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2021年1月18日
2021年01月10日(日)
イタリアワインのなかでも、リーズナブルなものから少し値段がはるものまでさまざまなワインの元となる「モンテプルチアーノ」。この記事では、モンテプルチアーノの特徴、格付け、相性のいい料理、おすすめワインなどをソムリエが詳しくご紹介していきます。
モンテプルチアーノは、イタリア国内の栽培面積が第2位ということから、数あるブドウのなかでも重要な品種のひとつと言われています。モンテプルチアーノから造られる赤ワインは、ジューシーな果実味とスパイシーで濃厚な味わいが特徴的。アルコール度数が高く、飲みごたえのあるものが多いですよ。
イタリアの中部にあるアブルッツォ州、マルケ州、ウンブリア州で多く栽培され、南部プーリア州やモリーゼ州でも造られています。北部では、気候の影響で成熟が遅すぎるという問題はあるものの、手掛けている造り手もいます。比較的、イタリアのいろいろな所で生産されていることが特徴のひとつですね。
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イタリアワインには、D.O.C.やD.O.C.G.という生産地や造り方などを厳しく取り締まる規定「保護原産地呼称」という格付けがあります。モンテプルチアーノから造られるワインで、格付けを持っているものは「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」と「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラマーネ」の2つのみ。それぞれの違いを見ていきましょう。
モンテプルチアーノ・ダブルッツォとは、アブルッツォ州で造らたモンテプルチアーノを使った赤ワインのこと。D.O.C.の規定であるブドウの収量、ワインの収量、アルコール度などが厳しく制約されたもののみが、この名前を使用できます。比較的リーズナブルなワインが多く、早飲みのものが主流です。しかし最近では、長期熟成も楽しめるワインも登場しています。
モンテプルチアーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラマーネとは、モンテプルチアーノ・ダブルッツォのなかでも最高峰のもの。2003年にD.O.C.G.に昇格しました。モンテプルチアーノ・ダブルッツォとの大きな違いは、アブルッツォ州の中でもテラモ丘陵地帯で造られること、熟成も見込める凝縮感のある濃厚で力強い味わいというところです。また、上記の規定以外にも最低熟成期間が24ヶ月という規定などもあります。
モンテプルチアーノで造られるワインの味わいは、「果実味が豊富」「濃厚で力強い」「酸味はおだやか」などが特徴。カシスやブラックチェリーのような果実味や、アルコール度数が高いものが多いためにパワフルで濃厚な味わいも感じられます。また、タンニンからくるスパイスのニュアンスも楽しめますよ。
価格帯に限らず、リーズナブルなワインでもフルボディ感を楽しめるので、コストパフォーマンス抜群のワインとも言われています。
モンテプルチアーノで造られるワインは、力強いタンニンが特徴のひとつです。ワイングラス選びを間違えてしまうと、渋味をダイレクトに感じてしまい、おいしく飲めないことがあります。おすすめのワイングラスは、ボルドー型と呼ばれる飲み口が少しすぼまった、ストレートボウルをもつシンプルな形状のグラス。
ボルドーグラスは、フルボディでタンニン強めなワインに最適です。飲んだときに、舌の上で横に広がるため渋味を強く感じずに飲むことができます。渋味が強いなと感じた場合は、グラスを回し果実味が開くのを待ちましょう。
飲むときは、冷やし過ぎると果実味が閉じてしまい渋味ばかりが目立ちます。やや高めの16~20度程度で飲むことをおすすめします。
優良なモンテプルチアーノが多く造られるアブルッツォ州の地方料理でもある、ラードが中央に詰まったサラミ(モルタデッラ・ディ・カンポトスト)がおすすめです。力強い味わいのモンテプルチアーノに、旨味とラードの甘味が詰まったサラミは相性抜群ですよ。
甘いものが好きな方は、渋味をまろやかにするドライフルーツ(干しブドウ、イチジクなど)もおすすめ。ワインと一緒に食べることで、さらにワインの果実味がアップしておいしくなります。
¥1,496~/赤/フルボディ/イタリア
化学肥料を一切使わない、オーガニックで造られるモンテプルチアーノ。土壌の味わいをしっかり感じられる飲みごたえのある一本です。野性的な果実味とフレッシュなフルーツの香りが混ざり合い、飲みごたえもあるおいしいワイン。スクリューキャップなので、2、3日かけて飲むものいいですよ。
¥1,749~/赤/ミディアムボディ/イタリア
ウマニ・ロンキが手がけるモンテプルチアーノ・ダブルッツォは、黒系果実というよりはフルーティーで飲みやすいマイルドな味わいです。熟したプラムやサクランボのような風味を楽しめます。アルコール度数は高いですが、タンニンが穏やかなので、モンテプルチアーノ初心者さんにも飲みやすくておすすめですよ。
¥1,936~/赤/フルボディ/イタリア
有名なワイン漫画『神の雫』にも登場しているカサーレ・ヴェッキオが造るモンテプルチャーノ・ダブルッツォ。カシスやブラックチェリーの風味が強く、ややスミレのようなやさしい花の香りも感じます。モンテプルチアーノにしては、タンニンが比較的優しいので飲みやすいですよ。
¥2,695~/赤/フルボディ/イタリア
わずか5haの畑から造られる希少なモンテプルチアーノです。D.O.C.G.であることをしっかり感じられる一本。木樽での熟成によって複雑になった味わいが、コーヒーやカカオのようなビターなニュアンスを楽しめます。力強い果実味とパワフルで濃厚な味わいが、熟成させたくなるワインです。
¥3,965~/赤/フルボディ/イタリア
オピが手がけるモンテプルチアーノは、コッリーネ・テラマーネで栽培されるなかでも樹齢が古く、より厳しく良質なブドウを収穫して造られています。リゼルヴァなので、リリースまでの熟成が36ヶ月以上と長く深みのある一本です。力強さはありますが、タンニンが極端に強いわけではなく、華やかな甘さのある果実味も楽しめます。ワイン会に持って行くと話題になりそうですよ。
フルボディのワインが好きな方には、特におすすめなモンテプルチアーノのワイン。1,000円台のリーズナブルなワインから、3,000円以上するものまで、価格帯もさまざまでおもしろいです。モンテプルチアーノ独特の果実味と濃厚なタンニンを、ぜひじっくり楽しんでみてくださいね。
※商品価格は、2021年1月6日時点での情報です。
ソムリエ・チーズプロフェッショナル / YURI
資格:J.S.A.ソムリエ、C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、食生活アドバイザー3級。『もっと楽しく、もっと気軽に、もっとおいしく!』をモットーに誰でもワインとチーズを気軽に楽しめるようアドバイスを発信中!ワインの輸入会社、レストラン、料理教室運営などを経験したのち、現在はフリーランスのソムリエ・チーズプロフェッショナルとして活動中。主にワイン・チーズ教室やブログ、ライターにてワインやチーズ・マリアージュなどの楽しみ方を伝えています。
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