代
・農作業代
・醸造と熟成のコスト
・樽代
・瓶詰代
・人件費
・管理費
・宣伝広告費を含む販売経費
・マーケティング費
・生産者の利益30%程度

成分検査費、バックラベル作成と貼付作業費などは、インポーターと相談してどちらかが負担します。ワイン造りは、栽培から元詰めまでを一貫していたら、それは大変な作業です。おまけに収穫から5~10年熟成させてから、やっと市場にリリースする生産者もいます。いやはや、頭が上がりません。

2万円以上のワインは買うべきでない理由

高級ワインの原価は1,500~2,000円とお伝えしました。そう、高級ワインはブランドものなのです。えいやあ!と清水の舞台から飛び降りる覚悟で買っても、クオリティと価格のバランスが悪いものもあったり、ワインそのものに価値があるかどうかは、それぞれの考えるところでしょう。

日本有数のワインコレクターS氏も「2万円以上のワインは買う価値があるのかわからない」と仰っていました。私たちがハイブランドのバッグを購入する理由と大差ないように思います。

当たりワインが続出するのは〇〇円台

自身の経験を含めて、ズバリ3~4,000円代のワインは当たりの確率が高いです。

もちろん1,000円台でも美味しいワインは沢山ありますが、1,000円台より2,000円台の方が圧倒的に当たりが多く、7,000円ぐらいまでは金額が高ければ高いほど当選確率がアップしていると顕著に感じます。7,000円をボーダーにそれ以上の価格は、クオリティに大差ないと思います。高価であれば美味しいという訳でもないのです。

それでは1,000円のワインと3~4,000円のワインの違いは何でしょう。

生産規模、従来の農法とオーガニック農法、樹齢、収量、機械収穫と手摘み収穫、樽の有無、熟成期間、コルクの品質などの製造コストによりますが、ぶどうの質と醸造方法が関係しています。

例えば、3000haの大規模農園によるぶどう栽培。ワイナリーは農家からぶどうを買います。質よりも収量を重視した栽培、農薬や化学肥料の使用、機械収穫で人件費を大幅にカット、摘心、房切り、選果なし、醸造での過度な人的介入、添加物の大量使用、ボトリング後では数十円~300円の価格幅のあるコルクで前者を採用。

安かろう悪かろうと言っているのではなく、1,000円のワインと比較すると3~4倍の価格となりますが、安すぎない値段のワインには膨大な手間暇がかかっていて、それ相応の理由が存在するのです。

最後に

今日はワインの価格について、実にリアルなお話をしました。ともあれ、世界は飲みたいワインで溢れています。デイリー飲みや特別な日のワインなど、シチュエーションに応じて、色々な価格帯のワインを試してみると良いと思いますよ。

それでは皆様、ごきげんよう!

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

大野みさきさんの過去記事をチェック♪

この記事をSNSでシェアする

最近の記事

コラム

2020年8月12日

やさしく解説!日本固有のブドウ品種「甲州」を知ろう(ワインの豆知識 初級)

木になっているぶどう

コラム

2020年8月12日

世界各地で愛されているピノ・グリとは?特徴とおすすめも!

ニュース

2020年8月11日

夏にぴったり華やかロゼ・シャンパーニュ「ボーモン・デ・クレイエール」グランド・ロゼが10名様に当たる!今月のプレゼント

樽が並んでいる様子

コラム

2020年8月11日

風味に大きく影響する!ワイン樽の種類と役割とは

畑が広がっている様子

コラム

2020年8月10日

知れば知るほど面白い!ワインの王様・ブルゴーニュ

カテゴリー