2021年03月03日

セパージュ?ジャミー?アタック?理解して使いこなそう【ワイン用語解説】

皆様、こんにちは、インポーターの大野みさきです。
今日は知っているようで、本当に理解できているのか怪しい、ワイン用語の解説です。

ワインを飲みながら、これらのキーワードを口にすることも多いのではないかと思います。今一度、正しく押さえておきましょう。

注文するときに知っておきたい! ラベルや品種を表す用語

エチケット

「素敵なエチケットですね」と言われても、貴方のマナーを褒めているのではありません。ワインにおいてエチケットとはワインラベルのことです。くれぐれも、糠喜びしないように!

シノニム

ぶどう品種の別名です。国際品種でも土着品種でも栽培されている箇所がいくつもあれば、その地域で定着した異名(地域名)が存在します。例を挙げると、ソーヴィニョンブランは、ブランフュメ、フュメブラン、ムスカートジルヴァーナ―、ソーヴィニョンジョーヌなどと呼ばれています。

セパージュ

ブレンドされたワインに使われることが大半で、「品種名」あるいは、その各品種の「ブレンド比率%」を意味しています。しかし、ワインを飲んでいて「セパージュは?」と聞かれたら、単に品種を問うていると思ってOKです。

ワインを見て一言! 色を表す用語

ガーネット/ルビー

ワインと関連のなさそうな宝石の名前が出てきました。これは赤ワインの色調の表現です。どちらも紫色ですが、ガーネットは紫が落ち着いて茶色みがかった濃い紫色、その一方で、ルビーは明るめの淡い紫色を指します。

ルージュ(赤み)がかっていたりすることもあるので、ワインを飲んでいて宝石の名前が出てきたら、赤ワインの色について言及しているとわかれば合格です! 

赤ワインが入ったグラスを傾ける様子

ワインを飲んだ感想に! 香りや味わいを表す用語

アロマティック

アロマ(芳香)にティック(~的な)を付けた形容詞です。果実香や花香が強く香るワインに使われます。ゲヴェルツトラミネールやミュスカはその香水のような芳香性からアロマティック品種とも呼ばれます。

フルーティー

果実の甘やかな香り、または味わいを意味しますが、ワインの場合は必ずしも、味わいに甘味があるわけではありません。

ジャミ― 

英語ではジャムでベタ付いた時の表現ですが、ワインで使う場合は、果実を煮詰めてジャムにした時のような粘性や凝縮感があるワインのことを言います。香り&味わいの両方で使われます。

赤系果実/黒系果実 

果実の色によって香りをわけて表現します。赤系果実はイチゴ、スグリ(レッドカラント)、キイチゴ(英:ラズベリー、仏:フランボワーズ)アメリカンチェリー、山形のサクランボ、ザクロなどがあります。黒系果実はブラックベリー、ブルーベリー、ブラックチェリー、カシス、黒スグリ(ブラックカラント)、プルーンなどです。注意しないとならないのが、「この赤ワインはラズベリーやフランボワーズの香りがするね」などと言おうものなら、「どっちもキイチゴじゃん!」と失笑され兼ねません。

木なりの果実

木になっている果実を指します。例えば、リンゴ、モモ、アンズ、ナシ、洋ナシ、カリンなどが当てはまります。同様に木なりですが、マンゴーやライチはトロピカルフルーツ、レモンやグレープフルーツは柑橘と表現します。

出汁感

出汁と言っても色々です。鰹、昆布、煮干、魚貝、肉、キノコ、トマト。果皮を醸したり、無濾過&無清澄だったり、亜硫酸無添加の自然派ワインに「出汁感」はよく見られます。赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン、スパークリングワインとジャンルは問いません。

ミネラル感

土壌に含まれるカリウムやマグネシウムなどの鉱物が由来です。立体感、凝縮した味わいなどのストラクチャーをワインに与えます。

フレシュ感

爽やかさ、すっきり感、これらは酸に起因します。酸味はワインに含まれる成分の中で、“You are NO.1!”と言ってあげたいぐらい重要な役割を担っています。

果実味

果実味とは何か。と聞かれてもその正体が不確かなので答えに困りますよね。考え悩んだ私ならこう答えます。「古酒からは感じない“フルーツらしさ” 香りや味わいの“凝縮感” つまりワインの“厚み” は果実味から来ているのではないでしょうか?!」 えっへん!

ベルベット/ビロード/シルク

これら全部、「布」ですな。その手触りからタンニンの質を表します。ベルベットは英語、ビロードはポルトガル語(ちなみにフランス語はベロア)なので、全てレーヨンとシルク混のパイル織物です。滑らかさはシルク100%には及びません。日本人ですから「ちりめんのようなタンニン(多分ざらつきがあるので決して誉め言葉ではない)」といつか言ってみたいです。

土っぽい

土壌の土臭さ、埃っぽさ、またはマッシュルームやカビ臭などもこの分野に入ります。

チャーミング 

ワインの例えでは、エレガント(上品)と同じく、女性に使われる頻度が高い用語です。魅力的で人の心を引き付ける人。個人的に「チャーミングな女性」と聞くと真っ先にオードリーヘップバーンが浮かびます。貴方にとって「チャーミングなワイン」とは?

アタック/アフター

アタックはバレーボールではありません。ワインを口に含んだ時の第一印象です。味わいの強弱やその広がり具合を確認します。アフターはその逆の後味のことで、ワインを飲み込んだ後に残る印象です。後に残る風味やその継続性、いわゆる余韻の長さです。余韻は秒で表現することも多いです。(3秒以下:短い、5秒前後:中程度、9秒以上:長い)

おさらい

ワイン独特の表現が続きましたが、いかがでしたでしょうか。締めくくりにモルドバワインと「サルマーレ」と言う、モルドバ料理(ロールキャベツ)を頂きながら、本日のおさらいです。

ぶどう5品種を使っているので、エチケットにもVのデザインが施されている。
セパージュは、シャルドネ45%、フェテアスカアルバ30%、フェテアスカレガーラ15%、バベアスカグリ5%、ピノグリ5%がブレンドされたオレンジワイン。
香りは赤系や黒系果実フルーティーさやジャミ―なニュアンスはなく、スモモなどの木なりの果実やエキス分の凝縮された梅酒を感じる。
アタックには亜硫酸無添加なので、ドライフルーツを彷彿させるような酸化的熟成のニュアンスがあり、香りと味わいのギャップに驚く。
ほどよいミネラル感を備え、ややフレッシュ感は落ち着きを見せ、その反面、昆布や椎茸などの出汁感が豊か。
ホクホクの「きな粉」のような余韻。懐かしい駄菓子を感じる個性的なアフターにも魅かれる。
アロマティックチャーミングな華のあるタイプとは言い難いが、地味(滋味)な控え目さがあり、仲良くなれば親しみやすいキャラクターのワインと言えるだろう。モルドバ版のキャベジとも優しく寄り添う。

それでは皆様、ごきげんよう!

■試飲したワイン

EQUINOX 5(チンチ)エレメンテ オレンジ2019
3,900円(税抜)
https://www.yu-corporation.com/shopdetail/000000000033/

 


365wine 大野みさき

スロヴェニアワイン輸入元365wine㈱ 代表取締役。
元ANA国際線CAが、7年の在職中にワインに魅せられ渡仏。2014年に帰国し、ひと月でワイン輸入会社を設立。買付け、営業、展示会、ウェブショップ運営、倉庫作業をヒィヒィ言いながらも華麗にこなす。巷ではスロヴェニアワインの第一人者と囁かれている。まんざらでもない。ワイン講師、サクラアワードの審査員も喜んで引き受ける。毎日ワインを飲むのか尋ねられたら、「はい、365日ワインです♡」と返すよう心掛けている。

【ワインショップ】http://www.365wine.co.jp/
【instagram】https://www.instagram.com/365wine/

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